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第133話 合コンの代償(拓真)
和希と2人っきりで過ごした夏休みも終わり大学生活が始まった。
俺は和希を夏休み中ずっと独り占めしていたが、大学が始まるとやはり俺だけの和希ってワケにはいかない
頭では理解しているが気持ち的に不満が募っていた。
10月に入って例の和希を気に入っていた先輩達と構内を歩いてる時にばったり会った。
俺は嫌な予感と合コンの件忘れていてくれと思いながら通り過ぎようとしたら、俺の肩に腕を回し逃がさないと言うように
「本郷君、いつ合コン開いてくれるんですか?」
ワザと敬語で話す先輩に
「そうですね。俺も夏休み明けで教授に頼まれてる事あるんで今月は無理ですね」
何とか先伸ばしにしようと答えた。
「教授じゃあ仕方無いか、だったら11月に入ってからでいい。今年のクリスマスは彼女と過ごしたいから、頼むよぉ」
「な、頼む」
「先輩達、就職は決まったんですか?」
「何とか決まった」
「俺も、だから暇なんだよぉ。最後の学生生活を楽しませてくれよ、頼むよぉ」
心の中で合コンに頼らないで自分で探せよな、うぜえと思っていても顔に出さず
「他の先輩にも聞いて、連絡します」
そう言うとやっと肩から腕が外れた。
「じゃあ、頼むな。連絡待ってる」
「よろしくな」
肩をぽんぽんと叩き歩いて行った、後ろ姿を睨みつけて
「うぜえ、人に頼るなよな、ったく。だからモテ無いんだよ、ああ面倒くせえ」
呟き、取り敢えず1回うるせえから、飲み会の時の先輩と纏めて一緒に合コンセッティングすれば、気が済むだろうと考え11月に入ったら合コンする事に決めた。
ノリの良さそうな女に、女の子を何人か見繕って貰う為に連絡すると
「拓真、久しぶりじゃん。最近、遊んで無いみたいじゃん。どうしたの?」
「ああ、忙しいかったんだ。それより先輩に合コン頼まれた。女の子5人程都合つけてくれ。11月にするつもりだから」
「いいけど。どんな子がいいの?」
「適当にノリのいい子達で可愛い系と綺麗系集めてくれ」
「拓真も行くんでしょ?」
「一応な、幹事だから」
「だったら、私も行くぅ」
「どっちでもいいけど。寝たりしないから、1次会で帰るし」
「そうなの?でも、いいや。その代わり1回デ-トして」
「……買い物付き合うだけなら。ホテルとかは無し。俺そういうのは飽きたから」
「買い物でいいからデ-トして、それで手を打つから」
「解った。日にち決まったら連絡くれ」
「わーい。拓真とデ-トだ」
「デ-トじゃ無い。代償に買い物付き合うだけだ。じゃあ合コンの件、よろしくな」
電話を切り、これは決して浮気じゃない。
ただの代償だと頭で考えるが心の中では、和希を守る為の合コンなのに和希に悪いと思っていた。
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