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第185話 最低男?(拓真)
和樹が初めて就活して面接に落ちた日から、また就活に力を入れる様になった。
和樹を慰めていたのは、俺ばかりじゃなかった。
武史はもちろんたが、内田や中嶋.山瀬も会った時には励ましていたし、和樹と同じ学部の奴も何人か励ましていた光景は見たが、そこまでは別にどうも思って無かった。
1番に俺に頼って来た事に優越感もあった。
ただ、構内で大野が和樹の肩に手を回し励ましてる姿は気に食わなかった。
和樹も大野に報告しなくっても…ま、聞かれたから答えたとは思うが……それでも馴れ馴れしい素振りが気に食わない。
他の奴が頭を撫でたり肩に手を回しても何とも思わないが、大野だと……腹が立つ。
そんな事もあり、和樹が落ちた日から2度程俺も流石にマズイと佐々木と金子の誘いを断っていた。
和樹が就活に力を入れれば入れる程、俺は寂しく感じ疎外感も増し、またストレスが溜まっていた。
ストレスを抱えていた時にタイミング良く、佐々木達からまた飲みに行こうって誘われた。
その日は合コンでは無く俺達3人での飲みだったが、その内に隣の席の女の子をナンパし、いつのまにか皆んなで飲んでいた。
こいつら女居ないと本当だめだよなぁ~と半分呆れたが、それを利用して俺もストレス発散してるんだから俺も同じ穴のムジナか。
時間が経つにつれ佐々木が盛り上げ、女共は酔っぱらってきていた。
佐々木の隣の女は佐々木にべったりし、金子の隣の女も金子が甘える仕草をすると「可愛い~」と言いベタベタしていた。
俺の方では隣の女が媚を売る様に話し掛け、さり気なくボディタッチが多くなってるのは感じていた。
佐々木達も今日はイケルと目配せをしている。
何となくカップルっぽくなり、店の前で佐々木達と別れた。
いつもの様に俺からは誘わない。
駅へ歩くと女の方から誘ってきた。
「良いけど。俺しつこい女嫌いだから、きちんと割り切ってくれるなら」
「解ってる。飲んだ勢いで…ね」
大丈夫そうだ。
どうせ飲み屋で知り合った女だ、お互いの事は知らないし丁度良い。
また、ヤッタ後に念を推してボロクソ言えばシツコクしないだろうと計算し、女に腕を引かれホテル街に消えた。
そんな堕落的な日々の中、和樹が珍しく「今日、拓真のアパート行って良い?」と言って来た。
「良いけど、就活の方は?」
「うん、この間2社目受けて結果待ちで、また他の会社を面接するけど…。今日は空いてるから」
「じゃあ、今日はゆっくりできるな」
「うん」
久し振りに和樹と過ごせると、俺も気分が上がってきた。
俺のアパートに行く為に2人で構内を歩いてると、校門の方から俺達の方に手を振ってる女が居た。
俺は遠目では誰か解らずに居たが、こっちに歩いて来るシルエットで前に合コンした沙也加だと解った。
何で、今更?
いつまで経っても、俺から連絡無いからか?
大学までシツコク来やがってぇ。
何で、俺が帰る時間が解った?
佐々木か金子辺りに聞いたのか。
「和樹、ちょっと待ってろ」
和樹を1人残して、俺達に近寄る前に俺から沙也加の元に歩いて行き、目立たない場所に沙也加の腕を引っ張り連れて行った。
大きな木の陰で沙也加を睨み。
「何しに来たんだ?大学まで」
「だってぇ~。拓真君、連絡くれないから~。沙也加から来ちゃった~」
俺の腕に絡みつく様に腕を組み、媚を売る様に話す。
最初から遊びだって解んねぇ~のか?
頭悪いんじゃねぇ。
「言ったはずだ。彼女面されるのも迷惑だしシツコクされるのも迷惑だって」
「え~、別に彼女面してないよぉ~。ねぇ、この後2人で飲み行かない?」
ヤリマンが、他の奴に行けよ。
「俺、遊びが解らない奴とは行かない。それに直ぐに足広げる女って1回だけで充分だ。はっきり言って、お前くらいのレベルなら他にもいるし。連絡しない事で解れよなぁ~。会うつもり無かったから直ぐにメモ捨てたし。それとも、また俺とヤリたいの?ヤッテやっても良いけど、俺、お前じゃあ勃たないかも」
鬼の様な顔になり、俺の頬をおもいっきり叩いた。
バチンッ。
「あんた最低~。ちょっと顔が良いからって、女馬鹿にして。地獄に落ちろ!」
俺に悪態をついて走り去って行った。
やれやれ、叩かれる事ぐらいで終わって良かった。
あ~、折角の和樹と過ごすと言うのにテンション下がる。
これからは、馬鹿女には気を付けよう。
和樹がずっと俺と女の遣り取りを少し離れた所から見ていたのは、気付かなかった。
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