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第179話 誘われて…(拓真)
合コンに付き物のゲ-ムが始まった。
「やはり、王様ゲ-ムだよな~」
「だよなぁ~」
「え~♪」
「楽しそう♪」
「やろう.やろう♪」
ノリノリの女達だ。
今まで合コンしてもゲ-ムは無かったが、佐々木も今日はイケると見てゲ-ムを持ち出した様だ。
前回はノリがいまいちの女共だったからなぁ。
‘今日こそは’って思ってるんだろう。
ちょっと古いが、定番のゲ-ムで親密度と盛り上がりには1番のゲ-ムだ。
佐々木の見え透いた解り易さに笑える。
「ほら、割り箸取る.取る」
「「ドキドキしちゃう」」
「ね~」
そう言いながらも、やる気満々で楽しそうだ。
『王様だ~れだ?』
「は~い。私~」
王様は百合の様だ。
少し考え
「初めだから軽いものからね~。じゃあ1番が5番に、あ~んしてあげる~」
『1番だ~れ?』
「私~」沙也加だった。
『5番だ~れ?』
「俺.俺~」嬉しそうに金子が手を挙げた。
「何、食べた~い?」
「う~、沙也加ちゃ~ん♪」
「お~い、心の声が出てるぞ~」
佐々木のツッコミに爆笑だ。
「んもう~、沙也加は食べ物じゃないよ~。じゃあ、唐揚げね。はい、あ~ん」
鼻の下を伸ばし、可愛く甘える様に金子が口を開ける
「あ~ん。沙也加ちゃんがあ~んしてくれるとメチャメチャ美味い~♪」
「いいなぁ~。俺もあ~んされた~い。じゃあ次な」
そんな感じでゲ-ムは盛り上がり、ハグ.壁ドン.ポッキー.膝抱っこ.背後から抱きしめると、段々と際どくなっていくに従い、酒の量も増えゲ-ムも盛り上がる。
1番盛り上がったのは、俺が佐々木を膝抱っこした時だった。
俺も嫌だったが佐々木も相当嫌がって「どうせなら、女の子が良い~」とか叫んでた。
「拓真君に抱っこして貰えるなら良い~じゃん」
「ん~拓真なら許しちゃう」
女の子の話しにノリノリで話す佐々木に皆んなまた爆笑した。
背後から抱きしめるのも佐々木と金子で、佐々木が「俺ばっかり男~、もう嫌~」とか言って笑いを誘う。
前回の合コンより盛り上がりって、佐々木も絶好調だ
それからもゲ-ムは続き、ノリの良さに皆んな結構飲んでいた。
「時間も無いから、後2回で終わりにしようぜ」と佐々木が仕切る。
『王様様だ~れだ?』
「は~い。私~」沙也加だ。
「じゃあ2番が3番にキス~」
「待ってました~♪」
「やった~♪」
『2番だ~れ?』
「私~」茜が酔ってるのか?ノリノリに手を挙げた。
『3番だ~れ?』
「俺~」俺だった。
キスか~面倒だなぁ~、盛り上がってるしな。
場の雰囲気を悪くしない程度に、軽くすれば良いか~。
この時、場の雰囲気で俺も結構飲んで居た。
「え~、良いなぁ~。ずる~い」
王様の沙也加が羨ましいって目で茜を見てる。
茜も嬉しそうにしていた。
『キス.キス.キス……キス』
囃し立てる佐々木と金子。
早く終わらせるかと茜の顎を持ち、軽くチュッと唇を合わせた。
軽いキスに茜も不満そうだが、終わったとばかりに席に座った。
「やった~♪」「ヒュー♪」「羨ましい~」「キャ~♪」
「じゃあ、最後な~」
『王様、だ~れだ』
「あっ、俺だ~」金子だった。
「最後だからなぁ~。やっぱキスだよねぇ~。1番が5番にキス~」
『1番だ~れ』
「俺、俺。最後の最後にくじ運良かった~♪」
嬉しそうだ。
『5番だ~れ』
「私~」百合が手を挙げた。
「百合ちゃんと~♪マジ嬉しい~んだけど~、やりぃ~♪」
