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庇護者 29※

気を抜くと、強烈な快楽に押し流されそうになり、その度に理性を懸命に手繰り寄せる。 髪は乱れ、額には汗が滲み、熱情を孕んだ艶めかしい声が唇から零れ落ちる。 腹部には、何度果てたか分からぬくらいに白濁が飛び散り、淡い照明に彩られながらぬらぬらといやらしく光を帯びている。 「あ、あぁっ……、ぜ、ん……」 かろうじて名を紡ぐも、彼には一向に届いていないのか、無言で敏感な内部を擦られる。 劣情が行き来する度、甘やかな快感がじんわりと込み上げ、窄まりが更なる悦楽を求めるように淫らにひくつく。 「あっ……、や、めろ……。もう」 「なんで……?」 「んっ……。はぁ、あっ……」 「気持ち良くないの……?」 「はぁっ、う……、ん、なこと言って、ねえ……。いいから、困って、んだよっ……」 肌を打ち付け、下腹部からふしだらな音が零れる度に、快楽が全身へと行き渡る。 ようやく口を開いた漸が、言葉少なに淡々と紡ぐ間にも、とうに許容を超えた劣情が容赦なく奥を掻き回していく。 「あ、あぁっ……! く、たばれよ、てめえ、なんかぁっ……」 「その時は、お前も連れて行く」 「はぁ、はっ、ん……」 「腹ン中うねってる。俺のこと誘い込んでる自覚ある?」 「はぁ、あぁっ」 「知ってる? ここ触るとスゲェ悦ぶんだよ、お前」 「あ、うぅっ……、はぁ」 腹部を撫で回されると、より深く繋がりを感じ、抑えきれない快楽が肥大していく。 強がりを言っても空しく響き渡り、静かに攻め立てる漸の手を止める事など出来ない。 次第に速まる律動に、揺さぶられた自身からは先走りが飛び散り、幾度となく身体に淫らな証を降らせていく。 一時的に戻りかけた思考も再び暗闇へと追い払われ、代わりに浅ましい欲望だけをこれこそが正しいとばかりに置かれてしまう。 「こ、れでいいと……、はぁ、あっ……思ってんのか、おまえ……」 「いいとか悪いとか、どうでもいいだろ」 「よ、くな……、良くねえよ……、あ、うぅ、ん」 「お前、うるさい。黙れよ」 「あっ……! そ、れ……、さわ、な、あ、あぁっ」 銀髪の青年へと語り掛けても、一体何処まで心に響いているのだろうか。 触れることすら叶わぬような心へ辿り着くには、何処からこじ開ければいいのだろう。 夢うつつのような心地を彷徨いながら、何とか奮い立たせて言葉を投げ掛けるも、不遜な彼の手によって簡単に黙らされてしまう。 何度果てたか分からぬ自身を無遠慮に握られ、過敏なそれを激しく扱いて攻め立てる。 そんな事をされて耐えられるはずもなく、一際はしたない声が零れ出るも、漸は許す事もなく平然と理性を余すことなく握り潰していく。 「あ、ああぁ、はぁっ、は……」 「何も喋れなくなった? 初めから大人しくしてればいいのに」 「う、うぅっ……、ぜ、ん……」 「なんだよ、真宮。これ以上、俺の中に入ってくるな」 息をも出来ぬくらいに攻め立てられ、熱情を打ち付けられて頭がおかしくなりそうになる。 言葉も紡げず、考えたい事もまとまらず、全てを快楽で押し流すように間髪入れず内部を掻き乱されていく。 「あ、あぁっ、あ」 「真宮……」 だらしなく開いた唇から唾液が零れ、拭う事も出来ないまま悩ましい声ばかりが溢れる。 それでももう、どうする事も出来ない。 気持ち良くて仕方が無く、何もかもがどうでもよくなってしまう。 名を紡ぐ声が心地好く聞こえ、ずぶずぶと押し広げられる快感におかしくなりそうで、あられもなく吐息を零す事さえも快楽に繋がっていく。 「あ、はぁ、あぁ、ん……、い……、き、もちい……」 唇から零れ落ちると、歯止めがきかなくなる。 滑り落ちた言葉から抗えない劣情が降り注ぎ、堪えてきた何もかもが塗り替えられていく。 自分でも何を言ったか分からぬまま、それでも強烈な快楽だけは残っていて、目の前の男が何者かを分かっているはずなのに今や嫌悪感すら霧散している。

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