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44 幸せになるまであと63日-2。

『ごちそうさまでした。』 『はい。』 笑顔でそう言いながら西野さんが食器を片付けてくれようとする。 『いいですよ!!洗い物は俺がします!!西野さんは座っててください。』 『じゃぁ一緒にしよ。』 狭いキッチンに二人で並び、俺が洗って西野さんが拭く。 これってなんだか… 『新婚さんみたいじゃね?』 『なっ!!!』 俺が思っていたことをサラリと言われ戸惑う。 『天野、顔赤い。』 『あ…暑いなぁ!!なんて。暑くないですか!?10月なのになぁ…』 下手な嘘をつきながら急いで洗い物を終え、リビングの床に座りテレビを見る。 顔が熱い… なんなんだよ、もう… 皿を拭いている西野さんをチラリと見るとこちらを見ていたようでバチッと目が合った。 『ん?』 『なんでもないです!!』 テレビに向き直りチャンネルを回す。 どの番組も頭に入ってこなくて何度も何度も同じチャンネルが回る。 『天野。』 『は、はい!!』 『風呂沸かしていい?』 『あっ!!俺しますよ!!』 『いいよ。俺沸かしてくる。』 そう言って西野さんは風呂場へと向かった。 ダメだ… 今日、夜越せる気しないんだけど… また床寝だな。 そう思い毛布を準備する。 『何してんの?』 『寝る準備ですよ。』 『またここで寝んの?』 『はい。』 『この前さ…』 『はい?』 『俺、隣に寝てたの知ってる?』 知ってるも何も寝れなくてずっと起きてたし…。 『あれ?そうでしたっけ?』 トボけながら話を変えようと話題を探す。 『なぁ…そんなに俺のこと嫌い?』 『えっ!?な、なんですか急に…』 『最近の天野なんか変。』 変って… そりゃ変にもなるでしょ… まず男が好きってだけでも自分の気持ちに戸惑っているのに、こんな風に疑似恋愛ごっこですぐ傍にいて… なのに、これは疑似だから本気にできなくて気持ち伝えられなくて… だけど、俺は本気になっちゃって… …って、あぁーもう!! 自分で考えてても意味わかんねぇ。 『俺は元々変人です。』 こうやって言っときゃ納得するか? 『そうか…』 セーフ。で、いいんだよな? なんか呆気なく納得されて調子が狂うというか… まぁいいか。 そうこうしているうちに風呂が沸いた。 『西野さん、風呂沸きましたよ。』 『天野先に入っていいよ。』 『俺後でいいですよ。』 『じゃぁ一緒に…』 『入りません。先に入ってきます。』 俺はそう一言言うと風呂場へと向かった。

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