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第154話 妬きもちの定義(拓真)
駅で和希と分かれ電車に乗って、目的地に向かう。
お洒落なカフェで待ち合わせ人は待っていた。
「拓真、遅い!」
「約束の時間じゃねえ?それより何だよ?頼みたい事って」
解ってるけど嫌味ったらしく聞く。
「私とあんたが会うのは解ってるでしょ?」
「またかよ。んで、どんな感じ?」
「前に付き合ってた相手でLINE凄くって、それは無視してたんだけど、最近、スト-カ-紛いな事するから、彼氏出来たからしつこくしないでって言ったんだけど、だからお願い。私も何回も頼まれてたんだから、いいでしょう?」
今、会ってる由香は従姉妹で同じ大学だったが今は卒業してる。
大学の時は俺の素行の悪さに従姉妹と知られたく無いと他人の振りしていた。
お互いモテるから恋愛関係で、ややこしくなると連絡して、彼氏.彼女の振りをして追い払う。
こいつとはギブ&テイクの関係だから仕方ない。
「解ってたよ。で、今もいるの?」
「いる。あの端に座ってる青いシャツの男」
店員を呼ぶ振りしてチラッと盗見る。
店員が来てコ-ヒ-を頼み、俺が見た事は相手は気づか無かったようだ。
コ-ヒ-を飲み、今日の計画を立てる。
「中々、良い男じゃん」
「顔はね。私も良いかもって思って、付き合ってみたら束縛が凄くって、飲み会も行くと煩いし、ちょっと他の男と話てると何話してたとか凄いの。もう、妬きもちが凄くって」
「それは愛されてんだろう?」
「少しの妬きもちは良いのよ。度が過ぎると嫌になるのよ」
「お前は逆の立場なら妬かないのか?」
「そりゃあ、妬くわよ。でも、愛が冷めたら妬かなくなるのよ」
由香の話を聞いて、チラッと俺ばっかり妬きもち妬いて和希は妬かないと思った。
それは男だから、そういう女々しい事はしない奴もいるし、和希はそう言うタイプなんだと思っていた。
「なあ、男でもやっぱり妬きもち妬くよな?」
「だから、今、困ってるんでしょ?何の為にあんた呼んだと思ってるのよ」
由香の話を聞いてやはりそうだよな、同じ人間なんだ男も女も無い。
前の先輩の合コンも、俺が居なかったから寂しいとは言ったが、他は聞きもしないし妬きもちも妬かない。
今日もだ。
誰に会うとか何の用事とか普通妬きもち妬いて聞くだろう?俺なら聞く。
和希は冷めてきているのか?いや、昨日も抱いたし、和希も「拓真、好き」と言ってた。
やはり人それぞれだと無理に思う事にした。
けど、この事で腹の底に何かが落ちて波紋が広がりつつあった。
まだ、この時にはそれが何か気付かず、解りもしなかった。
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