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37 幸せになるまであと85日-1。
10月1日、上半期も終わり年度末に向けての新しいノルマが課せられる。
連日の残業もここまでくればひと段落…
なんてわけはなく、1日から残業に追われております…。
俺、仕事と結婚するのかも…
いや、本当そう思う。
この疑似恋愛ごっこが終わって、もし彼女ができたとしてもこのままじゃすぐフラレるだろうなぁ…
デートをする暇もない。
ということは、当然西野さんと会うこともできていなくて…
あの山崎達と話した時から会っていない。
毎日の電話やメールは欠かすことなくくれるので、離れている感じはないんだけど、やっぱり少し寂しい…
ここまでくると自分の西野さんへの気持ちに戸惑うどころか完全に受け入れていて、頑張れ自分。なんて思ってしまう。
アホだな。
でももういい。
この疑似恋愛ごっこが終わるまでの間だけ…
そう割り切って西野さんを好きでいると決めたのだ。
もうそろそろ帰んねぇとやべぇかな…?なんて思いながら時計を見る。
『十時か…』
時計は22時を回っており、他のみんなのデスクは綺麗さっぱり片付いている。
営業と言ってもただ単に外回りをしていればいいというわけではなく、事務所に戻ってからもアポ先の整理や、お客さんへのフォロー、計画など、事務処理もたくさんあるのだ。
今日なんかは特にお客さんに足止めを食らって事務所に戻ってくる時間が遅かったせいでこんな時間になっている。
とにかく話が長いお客さんは面倒臭い。
いや、それが仕事なんだけれども…
守衛さんにラストの報告をして、鍵を閉めてもらわねぇとな…なんて思いながらスーツのジャケットとカバンを手に立ち上がった。
『よっ!!お疲れ。』
聞き覚えのある声に驚き、入口を見る。
『西野さん!?どうしたんですか!?』
『どうしたんですか?って様子見に来た。』
『様子?誰の?』
『天野に決まってるだろ?』
『…』
急に現れた大好きな人の姿に動揺が隠せない。
そしてすごく嬉しくて、柄にもなく今にも飛び跳ねてしまいそうだ。
『いや、それが理由じゃないですよね?どうしたんですか?』
『いや、本当だって。今日泊めて?』
『えぇっ!?』
『明日こっちで朝一会議なんだよ。』
『あぁ…そういうことですか…』
なるほどな。
うちをホテル代わりに使おうという魂胆だな。
まぁそれでもいいんだけど…一緒にいれるなら。
『ダメ?』
『いいですよ。』
そして守衛さんに戸締りを頼み、二人で家路についた。
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