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Digitalis※
肌を滑り、すでに欲望に塗れている自身へと触れられ、それだけで甘美なる熱が深まっていく。
白濁を伝わらせ、漸と繋がり合う其処をも濡らし、それでもまだ足りぬとばかりに自身からは欲が溢れている。
「あっ、はぁ……、ん」
眼差しは蕩け、頬を染めながら切なそうに喘ぎ、感じ入るあまりに胸を弄っていた手が止まる。
一方の尖りからは漸が退き、自身へと愛撫しながら腰を手で押さえ、繋がりを深めて徐々に激しさを増していく。
あらゆるしがらみを追いやり、今では従順に快楽を追い求めており、堕ちていることにすら気が付けないままに互いへと沈み込む。
熱を帯びた視線が交わり、行き来する度に漏れていく音に興奮を煽られ、快楽となって降り注ぎながら少しずつ昇り詰める。
疑問は潰え、漸との情事にすっかり溺れてしまっている今では、全ての事柄がすんなりと入ってくる。
反発もなく、等しく快感へとすり替えられていきながら、とやかく言ってくる思考も今や眠りに落ちている。
「そういえば……、名前、なんていうの」
自身を擦られ、奥を貫かれる度によがっていると、不意に声を掛けられる。
悦へと浸っている為に、すぐには羅列の意味を呑み込めず、反芻させてようやく名を問われたのだと理解する。
「あ、はぁっ、ん……、な、まえ……」
「そう。名前……、なんて言うの……?」
一時の幻であろうとも、甘ったるい空気が一帯を包み込んでおり、先程までの険悪さは消失している。
悦楽へと浚われたことにより、どのような言動をしたところで聞き流されると踏んだのか、漸もまた警戒を解いているかの如く穏やかさを纏っている。
今だけは何も気にせず、どんな形であれ相手を求めていようとも、一時だけは総じて許されている。
「はぁ、あっ……、ん、りょう、じ……はぁ、りょうじ……」
「りょうじ……? そう。凌司か」
「んっ……、はぁ、は……、まえ、は……」
「ん……? なに」
「お前、は……」
「俺……? そんなこと聞いちゃっていいの? 後で後悔しても知らないよ」
「んっ……、べつに、後悔し、ない……はぁ、あっ……」
「ふうん……、そう」
視線を注がれていても、気にもならずに時おり感じ入るように目蓋を閉じ、二重の攻めに翻弄されながら腰を揺らす。
攻撃的な言動は止み、今ではただ見極めるかのように視界へと収め、確かな熱を孕みながら漸は、珍しく少しも笑っていない。
張りぼての偽善を暴き、堕落のもとに這いつくばらせてやろうと目論んでいたというのに、思っていたよりも一筋縄ではいかない相手であることに気が付き、他とは何か違うのだろうかと過らせながらも、漸はじっと脳裏へと焼き付けるかのように見つめている。
その辺の石ころと大差ないと思いつつも、我が身とは全く異なる性質を前に、漸もまた何が燻っているのかも分からないままに引き寄せられ、傷付けながらも思い通りに動かしきれない現実へと直面している。
「お前にだけ教えてあげる。皆には内緒だよ」
全ては熱のせいだと、互いへ溺れている理由として片付け、肌が重なる度に粘膜の擦れ合う卑猥な音が零れていく。
「んっ、はぁ、あ……」
「祀井 だよ。祀井 漸。ヒズルにすら言ってないんだから、内緒にしてね。真宮ちゃん」
「あ、あ、ぅっ……、ま、つる、い……」
「そう、祀井。なんでこんな状況で自己紹介してるんだろ。可笑しいね」
「はぁ、んっ……、あ、あ、あぁっ、ぜ、ん……」
真実かは判別出来ないが、そんな事は最早どうでも良くなっており、素直に漸が明かしてきただけで十分に価値がある。
漸の様子を窺おうとするも、阻むかのように突如として大きく律動し、奥を貫いては激しく内側を擦られてたまらず、いつの間にか快楽を覚えさせられている其処からは自身が絶えず行き来している。
ぐちゅりと白濁が絡み合い、其処からも滴りながら更なる快楽を煽っていき、じっくりと暴かれて貫かれていく感覚にいつしか慣らされている。
そのようなところで感じてしまうなんておかしいのに、確かに疼いている感情からは逃れられず、一点へと巡る熱が解き放たれる時を待ち焦がれている。
「あぁ、はっ、あ、あっ……、ん、そこ、ばっか……、や、めっ、あぁっ」
「ちゃんと覚えてて偉いでしょ、お前の好きなところ」
「あ、ああぁっ、ん、んっ……、やめっ、あ、おかしく、な、るっ……、あぁっ」
「いつまでまともなつもりでいるの……? もうとっくに、おかしくなってるだろ。こんなにグチュグチュ言わせて、たまらなくて仕方がないんだろ?」
「あ、あぁっ、う」
「中擦られて気持ちいいんだろ……? こんなところで感じちゃうなんて、恥ずかしくて誰にも言えないね。ずっと溢れて止まらないコレがいい証拠……」
「あ、あぁっ……ん! や、あぁっ、や、めっ、はぁっ、あっ……!」
「もっとしてって言ってるようにしか聞こえない。そうなんだろ……? いやらしいヘッド様」
打ち付けるかのように叩き込まれ、圧倒的な熱量で貫かれながら自身をぐちぐちと弄くられ、気持ち良くてたまらなくて溢れる声が止まらない。
苦しませるだけの思考は翳り、今はただ甘やかな痺れへといざなわれるがままに堕ち、拒むような言葉を発していても腰が揺らいでねだっている。
大きく足を開き、欲望を根元まで受け入れては出入りを繰り返され、意識が飛んでしまいそうな程の悦楽が燻っている。
一気に解き放てばきっと気持ちが良く、その瞬間を求めて集まる熱が肥大していき、絶え間無く先端からは蜜が零れている。
「あ、あ、はぁっ……、そ、な……こと……」
「頑張るなァ……、まだ堪えようとしてるの? とっくに我慢しきれてないのに? そんなにいじめてほしいの? なァ、どうなんだよ」
「あっ……、ん、くっ、おれは……、あぁっ、ん、そんな……、ち、が……」
「違わない。お前は、よごされるのが好きでたまらないんだよ。真宮……」
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