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39 幸せになるまであと85日-3。

赤くなった顔を冷ましながらテレビを見ていると西野さんが風呂から出てきた。 『お先。』 また上半身裸だし… 『俺も風呂入ってきます。』 そう言って風呂場へと急いだ。 最近本当に自分がおかしい。 意識しまくっているのが情けなくて恥ずかしい。 今の上半身裸だって普通のことなのに意識しすぎてしまって、あのまま一緒にいるとおかしくなってしまうところだった。 自慰のオカズはもっぱら西野さん。 女の体で興奮することができなくなった俺は、この疑似恋愛ごっこが終わった後、彼女を作ることができるのだろうか… 彼氏? いや、それは西野さん以外考えられないと思う。 男が好きなのではなくて、西野さんが好きなのだ。 はぁ… ほんと俺どうすっかなぁ… 浴槽に浸かりながらさっきの「アーン」を思い出す。 やべ… 口をお湯に浸けながらブクブクと泡を吐き、ニヤニヤしてしまいそうなのを我慢する。 いや、もうニヤニヤしてるかも… 恋人っぽかったなぁ…なんて。 あぁ… ほんと好きかも… いや、かもじゃなくて 好き。 残り少なくなっていく疑似恋愛ごっこの期間を指折り数えて少し寂しくなった。 『西野さん今日もベッド使ってもらっていいんで。』 頭を拭きながらリビングに行き、テレビを見ている西野さんに言う。 『天野は?』 『俺はここで寝ますよ。』 と、リビングの床を指差す。 『もう10月だし、床冷えするぞ?』 『平気ですよ。』 『一緒に…』 『寝ません。』 『なんで?』 『なんでって…狭いですし。』 『詰めれば大丈夫だろ?』 『いや、シングルに男二人はキツイと思うんですけど…』 『じゃぁ床で一緒に寝るか。』 『いやいや、床冷えするって言ったじゃないですか…』 『じゃぁベッドで…』 『なんでそこまで一緒に寝たがるんですか…』 『恋人同士だから。』 『疑似です。』 『わかってるけど…』 『じゃぁ西野さんはベッドでどうぞ。』 そう言いながら余っている毛布を持ってきて、床で寝る準備をする。 『なぁ天野…』 『なんですか?』 『なんでそんなに嫌がるんだよ?』 なんでそんなにって… 一緒に寝ると自分がどうなるかわからないからだろ…。 京都へ旅行に行った時よりも気持ちはどんどん大きくなっている。 毎日毎日、日を追う毎に西野さんを好きになっている。 『嫌がってませんよ…ただ…』 『ただ?』 『緊張しすぎて…寝れないんで…』 あわよくば、俺の西野さんを思う気持ちに気付け!! そんなつもりで吐き出した言葉だった。

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