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38 幸せになるまであと85日-2。
『急に悪いな。』
『いいですよ。散らかってますけど。』
そう言いながら扉を開けて中に入る。
『飯どうします?なんか食べました?』
『あっ…食ってきた。天野適当に食べて。』
『わかりました。』
自炊をするには時間が遅すぎるので、カップラーメンにお湯を注ぎ、3分待つ間にスーツを脱ぎ部屋着に着替える。
『風呂入ります?沸かしましょうか?』
『おう。ありがとう。』
風呂場に向かいお湯をためてリビングに戻ると、西野さんは自分のスウェットに着替え、テレビを見ていた。
本当に付き合ってるみてぇ…
お互いがお互いに好きなことをしながら過ごす。
なんとも気を遣いすぎていなくて自然な感じですごく好きだ。
カップラーメンを手に食卓ではなく、リビングの机に移動して床に座りながらラーメンの蓋を開けた。
『うわ…めっちゃいい匂い。』
『食べますか?』
『おう。』
そう言いながら西野さんが俺に向かって口を開く。
『?』
『アーンして。猫舌だからちゃんとフーフーしろよ。』
マジか…
だから俺の心を弄ぶなっての!!
でもなんだか恋人気分を満喫できる行為なので、喜んでフーフーする。
『天野なんか嬉しそう。』
『えっ?そんなことないですよ…』
西野さんの言葉に焦りながらも、十分にフーフーしたラーメンを西野さんの口へと運ぶ。
『うまっ!!』
満足そうな顔をする西野さんを見て俺も満足する。
いやぁ…ほんとイケメン…
俺、メンクイなのかなぁ?
って、今まで男なんて意識したことなかったからわかんねぇけど。
ズルズルとラーメンをすすりながらテレビを見る西野さんを見てはニヤニヤしてしまいそうな自分を心の中で怒る。
だからダメだって、ニヤニヤしちゃ。
ただの変態じゃねぇか。
自分の気持ちに正直になってからというもの、西野さんへの気持ちが暴走しつつある。
こんなに人のことが好きになれるものなのかと驚いているのが事実だ。
今までの彼女をこんなに好きになったことがあっただろうか?
『あっ、風呂沸きましたよ。』
ピロロン♪と風呂の沸く音が聞こえ西野さんに言う。
『おう。ラーメン食べ終わった?』
『あと少しですけど。あっ…まだ食べたかったとか?』
『いや、食べ終わるの待ってるから一緒に風呂入らねぇかな?と思って。』
なっ!!なにを!?
この人どこまでが本気で、どこまでが冗談かわからねぇんだよな。
『だから入りませんって。』
『なんで?前に温泉入ったじゃん。』
『温泉は温泉です。しかもうちの風呂狭いですし。』
『浴槽詰めたら大丈夫じゃねぇ?』
『大丈夫じゃねぇです…』
『相変わらず冷てぇな…』
そう言いながら寂しそうに風呂場に西野さんが消えて行く。
もう…
だから本当、俺の気持ちを弄ぶのはやめてほしい。
ラーメンの汁を飲み切り、洗面所に西野さんのタオルを出しに行ったついでに鏡を見ると顔が真っ赤だった。
俺、情けね…
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