僕の横に横たわっているのは隣人の優さんだ。 優さんはいつもあぶなかっしくて帰っているのが遅かったから普通の仕事ではないんだなって思った。片想いのまま死んでしまったら嫌だ。 だってそういう状況だったから。僕が気づいたとき優さんは首にカッターナイフを刺していた。止められるものなら止めたかったけどもう刺してしまった後でパニックになってしまった。おまけに叫んでいたから状況が飲み込めなくてでも、それでも救急車を呼んだ。 ポロっポロっ 「自分を傷付けなくても僕ならすべて忘れさせるのに。生きててください。」 ポツリといった言葉が聞こえていたみたいだった。医師の人が「きっと、大丈夫ですよ。」と言ってくれたからまだ、不安はあったけれど落ち着くことができた。もう二度と大事だった人を亡くしたくないから。 こう思っているのは、僕の両親と弟を十歳の時に交通事故で亡くしているから 突然隣にいた人が、居なくなる。実際それは耐え難い物で、一回いや、何回も両親と弟の所にいきたいと思ってしまった。死んでしまったらなにも残らなくて、思いでしか残らないのに。 それでも僕が生きていたのは、いつかハッピーエンドになるんじゃないかと思っていたから今明るく暮らせているのは、優さんのお陰で、今頃僕は両親の側にいたかもしれないから。