122 / 344
Tritoma※
「はぁっ、あ、あっ……、んっ! も、離しっ……、ん、うっ」
途切れながらも語り掛けるのだが、努力も虚しく言うことを聞いてはもらえず、塞き止められたまま快感ばかりを与えられ続ける。
普段とは違い、今だけは望みを聞き入れてはもらえずに翻弄され、耐え難いお預けを強いられて苦しく、なり振り構わずに声を上げても気にもならない。
「あっ、ん……、少しは……、はぁっ、ん、言うこと、聞、け……、あっ」
「どうしてほしいんですか……? 態度で示してもらえないと、俺には分からないです」
「ん、あっ、ば、かっ……、知ってる、く、せに……、はぁっ、あ」
「何の事ですか……?」
「あっ、ん、お前っ……、ほんと、性格……、わ、るいっ、はぁっ、あっ」
「言いましたよね。俺は……、いい人じゃないんですよ。真宮さん」
「んっ、んぅ……、あっ、あ」
「特に貴方の事になると……、自分でも情けないくらい、冷静でいられない……」
悦楽に押し流されながらも、なんとなく気になって視線を向ければ、何処と無く切なそうに微笑んでいるナキツの姿が映り込む。
勘違いかもしれないけれど、笑っているのに何処か悲しげに見えてしまい、気が付けば感触を求めて手を差し伸べる。
「んっ……、ナキツ……」
甘く吐息を漏らしながらも呼び掛ければ、今度は素直に応じて前傾し、程無くして掌へと頬を擦り寄せられる。
思い詰めた表情で見つめられ、暫くは視線を絡ませて黙り込み、すりと親指で確かめるように彼の肌を擦る。
「あ、はぁっ……、ん」
未だ繋がり合い、互いの距離が近づいたことでより深みへと熱を押し進められ、いいところを探り当てられてたまらず色艶を孕む声を溢してしまう。
何かしら声を掛けるつもりでいたのに、満足に言葉も紡げぬままにぐりと試すように擦られ、今度は的確に刺激されて泥沼の快楽に再び引き摺り込まれてしまう。
「あ、あぁっ、ん、くっ……、はあ、や、そ、こっ……」
「此処が好きなんですね……。沢山してあげます」
「はぁっ、あっ、や、めっ、んんっ、そ、んな、擦っちゃ……あ、あぁっ」
「そんな顔……、誰にも見せないで下さい」
「はぁ、あっ、な、に……、んっ」
「誰にもそんな声……、聞かせないで下さい。真宮さん……、俺、貴方のことが好きです……」
告げられる想いは、もう何度目か分からない。
抑えられない気持ちが弾け、激しく甘くじんわりと痺れるような淫楽へと溺れ、一点ばかりを執拗に狙われて容易く蕩けていく。
「あ、あぁっ、そ、こ、もうっ、やっ……、あぁっ! 変に、な、るっ、あ、はぁっ、ん……!」
「なればいい……。俺の手から離れてしまうくらいなら、いっそ……、おかしくなってしまえばいいのに……」
「はぁ、あっ、ナキツっ……、あっ」
ゆっくりと考えている暇は与えられず、行き来を繰り返す度に下腹部からは情欲をそそる音が零れ、自身は今か今かと解き放たれる時を待ちわびている。
ぐちぐちと粘りつくような響きで溢れ、従順な身体は狂おしい程の悦楽を受け入れ、揺さぶられて感じている。
ナキツの頬に触れていた手に力を失い、するりと落ちかけると手首を掴まれ、そのまま敷布へと組み敷かれて掌が触れ合う。
ぐぐと内部では押し進められ、じんと熱く疼いて仕方がなく、もうどうにかしてほしくてたまらない。
「はっ、はぁっ、手、離しっ……、もう、い、くっ、はぁっ、あっ」
容易に達することを許されず、熱に浮かされておかしくなりそうな心地にて、耐えられずに離れさせようとそろそろと腕を伸ばす。
しかし今は力無き手では払い除けることも叶わず、そうしている間にもぐちぐちと中から攻められてたまらず、感情が高ぶって目尻には涙が浮かぶ。
阻まれていても、先からはじんわりと白濁が滲んでおり、熱が溜まりに溜まっている自身はひくつき、尚も快感を与えられ過ぎて乱れる息が止まらない。
「あっ、あ、ナキツっ……、やだっ、やっ……、だ、めっ、あ、あぁっ」
「いきたいんですか……? 真宮さん」
「ん、んっ……、い、きたいっ……、あ、はあっ、もう、もっ……」
「此処がそんなに気持ちいいんですか」
「あっ、いいっ……、そこ、気持ちい、からっ……、も、離しっ……、あっ」
素直に答え、尚も狂おしいほどの熱に攻め立てられ、懇願する。
貪り尽くされそうなくらい獰猛に追い上げられ、息も切れ切れなのに甘ったるい声が勝手に出ていき、そうして急に自身を縛り付けていた力が消え、瞬間から一気に這い上がるあまりにも強い衝動を抑えることなどもう出来ない。
「あ、あっ、はぁっ、や、でるっ、あぁっ……、い、くっ……、んっ!」
重ねられている手に指を絡ませ、互いに自然と強く繋ぎながら、抗い難い果てが近付いてくる。
荒く呼吸を繰り返し、貪欲に快楽の渦へと身を投げ出して感じ入り、唇を重ねられて舌が触れ合う。
全てをとろかすような熱さと、甘さをもって絡み合い、くちゅりと音を立てて夢中で深く口付ける。
唾液が溢れても構わず、顎を伝い落ちても尚も唇を触れ合わせ、穿たれる悦びへと素直に応じながら何度も何度も中を擦られる。
やがて唇が離れ、首筋へと舌を這わされてびくりと身が震え、汗ばむ体躯を重ね合わせて今はもう何を考えることもなく、ただただひたすらに淫楽へと溺れて声を上げている。
「今……、貴方は誰に抱かれてるんですか……」
「あ、んっ……、ナ、キツっ……、ナキツ……、はぁっ、あっ、も……、い、くっ……ん、でるっ、あっ……!」
耳朶を食まれ、甘やかな低音に囁かれて下腹部が更なる熱を持ち、従順に名を紡いで悦楽に酔いしれる。
抉るように貫かれ、容赦のない攻めに晒されて抑えなんてきかず、荒波の如く打ち寄せる快感に浚われて自身からとろりと滲んだのを機に、一気に獰猛なる悦楽が勢い良く襲い掛かってくる。
ともだちにシェアしよう!