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Tritoma※

茶褐色の髪を揺らし、ナキツは柔らかに微笑みながら顔を向け、堪え忍んでいる様子をいとおしそうに見つめている。 一挙手一投足に注目している余裕はなく、手の甲で弱々しくも口元を押さえ込み、目蓋を下ろして凶悪なまでの快楽に流されまいと必死に耐えている。 溢れる涙が頬を濡らし、狂おしいほどの熱を孕んでいる身体には、うっすらと玉のような汗が浮かんで光を帯びている。 淡い照明に晒され、より艶かしく其の身を色付かせながら、誘うように腰が揺れて淫らな響きは尚も続いている。 無意識に敷布を掴み、縋っているかのようにぎゅっと力を込め、抗い難い悦楽が増していくほどに固く拳が握られる。 そうしている間にも自身を攻められ、か弱く頭を振っては幼子(おさなご)のような拒絶を繰り返すも、とうに身体は与えられるえも言われぬ悦びに呑まれてしまっている。 口では抵抗を示していながらも、最早ナキツの手から離れられなくなっており、快感として受け入れている淫らな身体はどっぷりと溺れ、強烈な刺激を貪欲なまでに喰らっている。 痛みには強くても、蕩けるような快楽には弱く、立て続けに注がれていく行いの数々に容易く陥落し、抑えようとも唇からは色っぽい声が溢れている。 「はぁっ、あっ……も、無理っ……、む、りっ、あ、あぁっ……!」 達したばかりで敏感な部分を弄られ、髪が乱れても構わずに身動ぎ、媚びるような甘ったるい声と共に更なる頂点へと昇り詰め、自身からはびゅるっと卑猥な体液が飛散する。 あまりにも強大な快感に身を震わせ、正気を失ってしまいそうな程の甘い痺れが全身を駆け巡り、ひくついている自身からはだらだらと欲が零れている。 一気に力が抜けていき、とろんとした双眸は何処と無く虚ろであり、思考を放棄して目一杯に余韻に浸っている。 自分が自分でいられなくなる恐れを感じていながらも、このような状況で己を律しているのは難しく、身体はすでに言うことを聞いてはくれない。 「んっ、はぁっ……、な、に……」 一時の休息すら与えられず、白濁に塗れている自身へと再び触れられると、そこからつうっと指先が下りていく。 欲を拭いながら滑り落ち、やがて秘められた一点へと辿り着き、すぼまりを指の腹で撫でられて慣れない感覚に戸惑う。 呂律が回らず、辿々しく言葉にならない気持ちを紡ぐも、すりと白濁を塗り込まれていくうちに再び熱を孕み始める。 呪わしい一夜が脳裏を過り、掻き消したところで現在の行為と悦びが次第に重なっていき、愚かな自分をまざまざと見せ付けられて逃れたくても許されず、そもそも身体は浅ましく堕落しきっている。 あの夜に何度も弄られ、何度も貫かれたというのに、懲りずにまたしても享楽を欲して期待にひくつき、ナキツの指が少しずつ入ってきても受け入れてしまう。 欲望を満たしてくれるなら誰でもいいのだろうと、内なる魔に囁かれて意識を散らし、俺じゃない、俺じゃないと子供のように駄々を繰り返すも、中を擦られる快感を身体はすでに覚えてしまっている。 「はぁっ、あ、うっ……、やめっ、や……、ナキツっ……」 「真宮さん、どうしました? そんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫ですよ。俺は貴方を傷付けたりしませんし、怖いことなんて何もしませんから」 「んっ……、ば、かっ……、はずかしいこと、いうな……はぁっ」 「どうしてですか? 俺の気持ち、真宮さんには知っていてほしい。そして真宮さんのことも、俺はもっと知りたいんです。やめてほしいなんて……、本当は嘘ですよね」 「はぁ、あっ……う、そじゃなっ……」 「嘘じゃないんですか? 困ったな。そんな風には見えなかったんですが」 「んっ、んんっ……! はぁっ、あ、あっ……やっ、そ、なとこっ、あっ」 「ここ、掻き回されて気持ちいいんですか……? さっきよりもいやらしい音が出てますね」 「んっ、ちがっ、ち、がう……、あ、あぁっ」 懸命に頭を振るも、とても嫌がっているようには見えず、現に身体は悦楽を受け入れて揺らめいている。 少しずつ広げていきながら、後ろの一点へと指を滑り込ませ、欲望に塗れてぐちゅぐちゅと卑猥な音が漏れている。 拒む姿勢も口だけで、ナキツの身に触れたところでどうすることも出来ずに見え透いた嘘を繰り返している。 どれだけ拒もうとも、泣いて悦ぶ身体は何よりも正直であり、ナキツの指を絡め取りながら奥へといざなっていく。 いつしか二本に増やされ、内側を掻き回すようにそれぞれが蠢き、淫らな欲求がとどまることを知らずに募っている。 はあ、と熱い吐息が零れ、今にも蕩けてしまいそうな最中で必死に自分を保ち、宙ぶらりんの状態で理性に縋り付いている。 これ以上追い詰めないでほしいのに、更なる快楽に溺れてしまいたい愚かな欲求とせめぎ合い、何も考えられなくておかしくなりそうであった。 「降参ですか……?」 「はぁっ、はっ、んっ……」 「いけない人ですね。本当は感じているのに、噓をついてそっぽを向くなんて」 「あっ、ん……、ちがっ……、はぁっ、うそ、なんかっ……」 「そうやって意地を張って強がってしまうところも……、全部大好きです。真宮さん……」 「あっ、あ、だ、めっ……、ん、はぁっ、あぁっ、やっ、指、ゆ、びっ……、とまって、あ、あぁっ!」 言葉にならない声が溢れ、ぐちぐちと音を立てながら内部を掻き乱され、泣きそうな表情で切なそうに喘ぎを漏らしている。 唇からは容易く感じ入っている矯声が発され、腰をくねらせている浅ましい自分には気付かず、あのような部分で感じてしまう身体であることから目を背けたい。 だが現実からは逃れられず、押し開いて進められる指にすら感じてしまい、更なる存在に入り込まれたら一体どうなってしまうのだろう。 ひくひくと窄まりが収縮し、拒絶したいと思っていても身体は淫らな快感を求めており、圧倒的な熱を注がれし時を待ち望んでいるかのようにナキツの指を悦んでいる。 「ハァ……。色っぽいです、真宮さん。すごく、そそられます」 「はぁっ、んっ……、そういうのは、もっと、ほ、かのやつに……」 「どうしてそう思うんです……? 貴方以上なんているわけがないのに……」 「あ、あぁっ……、んっ、うっ……」

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