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第7話
ガツッという音がして、手に痛みが走る。
ハッとして男を見上げると、ツツ……と男の口から血が垂れてきた。
「あ……」
「……ってて。油断してて歯食いしばってなかった」
俺から手を離して、男が親指で無造作に血を拭う。
俺は、その血から目が離せなかった。
すげえ、イイ匂いがする。
今まで飲んできた血の匂いとは、何かが違う。
無意識に、男の手を掴む。
血の付いた親指を、口に含む。
くらっとした。
「うま……」
何これ。
これホントに、人間の血、なのか?
思わずそのまま近付いて行って、男の口元を舐める。
途端に男の目が半眼になった。
「汐音……? 誘ってんのか?」
吐息のように甘さを含んだ声で、そう囁く口に、自分のを重ねる。
もっと。
もっと舐めてみてえ。
身体の中の本能がそう囁く。
もっと。
「欲しい……」
重なる口の間から零した言葉を拾った男は、さらに俺の唾液を味わうかのように深く口付けてきた。
舌に絡みつく男の血が、俺を陶酔させる。
うっとりと舌を絡めながら、男の口膣を味わう。
男も俺の唾液で止まらないかのように腰を擦り付けてくる。
熱い。
やばい。
今までにない感覚に、くらくらする。
初めて美味いと感じた血に酔ったのか、俺は男にされるがままに、いまだ少しだけ残っている男の血液の余韻を舌で味わっていた。
「あ……ッ、んん、はっ、あん……や、もっと、深く……っ!」
身体の奥に男を感じながら、俺は自分の口から洩れる嬌声を止めることが出来なかった。
「汐音……今日はずいぶん積極的だな……」
「お前に……酔ってるんだ……っ、あぁあ!」
俺の言葉にひとつ呻くと、男はガツガツと音がするかと思うほどに激しく腰を打ちつけてきた。
「どうした、んだ。いきなり、可愛くなって、っああ、も、汐音最高……っ」
「んぁああ……っ、イく、イきそ……っ、な、成久ぁっぁあ、中に、奥、熱いのっ、あん、くれよぉ……っ!」
「汐音……っ」
懇願と共に、俺は絶頂を迎えた。
今までにない快感に、意識が持って行かれそうになる。
間を置かずに、奥に熱いモノが流れ込んできた。
はあ、と息を吐いて、男がそのまま身を屈め、俺にキスしてくる。
「汐音、俺の名前、覚えててくれたんだな。初めて、名前呼ばれて興奮しちまった……」
ちゅ、ちゅ、とキスを繰り返す度、俺の中に挿入されているモノの硬さが増していく。
「もっと……、もっとくれよ、熱いのを……」
すっかり復活したモノを締め付けながら、俺は、俺を愛しげに見下ろす男の口を、さらに貪った。
その後、何度も男の精液を注がれたところが、ずっと燃えるように熱かった……。
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