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第5話

目を覚ますと、外は綺麗な夕焼けだった。 綺麗だな、僕とは正反対だ。 誰かに話してしまおうか。相談してしまおうか そう思った。 先生に相談。だめだ、あの人を穢してしまう。 とりあえず服、着よう。 …このまま、過ごしたらいつかはばれる。 早めに先生とは離れなきゃ。 少しだけ、保健室に寄ることにした。 もう僕に構わないで。 それだけを言いに。 「失礼します…。…先生?」 いつもなら座っている席に先生がいない。 まあ、いっかと思いベットに行くと先生が寝ていた。 少しびっくりした。 「あれ、先生?…寝てる。」 整った顔に、長いまつげ、白い肌。 近くでみるとわかりやすい。 少しだけ、なら、…良いかな。 そう思い、少しづつ距離を縮める。 あとすこしのところで先生が起きた。 「……ん。あれ、小夜くん?どうしたの?」 寝起きの先生はかっこよくてドキッとした。 「あ、えっと、急なんですけど、僕にもう近付かないで下さい。あと名前で呼ばないで…下さい」 「え?なんで?」 「いいから!…僕に近づいちゃ…いけないんです…。お願いだから、近付かないで…。お願いします…。」 「一回落ち着こっか。ちょっと待ってね。」 そう言うと、先生は寝ていたベットから起きて綺麗にたたんであった白衣を着て、眼鏡をかけた。 そして、じゃあこっちおいでと手を引っ張られ隣に座らされた。 「なんか学校とか家であったの?」 「…言えない…です」 「そっか」 「名前は?なんで嫌なの?…言いたくないなら言わなくていいよ。」 優しく言われて泣きそうになった。 「…中学生の時、名前とか見た目が女子だからっていう理由で虐められてて…。だから、名前を呼ばれるとすごく怖い。」 なんで、この人にこんなこと言ってるんだろう 「…そっか。辛かったね。じゃあ、どうやって呼べばいい?」 「名前じゃなかったらいい」 「有栖くん、でもいい?」 「…いいよ、でもあんまり近付かないで」 「なんで?」 あなたを穢したくないから――。 なんて言えるわけないよ 少しだけ無言の時間が続いた。 最初に開けたのは先生だった。 「よし、もう遅いから早く帰りな気をつけてね」 「あ、ほんとだ。…帰りたくないな」 「え?なんて?」 「ううん、じゃあ帰ります。さよなら、先生」 「うん、また明日ね、バイバイ」

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