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第177話 悪い仲間?(拓真)
「暇だ~」
独り言を言い構内を歩いていた。
内田達とテニスした時とファミレスでの始めの方は楽しかったが、段々と今の自分達の話になり俺は疎外感を感じた。
確かに、武史も就職は決まっているが、あいつはやる事があるらしく、内田達と話が合っていた。
それに比べて俺は……。
前々から、いや4年になってからか。
周りでは就職の話ばかりで、その輪に入っていけないと薄々感じていたが……。
就職が決まっていて、何でこんな気持ちにならなきゃ何ねぇ~だ。
あ~、暇だ。
そう思って居た所に、後ろから声を掛けられた。
「よっ。拓真じゃん」
「あっ、拓真」
振り向くと2人、男が馴れ馴れしく肩に手を掛けてきた
確か……そうだ、1年の時に何回か合コンに誘われて遊んだ佐々木と金子だ。
こいつらには、女集めに良く合コン誘われてたな、お坊ちゃんで遊び好きな奴らだ。
「何してんの?今、帰り?」
「ああ、帰る所」
「んじゃ、今から俺らと飲み行かねぇ~」
「お前ら、そんな飲む暇あんの?」
「ああ、俺ら就職関係ねぇ~から。俺は親父の跡を継ぐ事になってるし、金子は親のコネで会社就職決まってるから、暇なんだよねぇ~。拓真は就職決まってんの?」
「……俺も叔父さん所に決まってる」
「じゃあ俺達と同じじゃん。暇だろ?飲み行こうぜ」
どうせ、女引っ掛けるのに使われるんだろうが、俺も暇潰しの相手に使ってやると考えた。
「いいぜ。あっ、でも金がねぇ~」
「良いよ.良いよ。俺達が奢るから」
どうせ使われるなら、これくらい奢って貰うくらい良いだろう。
「んじゃあ、行く」
「そうこなくっちゃ~」
「行こうぜ.行こうぜ」
これがきっかけで、俺は自分と同じ暇な奴を見つけ、誘われると遊び歩く様になり始めた。
同じ様に暇で就職に関係無い奴らと居ると、疎外感も無く気持ちが楽だった。
楽しいかどうかは別だが……それ位、暇を持て余していた。
洋風居酒屋で飲む事になり、こいつらの話を黙って聞いていた。
合コンで収穫あった話や自慢話だったが、聞いてれば良いだけで、それはそれで別にどうでも良かった。
「なあ、周りは就活とかで遊んでくれねぇ~し」
「だよな。4年で遊んでるの俺らぐらいじゃねぇ~」
「残り少ない学生生活だし、暇人同士遊ぼうぜ」
「な、拓真」
「暇ならな」
「なあ.なあ。隣のOL良くねぇ?」
「年上良い~」
「俺ら、学生何か相手しねぇ~だろ?」
「そうでもねぇ~よ。この間も…な、金子。当たって砕けろで行ってみたら、結構ノリノリで一緒に飲んだよな?」
「年下って可愛い~とか言ってさ」
「拓真行けば、一発でOKじゃん」
「いや、俺はいい」
「仕方ねぇ~。俺が言ってくる。その代わり成功したら雰囲気良くしろよ」
「おう、頑張れ~」
「解った」
いそいそと佐々木はOL2人組に声を掛けに行った。
俺は乗り気じゃねぇ~が、奢って貰ってる手前無下には出来ない。
佐々木はフットワ-クが軽く盛り上げるのも上手いし、顔も男らしいそこそこ良い部類だ。
金子もタイプは違うが、可愛い系でガツガツしてなさそうな感じに騙される。
違うタイプだから気が合うのか良く遊んでる。まあ、お坊ちゃんだから金もあるしなと思っていた。
あ~、佐々木の奴、やったぞって得意げな表情でOL2人組を連れて来た。
暇潰しの相手が2人増えただけだ。
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