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『早く。』
『いや、やっぱり別々で…』
『アホか。俺ら付き合ってんだけど。』
『そ、そうですけど…』
結局ベッドに行ったものの、俺は布団に入れず立ち尽くしていた。
『早く。』
布団に入りながら隣をバンバンと叩く西野さんに恐れ、恐る恐る布団へと滑り込んだ。
『無理矢理しねぇから。』
『な…何をですか?』
『何をって…お前が想像してること。』
『………』
出る言葉がない。
俺が想像してること…
セックスってことでOK?
無理矢理しないということは、どのタイミングでするのだろうか?
というか、俺は今日する気満々で酒も入れてないのだけど…
と、厳禁なことを考え心の中で自分にツッコミを入れる。
どっちだよ!!
どうしてほしいんだよ、俺は!!
西野さんに背を向けて寝転びながら頭の中でそんなことを考えていた。
『なぁ…天野。』
『は、はい。』
『怖い?』
『何がですか?』
『セックスすんの。』
『い、いや…怖いというか…なんというか…』
正直怖い。
俺が受けだとしたら尻の穴を差し出すわけで…
想像してみるも「痛い」ということしか想像できない。
気持ち良くなれる気がしないのだ。
『俺、いつまででも待つからさ…天野がしたくなったら言って。だから今日は何もしない。おやすみ。』
『お…おやすみなさい。』
俺から言うまでしないって…
じゃぁ俺はなんと言えばいいのでしょう?
怖いよ?確かに怖い。
だけど、西野さんと早く一つになりたくて…
今すぐにでも…そう思うけど、何て言えばいいのかわからない。
無理矢理ならそれなりに覚悟もできるし、恥ずかしさも半減するはずなんだけど…
俺から行くとなると、考えただけでも顔から火が出そうだ。
やっぱり今日はやめとくか…
俺はゆっくりと目を閉じた。
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