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邂逅※

「此処がいいんだよな……?」 「あっ……! はぁっ、はっ……、あっ、あァッ……!」 「気持ちいい……? 真宮」 自分ですら知り得なかったいいところを的確に貫かれ、痛みなどまるでないのにあまりにも無慈悲な快感の渦へと溺れ落ちていき、もうこの熱が冷めきるまでは自力でなど這い上がれない。 見覚えのない天井が映り込んでも、最早場所なんてどうだっていい、置かれている状況など、立場など、関係などどうでもいい。 ぐちぐちと繰り返される淫らな音に全てが等しく掻き消されていき、もう、何も……、考えられない。 「あっ……、い、っ……い」 突き動かされるように唇からは散々耐えていたはずの言葉が滑り落ちていき、形をなしていくほどに理性のたがが外されていく。 何もかも晒け出して、感情を露わにすることはとてもたまらなくて、狂おしいほどに気持ちが良かった。 「なんて……? もう一回」 あっ……、だ、めだっ……、もう……。 「あっ、はぁっ……、い、いっ……。きもち、いいっ……あっ、ん……」 「気持ちいいの……? こんなところに男を咥え込んで感じてるんだ……?」 「はぁっ、はっ、んっ……、いいっ……。あっ……。おく、が……、き、もちいいっ……」 目蓋を下ろし、行き来を繰り返している熱をたっぷりと味わいながら、一瞬も逃さぬよう貪欲に快楽を受け入れる。 先程までと比べ物にならないくらいの素直さを露わにし、完膚無きまでに懐柔されて屈服させられた今、漸は満足そうに暗い笑みを浮かべながら見下ろしている。 「ちゃんと言えたね。よく出来ました……」 「ん、んっ……! あっ、ぜ、んっ……、あっ、はぁっ!」 「真宮……、もっと呼んで……。お前が一層罪悪感で苦しむくらい、もっともっと……、深いところまで堕ちて来い。そうして死ぬほど後悔しような……?」 涙で濡れる視線を向ければ、誰もが振り向いてしまうような綺麗な顔立ちに笑みを湛え、穏やかな言葉で優しく包み込んでくる。 どんなに残酷な台詞を並べ立てていようとも、品の良い容貌に添えられている微笑に騙されてしまい、もっともっと後戻り出来ない淵へと自ら落下していく。 彼の真意は一体何処にあるのか、そんなこともうどうだっていいのだけれど、その唇からは大切なことは何も告げられていないように感じられた。 「あっ、ん、はぁっ……、あっ!」 抑える必要もない声が掠れながらも後を絶たず、いつしか新たな白濁に塗れている自身は昂ぶりを取り戻し、浅ましく股を開いて腰を揺らしている。 紡ぎ出された拒絶の分だけ、今となっては快楽を受け入れている言葉の数々を繰り返しており、激しく貫かれてだらしなく唇を開きながら喘ぎを洩らし、そんな自分にすら興奮を覚えて熱を孕んでいく。 身を委ねるということはこんなにも気持ちがいい、奥を抉られて揺さぶられるということは、こんなにもいやらしくてけがらわしくて、たまらなく気持ちがいい。 無用でしかない理性をかなぐり捨て、淫らな言動と共に漸へと縋り付いて、どっぷりと深みにはまって居場所すら分からぬほどにゆっくりと沈んでいく。 そうして何も、見えなくなる。 「真宮ちゃんは気持ちいいことが大好きなんだよな?」 「あ、あぁっ……、す、き……、ん、すき……、あっ、ぜ、んっ……」 「俺も好きだよ……、真宮。また遊ぼうね」 唇が触れ合えば従順に応え、舌を絡ませて唾液が糸を引き、激しくいじめられて身体が悦びの悲鳴を上げている。 「これから仲良くしようね、真宮」 男らしい振る舞いなど掻き消え、喧嘩の痛みには慣れていてもドロドロに甘やかされる快楽の沼からは這い上がれず、いとも容易く罠にはまって躾の行き届いたペットに成り果てる。 呪縛から簡単には解き放たれないように何度も何度も蕩ける快感を刷り込んで、思考を奪って、存在を刻み付けて、やがて中へドクドクと猛々しい迸りを感じてすぐにも熱が広がっていく。 「あっ、んん……! やっ……、あっ、また、はぁっ、あっ、で、るっ……、あぁっ、でちゃっ……、あっ、ん……!」 漸が達し、注がれる狂おしいほどの熱を感じ入る暇もなく、もうすでに何度も絶頂を迎えているというのにまたしても自身へと指を這わされ、滅茶苦茶に扱かれて一気に淫らな衝動が駆け上がっていく。 子供のように辿々しく言葉を紡ぎ、対照的に成熟した身体には解き放たれた欲が撒き散らされており、飽きもせずまたもこれから快感の雨を降らせようとしている。 後にどれだけ苦しもうが、死にたくなろうが、後悔しようが許せなかろうがどうだっていい、今だけはもうどうなったって構わない、弱い自分に出来ることなんて何もない。 記憶を引き摺っていつまでも苦しめと、内なる誰かが囁きかけてくる。 「あっ、あっ、ん……! も……、で、るっ……、あ、う、んっ……! あ、あァッ……!」 無我夢中で声を上げ、震わせた身体から程無くして一際欲深い蜜が解き放たれていき、先ほど出したばかりであるというのにまだこんなにも腹部をぬらぬらとよごしていく。 仰け反りながら溢れ出していく淫らな証を身体一杯に感じ取り、とろんとした表情で悩ましい吐息を繰り返す。 「真宮……」 「はぁ、あっ……、ん」 口内を貪られ、首筋へと舌を這わされていきながら余韻に浸り、止まぬ愛撫に晒されて身体は熱を孕み続ける。 幾度となく繰り返し刷り込むようにその後も抱かれ、自分が何者であるのかさえも見失うほどに甘やかな毒を染み渡らせ、深い深い夜の闇へと連れ立って堕ちていく。 もう戻れない、とうに後戻り出来ないと分かっていながらも身体を重ね、汗ばんで白濁が散らされていても構わず欲望に忠実に互いを貪り合う時がいつまでも繰り返されていく。 「あっ……、ぜ、んっ……」 飽きもせずに、確かめ合うように何度も何度も熱を穿たれて解き放ち、口付けをし、舌を絡ませ合いながらぐちぐちと繋がる下腹部からも淫らな糸を引き合っている。 幾筋もの涙を流し、そこに込められている感情すらも分からないままに声を嗄らし、いつまでも続いていくかのような時の中に閉じ籠りながら全てを漸に掌握され、爛れた一夜は尚も色褪せることなく深まっていく。 抱えきれないほどの罪悪を、育みながら。

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