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第158話 真相(和希)
拓真に呼ばれ、部屋のドアの前にいる。
たぶん話があるんだろうな、別れ話かな?クリスマス一緒に過ごせ無いのか?頭の中で色々考えて、中々ドアを開けれなかった。
いつまでもここに居ても仕方ない、意を決してチャイムを鳴らす。
ピンポン~…。
ドアが開いて「和希、遅かったな。入れよって言うか合鍵あるだろうが」
「うん。ごめん、買物して来たから、手が塞がってて」
一応、夕飯の食材を買ってきた、中々拓真の部屋に行く勇気が出なくって、ス-パ-で時間稼ぎをしていた。
「そうか。ま、入れよ」
「お邪魔します」
チラッと拓真を見ても、いつも通りだった。
「今日は、何?夕飯」
「豚の生姜焼きにしようかと思って」
「マジ。俺、生姜焼き好き。サンキュ-」
キッチンに荷物を置いて冷蔵庫に仕舞って、まだ、作るのには時間があるなと考えていた。
「和希。何、ボ-としてんの?こっち来いよ」
「あっ、うん」
拓真の近くに座って、何か話さなきゃって考えていたその時、拓真から少し言い難くそうに
「和希。ちょっと話があるんだけど」
やっぱり! 等々きた。
別れ話か?覚悟を決めて、拓真が別れたいって言ったら受け入れるつもりだ。
どんなに嫌で辛くても、拓真は別れると言ったら別れるそういう人だ。
「何?」
「あのさ……今日、内田が言ってた女なんだけど…」
「うん」
「言い訳がましいけど……従姉妹なんだ。今年、同じ大学卒業してるんだけど…」
「えっ、従姉妹?本当に?だって、今まで聞いた事無いけど」
従姉妹って聞いて少しホッとした。
「あっ、うん。あいつ、由香って言うんだけど俺の親父の妹の子供。そんで、由香が俺が大学で素行が悪いからって、従姉妹と知られたく無いから黙ってろって言われて、俺はどっちでもいいから由香の言う通り今まで黙ってたわけ」
「そうだったんだ。それで由香さん、何か急用だったんだ?」
腕組んでイチャイチャしてたのは、どうしてか気になったから遠回しに聞いてみる。
「ん……あんま、和希に言いたくねぇ~けど」
「何?そんな言い方したら気になるよ」
「……由香とは、ギブ&テイクの関係で……。お互い恋愛関係でややこしくなったら、相手を撃退する為に彼女.彼氏役を頼んでるって事」
「えっ、どうしてそんな事?」
「俺も今までシツコイ女とか勘違いしてる女の時に頼んでるし、由香も別れたい彼氏の時とかスト-カ-とかしつこい男の時に頼んでくるわけ。だから、この間も別れた彼氏がスト-カ-になったから、新しい彼氏役頼まれた」
「だから、腕組んでイチャイチャしてたの?演技で?」
「当たり前だ。あの時は、前の彼氏が見てたからわざと見せびらかしたんだ、演技に決まってる。由香は俺の従姉妹だけあって、外見は良いが性格が最悪なんだ」
拓真も人の事言えないと思うけど、話を聞いてやっと心が落ち着いた。
「そうなんだ。今まで、拓真が女の子とイチャイチャしてるのあんまり聞かなかったから……今日も……別れ話かと不安になってた」
拓真はモテるし、今まで女の子と歩いていても無愛想に面倒臭そうな態度しか知らなかったから凄く不安だった。
拓真の話の内容は、余り褒められたものでは無いけど……。
モテるとそう言う事も必要なのかも知れない、到底俺には理解出来ないけど…。
真相が解って気が抜けて、モテるのも大変なんだなぁってぼんやり考えていたら
「はあ?別れるわけ無いだろう。ただ、あんまり良い話じゃねぇ~し言い訳がましいから、和希に言って無かった。また、変な噂で和希が不安になってもって思って結局、不安にさせたけどな。俺、和希の事好きだし別れ無いよ」
拓真の別れ無いって言葉に、不安だった気持ちが溢れて涙がポロポロ頬を伝う。
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