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第157話 (和希)

学食行こうと構内を歩いていた。 「お~い、和希」 振り向くと内田が手を振って、こっちに歩いて来る。 「和希、学食行く?」 「うん、内田も?」 「おう、一緒に行こうぜ」 2人で話しながら歩いてると、前から女の子2組が近寄って来た。 「内田君、拓真が女と腕組んで歩いてるって聞いたけど、本当?」 俺も内田もてっきり合コンの時の話かと思っていた。 「聞いた、聞いた。それって先月の話だろう。先輩に頼まれた合コンの打合せって言ってたけど」 「そうじゃなくって! 先週の日曜日に、綺麗な女と腕組んでイチャイチャ歩いてたの見たって子いるんだけど何か聞いてないの?」 「それ知らねぇ~なぁ。和希、何か聞いてる?」 「……聞いて無い」 「悪い。俺達、何も聞いて無い」 「あっそう、もういい。仲良いから聞いてるかと思っただけだから。じゃあね」 何も収穫無いと諦めて、手を振って歩いて行った。 「何だアレ。ったく、拓真も良くやるよなぁ。まあ、俺達と違って、何にもしなくっても寄って来るんだから、羨ましい~よ」 「……そうだね。それはそれで大変なのかもよ」 学食に向かって歩いて話すが、さっきの女の子の話が気になってしょうがない。 全然聞いて無い?この間、LINEで呼ばれたのは女の子?誰?頭の中でグルグル回っていた。 たぶん、内田は気付かないが、顔は引きつっていたか青ざめていたかも知れない。 内田の話も上の空で聞いて、適当に話を合わせ学食に行く。 「お、居たいた。和希、中嶋と拓真いるぞ。行こうぜ」 正直、今、拓真には、会いたく無かったけど…。 「うん」 何も知らない内田の後を着いて行った。 「おっ、ここいい?」 「だめって言ったって座る癖に、一々聞くなよ」 また、中嶋にイジられてる内田、いつもの光景に少しホッとする。 食べ始めて少し経った時に、唐突に内田がさっき聞かれた事を話し出した。 「なあ、拓真って先週、綺麗な女の人とイチャイチャして歩いてたって本当か?ここ来る前に女の子に聞かれた。な、和希」 俺に振られて「うん」とだけ答えるのが、精一杯だった。 拓真は、俺を1度見て、内田に向かって話始めた。 「ああ、歩いてたな。知り合いなんだ。頼まれ事あるって言うから」 「マジ~。やっぱ拓真って、女寄ってくるよな。羨まし~い」 「別に、頼んでも無いのに勝手に来るんだ。俺は迷惑してんの」 「モテる男の言う事は違う。俺も言ってみてぇ~。でも、拓真、そんな事言ってるとその内天罰が来るからな。気を付けろよ」 「そんなヘマするか」 拓真と内田の遣り取りを黙って聞いていた。 結局、どんな関係なのか?何の用だったのか? イチャイチャしてる理由は?全然分からなかった。 食べ終わって、拓真がスマホを取り出して弄っていた 俺と中嶋は、内田の話を聞いて笑っていた。 ♪ピロ~ン 俺のLINEだ、開くと拓真からで "今日、帰り俺のアパート来いよ" 本当はこんな気持ちで、行きたく無かったけど。 "OK" 優柔不断で、結局何でも無い風を装ってた。 話かな?女の人の事?まさか別れ話? もう、嫌な予感しかしなかった。

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