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Digitalis※

完膚無きまでに陥落し、漸は口角を釣り上げて獰猛な笑みを見せると、一層貫きを深くして攻め立てる。 快楽だけを従順に貪り、腰をくねらせていいところへといざない、何度も何度も抉られては蕩けていく。 余計なことなんて、何にも考えなくていい。 今はもう、求めるがままに悦楽の底へと沈み込み、這い上がる気も起きないくらいに酔いしれる。 あられもなく声を上げ、白銀に対する認識などとうに薄れ、狂おしい程の快感を与えられて躊躇いもなく縋る。 手と手が重なり合い、今だけは全てを許し、受け入れるかのように指を絡ませて敷布へと落ち、互いの温もりを感じながら悦びを分かち合う。 「はぁ、あっ、う……、あぁっ、きもちい……、そ、こ……、んっ、はぁ、あ、そこっ……もっと……」 「自分から擦り付けてくるなんて、お前みたいのを淫乱て言うんだぜ」 「あっ、はぁ、は、きもちいい、か、ら……あ、あぁっ」 「ふうん……、そう。しょうがない奴」 何処と無く満足そうな笑みを湛え、ぐちぐちと内部を擦られる度に快感を煽る音が漏れ、これ以上ないくらいに興奮を高められておかしくなりそうであった。 達しているのかと錯覚する程に、自身からはすでに夥しい量の白濁が垂れ流されており、淫らな姿を晒していることに最早抵抗もなく、媚びるような声を絶えず聞かせている。 委ねてしまえばこんなにも気安く、辱しめられても快楽が勝って高ぶりが増していくのみである。 止められない、ここまで来てしまえばもう達することでしか落ち着けず、このような状態で放られたらそれこそ気が狂ってしまう。 激しく揺さぶられて気持ち良く、もうそこまで絶頂が迫ってきており、解き放てばきっとたまらない一時がもたらされる。 「あ、あぁっ……、んっ、いや、な、のに……、おれ……、あっ、なんで……、あ、あぁっ」 「嫌なのに感じちゃう……? それって本当に嫌がってんの? 何処から見ても突っ込まれて悦んでるようにしか見えないけど?」 「あ、あぁっ、も……、むりっ……、むり、もう、もっ……、で、る、あ、あぁっ」 「もう何にも聞こえてないね、真宮……」 疼いて仕方がなく、それは抗い難い衝動を呼び込み、堪えきれずにびゅると噴き出した白濁を機に、堰を切ったかのようにどんどん勢いを増して飛散していく。 思考は蕩け、甘やかでいて強烈な痺れに襲われていき、獰猛な熱が一気に解き放たれて溢れ出す。 「んっ……! あ、ああぁっ、も、いくっ、ん……! あ、あぁっ」 一際感じ入る声を漏らしながら、欲深な自身からはとめどなく淫らな蜜が噴出し、汗を滲ませている身体へと悩ましく注いでいく。 余韻へ浸るように瞳を閉じ、何度目かの涙を溢しながら快楽へと堕落し、頬を染めて唇からは甘ったるい吐息が漏れている。 ひくつかせながらも、吐露される白濁はなかなか止まず、身体をけがしては悩ましく彩っている。 だらしなく身を投げ出し、一気に疲労感が押し寄せてきて気だるく、乱れている様にも構わずにただ呼吸を繰り返す。 「んっ……、はぁ、あ、あ……」 達してから少しの間は、何を言われることもなく中を行き来され、収まる熱量を感じて喘いでしまう。 呼応するように白濁を溢し、ぐちゅりと音を上げながら貫かれて声が漏れ、やがて蠢いていたそれから迸りを感じて熱さが増す。 「あ、あぁっ……、なか……、あつ、い……、は、あ、あぁ……」 脈動を感じ、例えけがされていたとしても表情は蕩けており、其処から溢れ出す欲が混ざり合って愚かな情事を彩り、濃密な夜は全てを包み込んでいく。 彼は何も紡がず、微かに乱れた呼吸を静かに繰り返しており、どのような表情を浮かべているのかさえ分からない。 様子を窺おうという気も起きず、注がれていく熱と、自身からしつこく垂れ流されていく欲を感じて吐息を漏らし、彼が居ることも構わずに脱力している。 見つめられていることにも気付かぬまま、やがてずるりと引き抜かれた其処からは更なる白濁が溢れ出し、伝い落ちては敷布を濡らして情欲の跡を色濃く残していく。 まだ暫くは、何にも考えられないままに甘美なる余韻へと浸り、じきに現実を呼び覚まされて新たな葛藤を植え付けられていくことだろう。 でもそれは、此の身だけに限ったことではなく、僅かながらにも彼の調子を狂わせ、以前とは少しだけ歯車の歩みが変わってしまっている。 気が付けないけれど、今は何もかも考えられずに熱っぽく吐息を漏らし、汗ばんだ身体を晒して甘ったるい感覚へと溺れていく。 「ん……、はぁ」 ゆっくりと、甘ったるい声を漏らしながら目蓋を押し上げ、暫くはぼんやりと映り込む光景をただ見つめる。 室内を見ていても何の感慨もなく、思うこともないままに視界へと収め、やがて気が付いたかのように視線を向けて彼を捉えようとする。 「ん……」 一瞬、淡い照らしの下で視線を注いでいる青年が見えたような気がしたのだけれど、ふわりと何かが覆い被さってきたと思えば視界は閉ざされており、彼の手によって塞がれてしまったことを程無くして知る。 様子を窺えず、唐突に目隠しをされて戸惑うも、思考はまだ鈍っている為に騒ぎ立てることはない。 それでも何かしらは紡ごうと唇を開けば、塞ぐように軽く触れるだけのキスを落とされ、そんな事をしてくる漸の様子を知ることは許されない。 「ん……、ぜん……」 未だ熱を帯びながら、か細く漏らされる名を聞いても、確かに其処にいるはずの青年から紡がれる言葉はない。 意味合いなんて無いのだろうけれど、触れるだけの柔らかな口付けがまどろむ中で印象に残り、視界を奪われたまま、彼を見つめることを許されないまま、それでも時は等しく流れていく。 不毛であると知りながらも、今だけはその手を拒む理由が何処にも見当たらなかった。

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