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第173話 就活(和希)

拓真と俺の就職の話をしてから、自分のやるべき事がはっきりして心の中は晴れていた。 4月に大学生活最後の4年生になり、周りでは本格的に就活に勤しんでいる。 俺も合同説明会に行き就活を肌で感じた。 周りでは「IT企業は売り手市場だから直ぐに決まるんじゃないか?」「高望みしなければ大丈夫」と言われ、確かに会社説明会の時もIT企業は多かったから、少しホッとしていた。 2度説明会に参加し良さそうな所をピックアップしたが、就活を安易に考えていたのかも知れないと思い知らされた。 確かに大小とIT企業の募集は多いけど、俺の場合希望している場所が狭いのがネックになっていた。 拓真の就職先の近くと考えていると、どうしても範囲が狭まる。 俺は密かに悩んでいた。 そんな時に合同説明会の時に、たまたま一緒の大学の大野達也君に会った。 会場を出て駅に向かう時に声を掛けられた。 「なあ、明石じゃねぇ?俺、一緒の大学なんだけど解る?」 「うん、解るよ。だって、大野君有名人だもん」 大野君は拓真と同じくらい女の子に人気があるから皆んな知ってる。 拓真とはタイプが違って爽やかな好青年って感じだ。 女の子の扱いも慣れてるけど、皆んなに優しく接して男女共に友達が多い。 拓真と違って酷い噂は全然無い。 「そうなのか?知らなかった。俺って有名人なんだ~」 「でも、どうして大野君が俺の事知ってるの?」 「明石達って、あの本郷といつも一緒にいるじゃん。テニスサークルで仲良いもんな」 「拓真のついで?で、知ってるのか~」 「悪い.悪い。そんなつもりで言ったんじゃないから」 爽やかな笑顔で謝られ全然悪い気はしない。 「冗談だよww」 「明石、直ぐ帰る?もし良かったら、今日の会社説明の話をお茶でも飲みながらしない?」 俺もちょっと就活に不安があったから話たかった。 「予定無いから良いよ」 2人で駅近くのカフェに入った。 俺はココアを頼み大野君はコ-ヒ-を頼み、飲みながら今日の説明会.お互いの就活の話をした。 どうやら前回の説明会の時にも見かけたらしいけど、大野君の事は知らないと思って声は掛けなかったみたいで、今日たまたま見かけて思い切って声を掛けたらしい。 「他にも何人か同じ大学の奴居たよ」 「えっ、全然気付か無かった。自分の事で精一杯で」 「だよな~。早く決まりたい。明石はどんな職種?」 「IT企業。大野君は?」 「俺は広告関係。ITなら早く決まるんじゃねぇ?」 「皆んなそう言うんだけど……俺、就活先の場所の範囲が狭いから、そこから会社選ばないと……」 「何で?どうしてもそこの場所が良いの?親とかの関係?何だか勿体無いね。ITなら売り手市場なのに」 「ちょっと事情があって……。でも、もう少し範囲広げてみるのも考えようかな?」 拓真の就職先から半径1時間~1時間30分位。 「ま、選択肢は多い方が就活決まるのも早いと思うけどね」 「そうだよね」 「もしかしてこれからも説明会とかで会うかも知んないから宜しくな。俺の事は大野君じゃなく達也で良いから。俺も明石じゃなく和希って呼んで良い?」 またまた爽やかな笑顔を振りまく。 「良いよ。こっちこそ宜しく、達也。何か今日達也と話し出来て良かった」 「俺も就活って一生もんだろ?誰かと語り合いたくなるんだよな。やっぱ不安なんだよな」 「解る~」 それから大学の話しやお互い就活情報を教え合おうって事になりLINE交換もした。 イケメンなのに気さくに話し爽やかに笑う達也に好感持てた。 こうして俺と達也は仲良くなった。

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