167 / 379

第168話 プレゼント(和希)

拓真にブレスレットを渡して、気に入ってくれた事にホッとした。 予想以上に喜んでくれた。 直ぐにブレスレットを嵌めてくれて、大事にするって言ってくれた事も凄く嬉しかった。 「ほい。和希、クリスマスプレゼントだ。受け取れ」 「えっ!」 目の前に綺麗にラッピングされたプレゼントと拓真を驚いて交互に見る。 「何だよぉ~。鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して。そんなに驚く事か?」 「だってぇ~、拓真が俺にプレゼントなんて。今日って、まだクリスマスだよね?エイプリルフ-ルじゃないよね?俺、夢見てるのかな?」 予想外の展開に戸惑いと驚きで、あの拓真がプレゼント?信じられず何度も確認してしまう。 「何?訳解んねぇ~事言ってんだよ。今日はクリスマスで、これは俺から和希へのプレゼント。まぁ、俺がプレゼント買うキャラじゃねぇ~しな」 「本当に?俺に」 「そうだって。気にいるかと思うけど…。何てったって、俺が選んだんだからな」 「普通は気にいるかどうかって言うんじゃ無い?全く、そう言う所ってほんと拓真らしいね。でも、ありがとう。俺、めちゃめちゃ嬉しい」 拓真らしい言い方に笑っちゃうけど、拓真が俺の為にって思うと、涙が出そうな位に嬉しかった。 「開けてみろよ」 「うん」 リボンを解いてラッピングを綺麗に時間掛けて開ける 「ネックレス?うわぁ、カッコいい。拓真が選ぶだけあってセンスが良い。良いのかな?俺が着けても」 「だろ?絶対、気に入ると思ったんだ。俺も1目見て気に入ったし。和希も似合うから。ほら、寄越せよ、着けてやるから」 俺の手からネックレスを奪い着けてくれた。 「ほらな、似合う」 首に着けられたネックレスを手に取り拓真からのプレゼントだと実感した。 「拓真、ありがとう。俺、大事にする。御守りだと思って俺も肌身離さずしている」 「俺からのプレゼントなんだから、大事にしろよ。俺も大事にするし」 ブレスレットの事か?と思ったが、拓真は自分の胸元から俺のと同じネックレスを取り出し見せた。 「えっ、これっ……ペア?」 「そう言う事。さっきも言ったけど、このネックレス1目で気に入って、和希のクリスマスプレゼントに買おうとしたら、店員がペアでも大丈夫ですよって言うから、俺達ってペアの物とか無かったから良い機会かなって。ネックレスなら服の中に入れて置けば解んねぇし」 拓真の話しを聞いていたら嬉しくって、涙が溢れてきた。 「……拓真、ありがと」 「泣くなって」 拓真が俺を抱きしめてくれた。 「だってぇ~。嬉しいんだもん……拓真からのプレゼントだけでも嬉しいのにぃ~。ペアとかもっと嬉しいよぉ~。拓真、ありがと」 拓真の腕の中で涙が止まらなかった。 その間ずっと拓真は頭を撫で、背中を撫でたりしてくれた。 それから俺が落ち着くの待って、暫くゆったりとした時間を過ごしてから、遅い昼御飯と宛もないドライブに出掛けた。 夜、遅くに拓真のアパートに戻り、また朝方までセックスして濃密な時間を過ごした。 俺はこのクリスマスの日を、絶対忘れ無いと思った。

ともだちにシェアしよう!