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孤高のカタルシス※

「ん……」 ゆっくりと、甘さすら含まれているような口付けを交わし、粘膜を絡めて舌を触れ合わせる。 逃れようと足掻きもせず、素直に求めへと応じて口内を明け渡し、鼻にかかった吐息を漏らしている。 糸を引きながら離れれば、情欲に蕩けた表情をしている真宮が見え、唇からは唾液を伝わせている。 「怪我……」 「ん……? ああ、お前に殴られたとこ」 ふっと笑んでから答えると、暫くぼんやりと見つめてから何を思ったのか、傷口へと唇を重ねてくる。 次いで舌を這わせ、癒すようにぺろりと舐めてから離れていき、心中が全く読み取れない。 そのような事を自分からしてくる性質ではないので、思いもよらない行動に調子を乱されたのは事実であり、ごまかすように後ろから回していた手を下ろしていく。 「んっ……、あ、何して……」 「なんであんな事したの。煽ってんの……?」 「あっ、ちが……、んっ、やめ……」 「やめてあげようかと思ったけど、気が変わった」 「はっ、あ……、も、いった、のに……」 「まだ出せるだろ」 「はぁ、あっ、むり……、もう、できな……、ん」 「無理じゃない。聞いてなんてあげない」 「あ、あぁっ、やめ……、んっ」 すでに達していた自身へと両手を這わせ、制止を振り払って執拗に扱きながら、一方では先端へと掌を重ねて捏ね回す。 ただでさえ敏感になっているところへ、無理矢理に快楽を植え付けられてはたまらず腕を掴んでくるも、力なんて入らずに結局は為すがままになっていく。 拒んでいても、次第に其れはまた新たな熱を孕んでいき、とろりと白濁が滲んでいくのを感じる。 すでに散々なまでに塗れ、欲深な証を大いに垂れ流していたというのに、情欲をそそるような粘着質な音を発し、まだ足りないとばかりに頭をもたげていく。 「なんだよ、コレは。往生際が悪い割に、すっかり勃ち上がってんじゃねえかよ。なァ、どういうこと……? やりたくないんじゃなかったの」 「あ、あぁ、うっ……、はぁ、あ、やめっ……」 「ほら、また出てきてる。いいの……? 本当にやめても」 「あっ、はぁ、あ、いやだ……」 「どっちなんだよ、こんな状態にして悪い奴」 「あ、あぁっ、だ、め……、いくっ……、い、あ、あぁっ」 感じているのは明らかで、振り払えもせずに自身を弄られてやがて達し、どぷと白濁が溢れてきている事にも構わずに、手を止めず彼を更なる淵へと追い詰めていく。 「あ、あぁっ、もう、やめっ……、いった、から……、あ、あぁっ、さわるの、やめっ」 「ダメ。まだ終わりじゃない」 「はあぁっ、あ、あぁ、や、もう……、む、り、あっ、むり、やだ、あ、あぁっ」 「何処が……? まだこんなに出せるじゃん。先っぽ弄られるのが気持ちいいの?」 「んっ、んぅ、はぁ、はっ、あ、あぁ、やめ、や、あぁっ、できなっ……」 「まだ止まらないね。ほら、出てきてる」 耳元で囁きながら、時おり口付けをしつつ自身を弄び、いつまでも捕らえては無理矢理に熱情を煽っていく。 力が入らず、やめさせようと腕を掴んではくるものの、ずるずると落ちて終いには添えているだけとなってしまう。 肩を震わせ、満足に立っていられないくらいに追い込まれ、今ではすっかり背中を預けてしまっている。 荒く呼吸を繰り返し、それでも言い様のない劣情を湛えており、欲に塗れている自身からは淫らな音が漏れ続けている。 時を忘れ、置かれている立場を忘れ、状況を忘れてただ相手を求め、涙を溢しながら懇願している真宮を抱いて、何度目かの絶頂へと引き摺るようにして導いていく。 「あ、あぁっ、もう、も、やだ、あぁっ、や、めっ……」 「まだいけるよな。もっと出してみて」 「んっ、う、むりだ……、もう、むりっ……、あ、あぁっ、やめ……、ゆるし……、はぁ、あっ」 「ダメ。許さない」 「ん、くっ……、はぁ、あっ、や、さわるの、やめ……、もう、もっ、でない……、あぁっ」 「真宮。もっともっと、ワケ分かんなくなっちゃえよ。全部見失え」 「はぁ、あ、あぁっ……、やめっ、ぜん、ぜ、んっ……」 聞き入れることはなく、とうに牙をへし折られている彼が許しを請うも、執拗に自身ばかりを攻め立てては白濁を塗り付ける。 温もりを感じながら、背後から抱くように腕を回して一点ばかりをいたぶり、いつしか掠れた声で延々と縋ってくる。 唇を閉ざせず、淫らな糸を引きながら顎へと滴り、誰もが知っているような彼の姿は今や何処にも存在していない。 「あ、あぁっ、や、もうっ……、こするの、やめっ、あ、あぁ、んん、う」 「なんで……? 先っぽ気持ちいいんでしょ? 次はいつ会えるか分からないから、今のうちに沢山しておいてあげるね」 「あ、あ、もう、いっ……、いいから、やめっ」 「ダメだよ。忘れないでね、俺の事」 もう何も聞こえていないかもしれない彼へ、そっと囁きながら時の許す限り愛で続ける。 離れても忘れられぬよう、いつまでも悔やんでしまうように。 本当に離れられないのは、忘れられないのはどちらだと、何者かが囁きかけてくる。 引き寄せられるように近付いて、手を出さずにはいられない彼を閉じ込めて、未だ答えを探らぬままに暫しの時を共有する。 噛み付いて、口付けをして、何処までも追い立てて泣かせて縋らせて、此の身もまた言い様のない熱を孕みながら秘密を育んでいく。 本当に深みに填まっているのは、どちらだろうか。

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