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第161話クリスマス(和希)

クリスマスイブの日に、2人の思い出の場所。 去年も行ったドイツ村に、拓真が叔父さんから借りた車で出掛けた。 ドイツ村までの車の中で、最近何となくスレ違いだった気がするけど誤解も解け、その時間を埋める様に楽しい話しだけをするように心掛たお陰で、楽しく目的地まで過ごせた。 ドイツ村に着いた時は、もう辺りは暗くなっていた。 車を駐車場に置き、ゲ-トを潜り中に入ると去年も思ったが、別世界が広がっていた。 「拓真、やっぱ凄いね。ここまで凄いと来た甲斐があるね」 「そうだな。少し遠くてもこれなら来るな。年1回のイベントだし、また見たくなるよな。少し歩こうぜ」 俺の手を握り歩き出す。 「たく、拓真。手、手」 「あん、暗いから解んねえだろ。皆んな自分達の世界に入ってるしな。それに和希、小せぇ~し今日の格好は、女の子にしか見えねぇ~し」 「拓真。小さいは、余計だよぉ。もう」 プクっと頬を膨らませ、ワザと怒った振りをする。 そんな俺の頬を突っつき楽しそうに話す。 「膨れるな。まったく可愛い~な」 「じゃあ、手ぇ離さ無いでよ?」 「暗いし人混みも有るからな。迷子にならない様に手を繋いでおくから、安心しろって」 「何?人の事、子供扱いしてんの?」 「いや、迷子になったら困るし。迷子センターで子供達の中に和希がいたら笑えるし…。ははは…いや違和感無いかもな」 ははははは……と声を出して、俺を揶揄って楽しそうに笑う。 「ひど~い。幾ら、俺でも子供達と一緒には居られないよ~」 また、プクっと膨れると頬を突っつき話す。 「そうか?和希、子供にゲ-ムとか誘われたら一緒にしてんじゃねぇ?」 くっくっく…… 「やらないよぉ。……でも、マリオ系とかモンハンとか誘われたら……やっちゃうかも」 「和希らしいな。ははは……可愛すぎだろ」 楽しそうに俺を揶揄って、声出して笑ってる拓真。 拓真が楽しそうにしてると俺まで楽しくなる。 服装だって、女の子に見間違えるようにワザと白いダッフルコ-トに水色のマフラーにした。 俺も拓真も回りを気にしないで過ごしたいから。 でも、拓真はそんな事に気にせず手を繋いでくれた、凄く嬉しかった。 拓真の笑ってる顔を見て、そんな事を思っていた。 「んもう、拓真、そんな事ばっかり言ってないで歩こう。見る所、沢山あるんだから」 繋いでる手を引っ張り歩き出す。 「解った。解った」 今日は、クリスマスだし楽しく過ごそう。 去年も来たけど、あの時は、まだ付き合って無かった あれから1年経ったんだな。 色々あったけど、付き合ってから初めてのクリスマス たくさん笑って.たくさん写メして.たくさん遊んで、楽しかったクリスマスにするんだ。 「拓真ぁ、早くぅ」 「はい、はい。子供扱いするなって言って、はしゃいで子供じゃん」 くっくっくっくっ…… 小声で言ってるから聞こえなかった。 「何?」 「いや、何でも無い。和希、可愛いなって」 そんな何でも無い一言が、凄く嬉しかった。 「今頃?」 照れてそんな事を言ったけど、顔は熱かったから赤くなってたかも。

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