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儚き星々 15
「急に走り出すからびっくりしました」
緩やかに速度を落とし、咲と莉々香が集う街灯の下へと辿り着く。
芦谷の腕を掴み、まじまじと容貌を見つめていた莉々香が、声を掛けられた事でハッと我に返る。
「あ……、ごめんなさい。居ても立ってもいられなくて」
「そんなに似てるか?」
「どう見てもそっくりでしょ。雰囲気とかは違うけど」
ようやく解放された芦谷が、手で無造作に前髪を戻しながら、未だ興奮冷めやらぬ莉々香へと声を掛ける。
來と面識がないので、どれくらい咲と似ているのかは判断出来なかったが、彼女に言わせればどう見てもそっくりらしい。
「双子でも通じるんじゃない?」
「いくらなんでも、それはねえだろ」
「いけるって! だってホントにそっくりだし! ねえ! 似てるよね!?」
「あ……。残念ながら俺は、來さんには会った事がなくて」
「あ~、そうなんだ。でも、ホントにそっくり! 來の方がちょい厳つい感じするけど、顔立ちは兄弟って感じする」
「だそうですが……、芦谷さん」
「俺を見るな。早く行くぞ」
あんまりにもそっくりと言われて、どうにも落ち着かなくなったらしい芦谷が、これ以上見るなと言わんばかりに顔を背けて歩き出す。
「待ってよ。もう少し見せてくれてもいいじゃん」
「もう、十分だ。兄弟だって分かっただろ」
「それはそうだけど……。そういえば捜してるって、どういうこと? 來と会ってないの?」
「そうだな……。アイツが何処で何をしているのか知りたい」
「アタシもよく分かってないんだけどね」
足早に去ろうとする咲を追って、莉々香と共に歩き出す。
彼女に翻弄され、戸惑う芦谷を何だか新鮮に感じつつ、此処に居る誰もが行方を追っている青年の事を思う。
面影を追う事は出来ないが、きっと咲に似ているのだろう來に、早く会ってみたいと感じる。
だが、それには乗り越えなくてはならない壁が沢山あるように感じて、先程の二人が絡んでいるとしたら不穏な空気を帯びてくる。
「手掛かりがあんなに近くにいたのか……」
「でも、アイツらは口なんて割らないよ。無理矢理に吐かせるのも難しいって、よく分かったでしょ」
「そうだな……。アイツらに來が太刀打ち出来るとは思えない」
「じゃあ、どうなったと思う……? 來は」
「それは……」
嫌な予感を振り払いながらも、確証の持てる言葉を一つも紡げないまま、通り過ぎていく風をやけに冷たく感じてしまう。
彼がどうなったかなんて、誰にも分からない。
安否を気遣い、無事を祈りながらも、気を抜けば恐ろしい想像に覆い被さられそうで、皆懸命に不穏な気配を追い出している。
「アイツはそんな簡単にくたばったりしない」
「そう、だよね。アイツ結構頑丈だし。絶対に大丈夫……」
言葉とは裏腹に、次第に消え入りそうな声で、自分に言い聞かせるように莉々香が拳を胸に当てている。
元来た道を辿り、賑やかな街の灯が再び視界に入り、まだまだ寝静まりそうにないざわめきが耳へと届く。
「なんだか騒がしいような……。何かあったんでしょうか」
騒々しさは相変わらずであったが、先程まで居た頃よりも、困惑した空気を方々から感じ取る。
現に人だかりが出来ていて、少し離れた隙に何があったのだろうと首を傾げながら、まさか彼等が舞い戻ってきたのだろうかと嫌な想像が過ってしまう。
「アンタは行かないほうがいい。ナキツ」
「え、ちょっと待ってよ」
「さっきの奴等が居たら厄介だからな。俺が様子を見てくる」
やんわりと莉々香の腕を掴み、これ以上先へと進まないように足を止める。
芦谷の言葉を受け、不服そうな彼女と佇みながら、颯爽とした咲の後ろ姿を静かに見つめる。
「すみません。何事もなければ、すぐにまた合流するので」
「謝らないで。ちゃんと分かってるし、大人しく待つわよ」
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