159 / 379
第159話 (拓真)
和希の目から涙が溢れて出て、泣き顔がやはり綺麗だと思った。
頬を伝う涙を指で拭い。
「和希、不安だったよな。悪かった、もう泣くな」
「俺が勝手に不安になっただけだから、拓真は悪く無い…」
グスングスン…。
俺に抱き着き顔を埋め、泣きじゃくって子供みたいで可愛い。
笑ってる和希も好きだが静かに泣いて、その後俺の胸で泣きじゃくる和希も好きだ。
俺に縋(すが)ってくるこの感じが、何とも庇護力と嗜虐心を唆る。
暫く抱きしめて、そっとしてた。
泣き止んで顔を上げ「拓真、ごめんね」
何にごめんかは、解らなかったが
「いい。それより顔、ブサイクだぞ」
揶揄って笑いを誘う。
「泣いたら誰だってブサイクになるよぉ」
泣き笑いで話す。
「俺は泣いても男前は変わらないけどな」
茶化して話す。
「拓真にも涙があったんだね。知らなかった」
いつもの和希に戻って軽口を利く、やはりこの方が和希らしいな。
「馬鹿か?俺はいつも人が見て無い所で、ひっそりと泣いてんの。草葉の影で泣いてんだよ」
嘘ばっかり並べて会話を楽しむ。
「ふ~ん、それは知らなかった。泣かすのが専門だと思ったけど……違った?」
「ん~、違わね~なぁ。確かに、泣いた女は数知れずだな」
「何、開き直ってんの?」
「ま、それは事実だし。でも、夜のベットで、良く鳴くのは、和希じゃねえ?」
「な、な、何言ってんの?その鳴くとこの泣くは意味が違うじゃん」
「どっちでも良いけど。今から良い声で鳴いてみるか?」
意味深な言葉遊びに段々と、俺もその気になってきた
和希は頬を染めて恥ずかしさで、俯いて話す。
「……鳴いてみる」
思わぬ展開だったが、俺は大歓迎だと和希をベットに誘った。
和希も黙って着いてくる。
上半身の服を脱がし合いつつキスをして、パンツを自分で脱ぎ蹴散らす。
全裸になって、和希の頬に手を置き深いキスをする。
咥内で舌を絡めてクチュクチュ…
「ん…たく…んん」
離そうとする唇を追いかけ、舌を絡めるキスをし、何度も角度を変えてキスする。
やっと唇を離し目を見詰め
「和希、不安にさせた。俺を信じてくれてありがと」
俺の言葉に泣きそうな顔で、コクコクと頷く。
「ほら、泣くな。鳴くのは、ベットの中でって言っただろう」
「そうだったね……拓真、大好き」
「俺もだ」
ベットに横になり、お互い待てないと忙しなくあっちこっち体に触り舌を這わせる。
和希の不安が無くなるように、その日は遅くまで抱いた。
ともだちにシェアしよう!