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第162話 クリスマス(拓真)
和希と去年も来たドイツ村に来ていた。
ピンク.青.白.赤.緑とイルミネーションが鮮やかな場所で、和希は楽しそうにはしゃいでいた。
和希の服装がボ-イッシユな女の子に見えるのを良い事に手を繋ぎ園内を歩き、時折顔を寄せ話したりと、どこからどう見ても周りからは、カップルにしか見えないだろう。
丘を色鮮やかなイルミネーションで飾ってある場所をバックに顔を寄せ写メを撮ったり、圧巻なトンネルのイルミネーションの入口でも体を寄せ写メを撮り、今日は、はしゃぐ和希を沢山の写メを撮った。
和希がワザと気を遣いはしゃいでいたり服装を女の子に間違えられらるような格好にした事も知らず、俺は楽しそうな和希に俺まで楽しく過ごしていた。
同じ場所なのに、去年は和希とまだ付き合ってもいなかったのに、今年は付き合って初めてのクリスマスを過ごすと、やはり気持ちが全然違う。
園内にはカップルや家族連れで人混みだったが、この日常とは違う別世界で他人の事なんかは気にせず、皆んな自分達の世界に入っていた。
もちろん、それは俺達もだ。
「和希、疲れないか?」
広い園内を手を繋ぎ結構見て歩いた。
「う~ん、そうだね。少し休む?」
「だな。あっち行こう」
途中で、コ-ヒ-とココアを買って手を引き連れて来た場所は、去年俺が告白した場所だった。
鮮やかな幻想的なイルミネーションを見ながら、ベンチに座り一休みする。
「ほい、ココアな」
「ありがと。あったかい」
両手で持ち、頬に当て話す和希が可愛い。
俺もコ-ヒ-に口をつけ、暫くキラキラ輝く風景を見ていた。
「和希、この場所解るか?」
「うん。去年も2人で座った場所だよね。拓真が告白してくれた場所」
「そうだな。去年はまだ付き合って無かったしな。今だから言うけど……結構、必死だった。和希を俺のモノにするのに、だから多少は強引だったかな。まあ、いずれ必ず俺のモノにするつもりだったからな」
「そうなの?必死には見えなかったけど?でも、俺も拓真の事は諦めなきゃって思ってたけど、心のどっかで拓真の事を諦め切れて無かったんだと思う。だから拓真が言ってくれ無かったら、今、こうして2人でまた同じ風景を見て無かったかも……。ありがと、拓真」
「そうか。俺の粘り勝ちだな。俺に感謝しろよ」
「直ぐ、調子乗るんだから」
和希の肩に手を乗せ体を引き寄せ、唇を触れ合う。
ちゅっちゅ。
「人が居るから軽めにな。後でゆっくり」
額を合わせ見詰めて話すと、照れて頬を染める和希。
それから、和希から腕を組んで俺の肩に頭を乗せ、鮮やかなイルミネーションを見て話す。
「また、来年も来ようね」
「そうだな。約束だぞ」
「うん」
肩から頭を上げ、俺の唇に軽く触れる誓いのキスを和希からされた。
自分でして照れて、また肩に頭を乗せる。
可愛い事をする和希。
誰にでも優しい和希。
俺の事を1番解ってくれる和希。
和希が俺のモノになったんだと改めて感じた。
今日だけじゃ無く、この1年和希と過ごした日々は凄く楽しかった。
和希と離れたく無いと心に誓った。
同じ景色.同じ場所なのに俺達の関係が変わっただけで、去年とは違った気持ちで見て居られた。
それから、また園内をロマンチックな気分で歩いて周り、ドイツ村を後にした。
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