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第4話

「ん……っ、やめ……はぁ、んん」  縦横無尽に這い回る舌を追い出そうと試みるけど、男のキスがすごく巧みでやたら気持ち良くて、いまいち力が入らない。  擦り付けてくる腰の状態は、既に臨戦態勢ばっちりだし。  つうか擦り付けんな!  なんかもう泣きそう……。  タオル一枚の俺って、完璧据え膳?!  散々俺の口を味わった男は、ちゅぱっと音を立てながらようやく俺の口から離れていった。ああ、唾液が糸引いてやがる……。 「ココでしたい……? それとも、ベッドでする……?」  うるんだ目でそんなことを訊いてくる男に、「しねえよ!」と返す。 「嘘だ、したいよな……? だってほら、ちゃあんと反応してる……」  と俺の答えに不満を持った男が、俺の腰のタオルに視線を向ける。  だって、仕方ねえだろ……?!  こいつのキスが、気持ち良すぎんのが悪いんだよ!  男は俺の両手を片手で押さえ直すと、空いた片手で俺の唯一の砦、タオルを躊躇いなく取っ払ってしまった。  っつうか、なんで片手で押さえられてんのにびくともしねえんだよ!  どんだけ俺貧弱?!  ちょっとだけ落ち込んでるうちに、そのタオルで手首を縛られてしまった俺。  あああがっくりしてて抵抗忘れてた!  さらに情けなくて涙でそう。  ベッドに転がされ、立ち上がったモノ同士を擦り合わされる。 「は……っ、ん、それ、やめ……っ!」  どっちが出したかわからない液体が絡みついて、俺の腹を濡らす。 「汐音……気持ちよさそう。その顔見てると、もう止めてやれねえ……」  まだそんなこと言えるのかよ!  いまだ理性が残ってるっぽい男に、ちょっとだけ感心する。  普段いただく女だったら、ちょっとキスしただけで理性飛ばして何が起きてるかわからねえ状態になるのに。  そのまま突っ込まれて流血状態ってことだってありうるって悲痛な思いで覚悟したのに。  男はそんなことはしなかった。  なんで?  媚薬効果、発動してるよな。  と、擦られてるところに目を向けると、まだ余裕がある俺に気付いたのか、男が更に擦り付けるように腰を動かし始めた。  あ、それ、カリが擦れてやべえ……っ。  実は俺、今握られてるモノを使ったことってねえんだよ。  性欲よりも食事のほうに意識を向けちまうっていうか、どんだけ女が誘って来てもなんとも思わねえんだよ。今日は前よりは不味くねえといいな、くらいしか。  仲間の中には、美味しくいただきつつ食事も済ますってやつもいるってサイトで上がってたけど、俺には無理だ。まず勃たねえ。  って、今しっかりと勃ってんのはなんでだ俺!  両手縛られてバンザイ状態で押さえつけられてんのに、俺ナニ勃たせてんだよ!  やべえこれ、気持ちいい……っ!  だんだんと熱が上がってく吐息を漏らして、とうとう俺は自分の腹の上に、吐精しちまった。  同じくらいに、男も吐き出す。  二人分の精子を受けた俺の腹の上、大参事。  それを男は指に絡めて、そそそ……とさらに後ろの方に……。 「やめ……っ!」  マジで俺、まっさらな身体なんだよ!   って、なんか響きおかしいけど! 「あ、あああ……っ、指が……っ」  挿ってきた……。も、俺泣いていいですか。

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