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第142話 (和希)
その日の昼は学食で俺と武史.中嶋.拓真と食べていた時だった。
内田と山瀬が後から合流してきた。
「おう、いた居た。ここいいか?」
「いいって言わなくたって座る癖に」
中嶋にディスられて「それもそうだ」開き直る強靭な精神力の内田、まぁいつもの光景だ。
「夏休み、全然会わなかったな」
「お前と違って忙しいんだよ。皆んな」
「えっ、俺だって……全然言い返せ無い」
はははは…皆んな大笑いだ。
内田が居ると場が和やかになる。
「そう言えばさぁ、拓真。この間、女の子と腕組んで歩いてたって噂になってるらしいよ。また、遊び始めたんじゃ無いかって。どうなんだよぉ」
「俺も聞いた」
内田が言い出し中嶋も聞く。
俺は武史と違う話をしてて耳に入ったけど聞こえない振りをした。
俺の横に居た拓真がマズイって顔をして、多分俺をチラッと見たのが気配で解った。
目の前の武史がどう言う事だ?知ってるのか?って目で訴えていた。
俺は違う話をしながら解ってるから、大丈夫って目で合図を送った。
武史はホッとした顔をしながら、拓真の方をチラッと見て、内田達の話しには入らず、俺と別の話しているが俺も武史も拓真が何て話すか気になっていた。
「ああ、それな。夏休み前のサ-クルの飲み会の時、先輩が合コン開けって煩くって適当に言って無視しようとしてたんだけどよぉ。この間ばったり会ってまだかって言われて仕方ねぇから合コンする事にしたんで女子メンツ頼むのに打合せしてた時だ」
「何だ、そうだったのか。俺は最近大人しくしてたから、また遊び始めたのかと思ってた」
「でもよぉ、打合せに腕組んで歩かなくっても良くねぇ」
「煩せぇな、知らねぇよ。勝手に腕組んで来たんだ。離そうとしたけど離れねぇから面倒くせぇからそのままにしただけだ。打合せして女子集める代わりに買物付き合っただけ」
「お前ねぇ、その話聞いてるとモテる男の自慢か言い訳にしか聞こえ無いから」
「拓真は相変わらずモテるんだな。俺達にも合コンやってくれよぉ、友達だろ」
「はあ、何が自慢なんだよ、こっちは迷惑してるんだよ。後、内田、友達だからって何で合コンしなきゃなんねぇんだよ。今回は先輩で煩せぇから1回すれば満足するだろうと思ったからだし。俺が面倒で合コンの幹事何かする訳ねぇだろ。合コンには呼ばれる方が楽なんだよ」
「はい、はい。解りました」
内田と山瀬は例のグループ交際していた子達とは、どうもダメになったようだ。
本人達は話さないが山瀬は「暫く女の子は、いいや」ってボソッと呟いていたし内田も落ち込んでいた時期もあったけど、どうやら合コン頼むまで復活したようだ。
何となく察して皆んな話題にはしなかったけどやっぱり内田が元気無いと寂しいとは思っていた。
拓真達の会話を耳にして、腕組んで歩いたから香水の匂いとか化粧の匂いがしたんだ。
ある程度近寄らなければ移り香はしないだろうと思ってたけど、これで原因が解って安心した。
拓真がセックスして無いのはフェラして確認済みだから。
それに拓真は良くも悪くも正直で不器用だ。
皆んなは傲慢で我儘で要領が良いとか言ってるが確かにそういう面もあるけど、俺は付き合って改めて嘘は付け無いから良い事も悪い事も正直に話す所とか、たぶん浮気しても正直に話すか隠し切れずバレる行動すると思う。
正直過ぎて解り易い。
女の子にも酷い言葉や行動もするけどデ-トしてとか買物付き合ってとか言われると「暇だから」「煩えから」とか言ってるが結局付き合ってあげる。
そういう突き放せ無い優しさが有る。
そこがモテる所なんだろう。
今回も先輩に言われて、突き放せず合コンするのもそう言う事なんだろう。
本当に不器用だ、それでいて本人は要領良く器用に生きてるつもりなんだけど……。
そんな拓真が好きなんだから仕方ない。
拓真達の話を聞きながらそう思った。
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