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疑似恋愛とはそもそもどうするのか? そんなことは全く考えてはおらず、とりあえず恋愛の真似事なのだから…と、付き合った二人は一体何をするのか?という話から、毎日のメールと電話を約束した。 疑似だけど、そういう風に毎日連絡を取り合うような恋愛をしてこなかった俺にとって、毎日がすごく新鮮だった。 思った以上に楽しくて、メールの返事が遅かったり電話に出てもらえなかったりすると不安になったりして…こんなに自分がのめり込むとは思ってもいなかったし、今までの自分でなくなってしまっていることに戸惑ったが、それも含めて全てが楽しかった。 その時点でもう俺は落ちてたのかもしれないな…天野に。 思い出した!! 確信?というのだろうか? あっ…こいつとずっと一緒にいたいな…と思った時があった。 それは天野の誕生日を祝った時だ。 山崎に何気に聞いた天野の誕生日。 恋人同士なら祝うのもアリか?なんて軽い気持ちで旅行に誕生日祝いをドッキングさせた。 その時の天野の顔が忘れられない。 戸惑っているような…でもどこか嬉しそうで… なぜだか急に泣き出した天野に我慢できなくて俺は天野を抱きしめた。 その瞬間俺は確信した。 だけど、気持ちはずっと言えなくて、伝えてしまうと全てが終わってしまうと思った。 たかが疑似恋愛ごっこを本気にするなと言われてしまうのではないか。 元々ノーマルの天野に好きだなんて言えるわけがなかった。 今思うと結構早い段階で好きだったんだな… なんだか今日までのこの期間が勿体無かった気もしたが、すごく楽しい一年であっという間だったな…と、勝手に笑みが零れた。 ***************** 『西野さん…何笑ってんですか?』 『いや、別に。』 『気になるんですけど…』 『いや、色々思い出してたらさ…結構早い段階でお前のこと好きだったなぁ…って。』 そう言うと、また天野の顔が赤く染まる。 意外に純粋な天野にまた心惹かれて… 『天野…』 『なんですか…?』 『好き…』 『な、何回も言わなくていいですよ!!』 『照れてんの?』 『はぁ?照れてません!!!』 『可愛い。』 『可愛くない!!』 恥ずかしそうに俯き叫ぶ天野が愛しくて… こいつを大切にしようと心に誓った。

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