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第159話 (拓真)

和希の目から涙が溢れて出て、泣き顔がやはり綺麗だと思った。 頬を伝う涙を指で拭い。 「和希、不安だったよな。悪かった、もう泣くな」 「俺が勝手に不安になっただけだから、拓真は悪く無い…」 グスングスン…。 俺に抱き着き顔を埋め、泣きじゃくって子供みたいで可愛い。 笑ってる和希も好きだが静かに泣いて、その後俺の胸で泣きじゃくる和希も好きだ。 俺に縋(すが)ってくるこの感じが、何とも庇護力と嗜虐心を唆る。 暫く抱きしめて、そっとしてた。 泣き止んで顔を上げ「拓真、ごめんね」 何にごめんかは、解らなかったが 「いい。それより顔、ブサイクだぞ」 揶揄って笑いを誘う。 「泣いたら誰だってブサイクになるよぉ」 泣き笑いで話す。 「俺は泣いても男前は変わらないけどな」 茶化して話す。 「拓真にも涙があったんだね。知らなかった」 いつもの和希に戻って軽口を利く、やはりこの方が和希らしいな。 「馬鹿か?俺はいつも人が見て無い所で、ひっそりと泣いてんの。草葉の影で泣いてんだよ」 嘘ばっかり並べて会話を楽しむ。 「ふ~ん、それは知らなかった。泣かすのが専門だと思ったけど……違った?」 「ん~、違わね~なぁ。確かに、泣いた女は数知れずだな」 「何、開き直ってんの?」 「ま、それは事実だし。でも、夜のベットで、良く鳴くのは、和希じゃねえ?」 「な、な、何言ってんの?その鳴くとこの泣くは意味が違うじゃん」 「どっちでも良いけど。今から良い声で鳴いてみるか?」 意味深な言葉遊びに段々と、俺もその気になってきた 和希は頬を染めて恥ずかしさで、俯いて話す。 「……鳴いてみる」 思わぬ展開だったが、俺は大歓迎だと和希をベットに誘った。 和希も黙って着いてくる。 上半身の服を脱がし合いつつキスをして、パンツを自分で脱ぎ蹴散らす。 全裸になって、和希の頬に手を置き深いキスをする。 咥内で舌を絡めてクチュクチュ… 「ん…たく…んん」 離そうとする唇を追いかけ、舌を絡めるキスをし、何度も角度を変えてキスする。 やっと唇を離し目を見詰め 「和希、不安にさせた。俺を信じてくれてありがと」 俺の言葉に泣きそうな顔で、コクコクと頷く。 「ほら、泣くな。鳴くのは、ベットの中でって言っただろう」 「そうだったね……拓真、大好き」 「俺もだ」 ベットに横になり、お互い待てないと忙しなくあっちこっち体に触り舌を這わせる。 和希の不安が無くなるように、その日は遅くまで抱いた。

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