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54 幸せになるまであと1日。

ヤバイ。 明日でこの疑似恋愛ごっこが終わると思うと涙が出そうになる。 おはようのメールも、おやすみのメールも他愛もない電話も何もかも明日で終わってしまう。 なんだよ、このカウントダウン。 辛すぎんだろ…。 アポで外を歩きながらも、事務所で書類をまとめながらも、何をするにも時計を見てしまい、あと何時間で終わってしまう…なんて考えて寂しくなって。 明日のシミュレーションを何度もするけど、結局最後は泣いてしまう気がする。 情けねぇ… ってか、始まってもいない恋愛に勝手に自分で失恋しといて泣くって…それこそ重いわ。 まぁ、気持ちを伝える気なんてないから始めるもなにも明日ですべてが終わるんだけど…。 『お先です。』 残っている人達に挨拶をして家路につく。 とうとう夜になってしまった。 寝て起きたら25日で、その日が終わると疑似恋愛ごっこも終わる。 何度考えても寂しくて、苦しい。 あっという間の一年だったな… すごく楽しかった。 俺が教えるどころか西野さんにたくさんのことを教えてもらった。 西野さんならきっといい人を見つけて幸せになれると思う。 家に着き、飯を食って風呂に入る。 浴槽に浸かりながら、こんな狭い風呂によく二人で入れたな…なんて思い出して笑って。 もう一緒に入ることはないのか…と少し寂しくなった。 明日の研修の荷物をスーツケースへと詰め終えると、ベッドへと潜り込む。 ここで二人で寝たっけ。 あ、そうだ。 と、ベッドから起き上がり衣装ケースを開ける。 洗濯した西野さんのスウェットを取り出して抱きしめた。 『これ…明日返さなきゃ。』 そう独り言ちてスーツケースの中に詰め込んだ。 その日はあまり眠れなくて、今までの西野さんとのメールを読み返したのだった。

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