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Tritoma※
髪は乱れ、うっすらと額には汗が滲み、蕩ける視界にはぼんやりとした世界が映り込む。
止めどなく漏らされる吐息は熱く、甘さを孕んで鼓膜を揺さぶり、堪えようとしても最早無駄な抵抗でしかない。
声を抑えるだけで精一杯であり、それでもいつ引き摺り出されてしまうか分からず、明後日の方を見つめて身を固まらせている。
均整の取れた体躯を晒し、両の尖りは未だ悩ましい一時を忘れられずに熟れており、僅かな刺激でも敏感に拾い上げてしまう。
ぷくりと起立し、唾液により艶かしく色付きながら、じんわりと熱を持って更なる快楽を欲している。
下腹部からは絡み付く欲の奏でが止まず、ぐちゅぐちゅと溢れて仕方がない白濁が伝い落ち、ナキツの指を尚もけがしている。
「はぁっ、はっ……、んっ」
「どうして声……、抑えてるんですか」
「んっ……、そ、なのっ……、俺の、勝手……、あ、うっ」
「恥ずかしいんですか? 可愛い声を聞かれてしまうのが」
「あっ……、ば、かやろっ……、可愛いなんて、言うなっ……んっ、あぁっ」
「可愛いですよ。もっと見境を無くしてしまうくらい、貴方を追い詰めたくて仕方がありません。ね……、真宮さん。もっと気持ち良くなって下さい」
「んぅっ……! はぁっ、あ、あぁっ……! そ、なっ……、強く、や、め、あ、あぁっ……!」
それまで緩やかに上下していた動きが、途端に激しく攻め立てるような愛撫へと変わり、あまりにも急激で過度な快感に煽られて容易く声が零れていく。
翻弄され、溺れていく身体を止められず、更なる快楽と共に欲望に塗れた白濁が滲み出ていき、拒みながらもしっかりと感じ入ってしまっている。
あんなにも堪えていた声は容易く溢れ、より一層の淫らな情欲を孕みながら吐露されていき、取り巻く全てに興奮を煽られて罪深き欲を止められない。
制止の声も一切聞かず、ナキツの手によって容赦無く追い詰められており、あまりの悦楽にじわりと視界が滲んでいく。
「んっ、も……、いいっ、もう、いい、か、らっ……あっ! や、めっ……、で、るっ……、ナキツ、離し……あっ!」
「ここでやめてどうするんですか……? 自分でしたいんですか」
「はぁっ、あ、ちがっ……、ちがうっ……、んっ」
「腰が揺れてますよ……。気持ちいいんですね」
「あっ、う……、ちがっ、俺はっ……、はあっ」
「何が違うんですか? 駄目ですよ、真宮さん。嘘ばかりつくのは」
「はぁっ、あっ、も……、い、くっ……んっ! や、ナキツっ……」
「はい……、真宮さん。俺は此処にいます。沢山……、出して下さいね」
「あ、あ、うっ……んん! い、くっ……いく、んっ、はあっ、あ、あぁっ……!」
頭を振り、ぎゅっと敷布を掴んで皺を刻めば、抑えきれない衝動が一気に解き放たれていく。
散々なまでに可愛がられ、休む間もなく攻め立てられていた自身からは、夥しい量の欲が堰を切って噴出している。
わざとらしく音を立てて扱かれ、興奮を煽りながらナキツの手により追い上げられ、いとも容易く絶頂を迎えてびゅるびゅるといやらしい行いの証が溢れて止まらない。
ぬらぬらと腹部を淫猥にけがし、ひくつきながらも欲望を吐露することは忘れておらず、あまりの快感に自身からは未だ白濁が溢されている。
「はぁっ、あっ……、ん、見るなっ……」
顔を背け、一方の手で表情を隠しながら身動ぎ、ナキツの視線から僅かでも逃れようとする。
今更とは言え、未だ自身からは欲望の証が止めどなく滲み出ており、いやらしく身体をけがして猥雑な艶を放っている。
すでに手遅れであるとは分かっているものの、このままじっと痴態を晒し続けているのも耐えられず、視線を逸らして少しでも情けない姿を彼から遠ざけたかった。
しかしナキツにしてみれば、更なる煽りをもたらされているようなものであり、瞳を潤ませて頬を染め、弱々しく恥じ入る姿を目の当たりにして思わず生唾を飲み込む。
滅茶苦茶にしてしまいたいという衝動が次第に膨れ上がっていき、己が欲望を満たすだけの行為にはしたくないと思いながらも、目前にて発される色気にあてられてやっとの思いで自分を保っている。
「真宮さん……」
「んっ、ふ……、んぅ」
勝手を許してもらえず、名を紡がれてからやんわりと手を払われ、視線を向けると間近でナキツと目が合ってしまう。
そのまま唇を重ねられ、拒みきれずに口内へと舌を差し入れられ、すぐにも捕らえられてくちゅりと唾液が絡み合う。
思考をとろかされ、考えなければいけないことがあるはずなのにまとまらず、混ざり合う熱により理性が焼き尽くされていく。
鼻にかかった吐息を漏らし、くちゅくちゅと次第に自らも舌を絡めて唾液が溢れ、つうっと唇から伝い落ちていく。
「はぁっ、はっ……」
口付けを終える頃には息が上がり、熱っぽく呼吸を繰り返しながら視線を逸らし、高ぶっていてもナキツとまともに目を合わせてはいられない。
「んっ……! はっ、あっ、や、めっ……あ、あぁっ! 触らなくていっ、いい、からっ……あ、うっ……!」
「全然止まらないですね。そんなに気持ち良かったですか……?」
「う、あぁっ、も……、やめっ、ナキツ……! お、かしくなるっ……ん!」
「答えて……、真宮さん。気持ち良かったんですか?」
「んっ……、はあっ、あっ……! った……、気持ち、良かった、か、らっ……、もっ……、やめっ」
達したばかりで敏感な自身へと指を這わせ、懸命に阻もうとしても嘲笑うかのように先を弄られ、それでも滲む欲は止まらずに劣情を孕み続けている。
もうおかしくなってしまいそうで、またしても足を踏み外してしまいそうで恐ろしいのに、考えることを許されない現状ではただただ素直に受け入れるにとどまっている。
あまりの刺激に涙が溢れ、乱れる息には間違えようもない熱情を含み、ナキツに乞われるがまま望む言葉を口にする。
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