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56 幸せになる日-2。
眠いのに寝させてくれない新人君にイライラする。
『俺、天野さんと仲良くなりたかったんですよ!!山崎さんとすごく仲良いですよね!!あぁいうの憧れてるんです!!』
『そうか…』
眠い。
昨日寝てないせいでとにかく眠いのに、質問攻めが始まる。
『あの、プライベートなこと聞いてもいいですか!?』
『なに?』
『彼女っていますか!?』
『い、いないけど…』
なんで俺、こんなにドキドキしているんだろうか。
『いないんですか!?意外です!!天野さんモテそうなのに!!』
『いや、勘違いするな。モテないわけじゃないんだぞ。今は作ってないだけというか、作れないというか…』
『何か事情があるんですね…』
『その通り。』
『じゃぁ、好きな人はいますか?彼女候補とか?』
『好きな人なら…いる。』
『えぇー!!マジですか?片思いですか?俺もなんですけど、恋愛相談に乗ってもらってもいいですか?』
『まぁ…いいけど。』
『俺ね、すっげぇ好きな子がいるんですよ。だけど、その子に気持ち伝えても絶対フラレるってわかってるんです。で、その子とは今すごく仲がいい友達って感じなんで、その関係は崩したくなくて…だったらやっぱり気持ち伝えない方がいいですよね!?』
俺と若干かぶる…
俺もそうだ。
この疑似恋愛ごっこが終わっても、俺の気持ちが本気だってバレない限り、いい先輩後輩の仲は続くと思う。
だとしたら、やっぱり気持ちは伝えない方がいいだろう。
『そうだな。そりゃ伝えない方がいいだろ。ってかさ、なんでフラレるってわかってんの?』
『その子、好きな子いるんですよ。俺の友達なんですけどね…』
うわ、ツラ…
辛すぎんだろ…
ってかさ、西野さんは山崎に本気だったって言ってたし…
まだ山崎のことが好きなんだろうか?
なら尚更、俺のこの気持ちは伝えられないし、バレてはいけない。
『辛いな…だけど、頑張れよ。でも切り替えて他の子を好きになってみるとか…どうだ?』
って、どの口が言ってんだよ。
切り替えられないのはきっと俺だ。
いつまでかわからないけれど、きっと長い期間西野さんを忘れることはできないと思う。
『やっぱり天野さん大人ですね。言ってることがかっこいい。』
『そ、そうか?ってか、質問タイム終わり。俺、寝るから。着いたら起こせよ?おやすみ!!』
そう言って、俺は腕を組み目を瞑った。
大人ですね、かっこいいですね。って…
どこがだよ…。
情けない自分に溜息をつきながら眠りについたのだった。
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