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第163話 クリスマス(拓真)
「疲れたなぁ」
「お疲れ様、拓真。運転してたから疲れたでしょ?ゆっくりしよ」
「おう。やっぱりドイツ村良かったな」
「うん。凄く綺麗で、どこ見てもキラキラしてた。なんか、別世界で心まで綺麗になる」
「そうだな。皆んな自分の世界に入ってたしな。お陰でイチャイチャできたし」
「イチャイチャって。拓真の口から、そんな言葉聞くとは思わなかった。意外」
「そっかあ?まあ、他の奴なら、そんな事思わねぇ~しウザいけど、和希とならイチャイチャしたい」
「……拓真」
「和希、感激し過ぎぃ。それより、夕飯足りたか?」
帰り道にファミレス寄って、休憩がてら夕飯食べた。
「ん…足りたよぉ。拓真は?」
「まあ、足りたな。少しは、入るか?」
「うん」
「そっか。んじゃあ」
和希をソファに置いて、冷蔵庫に向かう。
電気を消し、冷蔵庫から小さい苺のケ-キを取り出し、ロ-ソクに火を灯す。
ゆっくりロ-ソクの火が消えないように歩き、和希の元に戻ってテ-ブルに置き隣に座る。
「……拓真」
「甘い物は、まだ入るだろ?」
「うん。凄~く嬉しい!」
直ぐに火を消さず暗闇に浮かぶ炎を見ていた。
「和希、そろそろ消すか?」
「うん。あっ、ちょっと待ってぇ」
スマホを取り出す。
小さい苺のケーキを前に置いて、2人頬を寄せて自撮りする和希。
「記念に。だってぇ、拓真がこんな事してくれると思わなかったから。嬉しすぎ」
涙を溜め話す和希。
「バカだな。クリスマスにはケーキだろ?これ位で泣くなよ」
目に溜まった涙を口づけて吸い取る。
「ありがと。2人で消そうよ」
「ん、解った」
「せぇ~の」
ふぅ~。
炎が消えると暗闇になり室内の電気を点ける。
「食べるか?」
「うん。拓真、はい」
フォ-クで1口大に取り、俺の口元に持ってくるから口を開けて食べる。
俺も和希に同じように口元に持っていく。
小っ恥ずかしいが、クリスマスだしと思って普段やらない事をする。
「ん、美味しい。いつ買ったの?冷えてて美味しい」
「今日。和希の所に迎え行く前に買って置いた」
「ありがと。拓真、甘いの苦手なのに」
「まあ、あんまり進んでは食べないけど、クリスマス位は、な」
それからもお互い食べさせて合い、残りも少なくなってきた。
最後の一口をフォークに取り、和希の口元に持っていく。
「ほら、これで最後だ」
「拓真、食べていいよ」
「もう、沢山だから、和希、ほら」
「じゃあ、あ~ん」
パクっと食いつき食べる、子供だな。
ついつい和希の可愛さに頬を緩める。
「んじゃ、俺も頂きます」
和希の顎を持ち唇に軽めのキスをし、それから咥内に舌を入れ和希の甘い口の中を味わう。
上顎や頬の内側.絡めた舌。
どれも甘い。
クチュクチュ…クチュクチュ…
絡めた舌の音。
咥内を満足するまで堪能し唇を離し、最後に軽めのキスをちゅっちゅとする。
「甘いな。ケーキも和希も」
「はぁはぁ…拓真」
頬を染め、上目遣いに俺を欲しがる目をする和希。
普段は子供っぽいのに時々こっちがドキッとするような色っぽい表情をする。
このギャップにやられる。
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