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邂逅※

「テメ、なにやって……! うっ」 「何って……、わざわざ口に出して言ってほしいわけ? 大胆なんだなァ、真宮ちゃんは」 「くっ、ん……。や、めっ……、何やってんのか、わかって……、うあっ」 「そんなこと聞かなくても分かるだろ……? お前の為に手間暇かけてほぐしてやってんの」 「そ、なの……、だれも、頼んでね、あ、んんっ……」 下腹部からこれまでに感じたことのない異変を察し、慌てて身を起こせばあらぬところへと触れられている現場を目撃し、何がなんだかすぐには状況が呑み込めずに混乱してしまう。 尚もお構い無しに秘められた箇所へと指を差し入れ、先ほど放ったばかりの白濁を絡ませながらぐちゅりと音を立て、身の毛が弥立つような行為をまざまざと見せ付けられている。 「痛くされるほうが好きなの……? まあ、そういう傾向あるよなァ……、真宮は」 有り得ないことを強いているとは思えないくらいに平然と漸は口を開き、話しながら指を呑み込ませて丹念に其処を拡げていく。 「はぁっ、うっ……、や、め……。あっ」 「お前何回目? やめろって言うの。だからそんなことホントは思ってねえんだろ? 初めてとは思えないくらい反応いいじゃねえか」 「はぁっ、あっ、くっ……」 「こんなお前の姿を知ったら……、テメエを慕ってくれている馬鹿な奴等はどう思うんだろうな……?」 「んっ……、こ、のやろうっ……」 「案外見る目が変わって、より一層お前に執着してくれるかも……? みんながお前を求めてくれるよ」 「あっ、はぁ、あ、うぅっ……」 わざとらしく音を立てながら、欲深い蜜を纏わせている指を挿入し、徐々に激しさを増してぐじゅぐじゅと掻き回していく。 やめさせようと伸ばされていた手は、漸の腕に触れているだけで力など入っておらず、顔を背けて再び息を荒くしているしかない。 嫌であるはずなのに、その想いに間違いはないはずなのに、どうしてか欲望を解き放ったはずの自身が少しずつ熱を孕み始めていて、これ以上無様な姿を晒させないでくれと懇願しても現実は無情であり、実際に指を入れられている行為に感じて頭をもたげようとしている。 「なに……? また元気になっちゃったの? お前こんなところ弄られて感じるんだ……、たまらないって顔してる」 「んっ……、勝手なこと、い、うなっ……、あっ」 「なら聞いてみようか……? お前がどれだけ媚びた声を出しているのか」 含んだ物言いになんのことだか分からず、つい気になって視線を向けてしまうと、空いていた手を衣服の物入れへと忍ばせてから程無くして、見覚えのある携帯電話が取り出される。 器用に片手で操作している様子を見て、初めこそぼんやりとしていたもののすぐにも嫌な予感が這い上がり、それが自分のものであると気が付く。 「おい、なにやって……! ん、くっ……!」 「ん? 真宮ちゃんの電話から、そうだなァ……、ナキツにでも連絡してみようかな」 「はぁ、あっ、や、めっ……、ぜ、んっ……」 「きっと心配してるぜ……? ちっともお前と連絡が取れないって。だから聞かせてやれよ、お前の声……」 「あっ、ん……、や、めてくれっ……、アイツらはっ……、あ、うっ」 いつの間に奪われていたのか、漸の手に収まっている携帯電話を見て頭の中が真っ白になり、誰とでも連絡が取れる現状に背筋が寒くなる。 屈辱的な行為を強いられて、更には仲間と言葉を交わさせようとしている漸を一層憎らしく思うも、まともな会話など今の状態を思えば簡単ではないことくらい自分でも分かる。 漸の手が休まるとも思えず、不信感を与えるだけと分かりきっている中でそのようなこと絶対に出来るはずもなく、関わらせたくない、知られたくないと懸命にやめさせようとする。 「んっ、ふ……、はぁっ、あ……」 力無い身体を押され、いとも容易くベッドに押し倒され、覆い被さってきた漸に唇を奪われる。 逃れようとも無駄なだけであり、舌を絡ませて唾液を鳴らし、息遣いと共に鼓膜を揺さぶって思考を蕩けさせる。 「知られたくなかったら……、大人しく言うこと聞こうな……?」 額へとかかる前髪を優しく払われ、間近で見下ろす漸と視線を交わらせ、最早どうにもならないのかと諦めにも似た境地で目を逸らし、歯向かえばすぐにでも誰かしらと連絡を取られてしまうのだろうと思う。 自分がもっとしっかりしていればと後悔しても後の祭りで、事態はすでに後戻り出来ない深みへとはまってしまっている。 「でも電話掛かってきたら出ちゃうかも」 不穏な台詞にハッとして視線を向ければ、漸は相変わらず微笑んでおり、からかわれているのか本気なのか判断出来なくてどうにも出来ず、彼が眼前から去って行くのを大人しく見送ってしまう。 太股に手を添えられて舌を這わし、時おり口付けながら自身を扱かれて易々ととろかされ、白濁を絡ませて内部に指を押し込められて声を抑えていられない。 嫌悪感を抱きたいのに、強いられている残酷な行いとはかけ離れた丁寧な扱いに戸惑い、じわじわと甘い快感が染み渡っておかしくなりそうになる。 知りたくもない、知ってはいけなかった己の淫らな一面を目の当たりにし、一刻も早く忘れてしまいたいと願ってもあまりに強烈過ぎる経験を根こそぎ追い出すには骨が折れそうだ。 「あ、あぁっ……、はぁ、んっ」 「甘ったるい声出てるね。気持ちいい……?」 「あっ、ん……、はっ、はぁっ」 溢れ出す欲の象徴を指に絡ませ、滑らせながら降り立って内部をかき混ぜていき、いやらしい音も手伝って正常なものの考え方を剥奪されていく。 身を任せるということはこんなにも気持ちが良くてたまらないのだと、思わずぬかるみにはまりそうになる足を引っ込めて我に返り、ちがう、そんなこと思っていないと必死に頭を振って堕ちまいと足掻く。 「あっ……! や、あっ……、そ、こっ……、や、めっ、あぁっ」 「ここ……? ここがいいの?」 「あ、うっ、んん……! あぁっ、や、あっ、はぁっ」 「そんな声も、そんな顔も……、誰にも知られちゃダメだぜ……? 真宮」 「あ、あぁっ、はっ、あっ……」 「あ~あ、いっちゃったのかってくらい溢れてんな、ここ」 「ん、んんっ……、あ、うっ」 申し訳程度に口元へ手を当てても意味が無く、抑えられない声が荒波のように唇から洩らされていき、誰が見ても感じ入っている姿を晒してしまっている。 達したばかりだというのにまたしても涎を溢れさせ、下へ下へ伝い落ちながらぬらぬらと妖しく光を放ち、漸を受け入れる態勢が嫌でも着実に整っていく。 こんなことをされて悦んでいるなんて、自分は頭がおかしいのかと、誰にも明かすことの出来ない一面と邂逅させられて認めたくないのに、逃げ出したところできっといつまでも、何処までもこの事実はついて回る。 「テ、メェなんかっ……、きらいだっ……」 「真宮ちゃんてば子供みたい。どうしたの……? 俺のこと嫌いになった?」 「テメェ、だけはっ……、あっ、はぁっ、ゆ、るさ、ねぇっ……」 「はいはい。いい加減そんなこと言えないようにしてやるよ……」

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