「百合も相手が佐々木君で良かった~♪」
かなり酔って目がトロ~ンとしてる、他の奴も似たり寄ったりだが。
佐々木が金子に目配せしてたのを俺は見逃さなかった
なんだ~、事前にお互い王様になったら、番号を見せ合う様な手筈になってたらしい。
「早くしろ~」
『キス.キス.キス…キス』
またまた囃し立て盛り上がる。
佐々木が百合を立たせ腰に手を回し、後頭部を押さえ熱烈なキスを仕掛けた。
「キャ~♪」「やれやれ~」「すご~♪」
佐々木も場の雰囲気で盛り上がり、百合の咥内に舌を入れ長いキスをした。
「キャ~すご~い♪」「見てられな~い♪」
そう言いながら、しっかり見て興奮してるのが解る。
長いキスを終えた佐々木が「百合ちゃん、最高~♪」と抱きしめると百合も満更じゃ無いらしく、佐々木の胸に顔を埋めていた。
佐々木もニヤっと女共には解らない様に、俺達に ‘やったぞ。落とした~’ と目配せをした。
金子も軽く頷き、俺も目配せした。
佐々木の隣に座ってる百合がずっとしな垂れ掛かり、この雰囲気でもう次に行きたいらしく、15分程でお開きになった。
居酒屋の前で、2次会には行く雰囲気でも無く
「んじゃあ、俺、百合ちゃん送ってくから♪」
佐々木が百合の肩を持ち、そそくさと駅とは違う方向に歩いて行った。
「拓真どうする?俺、茜ちゃん送ってくけど」
しっかり茜の手を握ってる。
「そうか、じゃあ沙也加を駅まで送るわ」
「ん、頼むな、じゃあ~な♪」
金子が目で ‘上手くやれよー’ って言ってたが、俺は ‘知らねえ~’ って顔をした。
金子達が去った後に、残された俺と沙也加。
「さて、帰るか?」
「ん、うん」
何かを期待してる顔をして、ほろ酔いの沙也加が俺の腕に腕を絡めて胸を押し付けてきたが、そのまま放って駅に歩き出した。
「拓真く~ん。楽しかったね~♪ 沙也加~ちょっと飲み過ぎたみたい~」
「ああ」
「拓真君が茜とキスした時、沙也加~、悔しかった~」
「はっ、何で?ゲ-ムじゃん」
「だってぇ~、沙也加が拓真君とキスしたかったもん」
誘ってる様だが、俺からはいかない。
「そうなんだ」
俺の腕をグイグイ引っ張り
「解ってる癖に~」
そう言って、俺の頬に手をやり無理矢理キスしてきた
むにゅ~。
柔らかい唇。
黙ってされるままにしてると、俺の咥内に舌を入れてきた、積極的だ。
クチュクチュ…ヌチャヌチャ…
お互い酔ってると解ってる。
酒臭い咥内と絡める舌に、俺もいつしか舌を絡めていた。
早く言えば、流されていた。
唇を離した沙也加の唇は赤い。
「拓真く~ん。このまま行かない?」
俺が沙也加のキスに応えた事で、イケルと思ったらしく誘ってきた。
「行くってどこに?」
惚けて、俺からは誘わない。
「解ってる癖に~。ラ・ブ・ホ」
媚を売る様に、可愛こぶって誘う。
俺は携帯を見た。
今日、合コンに行く事は言ってある、和樹から連絡が入ってるかもと思ったが、着信もLineも無かった。
合コンに行って心配して無いのか?なぜ連絡が無い?と、その事がイラ立ち携帯を仕舞った。
「ラブホねぇ~。ま、良いか~」
どうせ帰っても和樹が待ってる訳じゃねぇ~し、佐々木や金子もしてるし。
「早く行こう.行こう♪」
最初その気が無かった俺の気が変わらない内にと、グイグイ腕を引っ張り連れられて行く。
心の中で、連絡しない和樹が悪いんだと和樹の所為(せい)にした。
酔った勢いと軽いノリで話し、夜の闇に消えて行った。
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