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第196話 花火大会①(拓真)
2週間の予定が3日程オ-バ-して戻ってきた。
叔父さんからは「卒業したら、働くんだ。今回は雑務だけじゃなく他もやって貰うぞ」と言われ、予定より戻ってくるのが遅くなった。
今回は叔父さんから仕事を与えられ、今までと違うバイトで疲れた。
和樹に電話やLineをして過ごし、仕事の大変さがこのバイトで解った。
学生の身分が、どれだけ楽だったか痛感した。
働き始めたら大変だなぁ~と朧げに感じた。
やっと解放され、自分のアパートに戻ってきた所だ。
和樹にLineで戻った事を伝えた。
“和樹、アパートに戻った”
直ぐに返信が来た。
“お帰り😃バイト大変そうだったけど、お疲れ様”
やはり和樹だな、心が癒される。
“来年から仕事するんだからって、散々こき使われた~”
“頑張ったね”
早く和樹に会いてぇ~。
“明日、どうする?今日から家に来るか?それとも待ち合わせするか?”
“拓真、疲れてるだろうから。明日、夕方に花火大会の駅前で待ち合わせしよう”
残念、会いたいと思ってるのは俺だけか?
でも、和樹の気遣いは解ってる。
“了解。じゃあ、5時に待ち合わせで良いか?”
“OK。ゆっくり休んで”
“解った”
和樹に会いたい。
でも、流石に疲れた~。
和樹に早く会いたくて、実家でゆっくりする暇も無くアパートに帰ってきた。
和樹は優しいからな。
俺がバイトの愚痴を電話でしたから、今日位は、ゆっくりさせようと思ったんだろうな。
今日は何もせずにゆっくりして、明日の夕方までに荷物の整理して出掛けるかな。
明日が楽しみだ。
「和樹~」
先に待ち合わせ場所に着いていた俺は和樹を見つけ声を掛けた。
俺を見つけ、小走りに来る和樹が何とも可愛い。
「待った~。ごめん、ちょっと出るの遅くなっちゃった」
息を切らして謝るのが、早く会いたかったのに~って俺には聞こえた。
「それ程待ってない。少しふらふらしながら花火大会の場所行くか?屋台も出てるだろうから、そこで何か買おう」
「うん。楽しみにしてたんだ~♪」
「俺も」
本当に楽しみにしてたのが解る笑顔で、俺も釣られて微笑んだ。
「行こう.行こう♪」
子供みたいに、はしゃぐ和樹が可愛い~。
久し振りに和樹とゆっくり過ごせるんだなと実感した
就活が始まってからは会う事もあったが、ゆっくり過ごすと言う雰囲気じゃなかった。
今日から3日間は就活も何もかも忘れて、純粋に2人の時間を楽しみたい。
「早く~♪」
「今、行く。余り急ぐと転ぶぞ」
くっくっくっ……
「子供じゃないんだってば~」
プクッと膨らむ頬を突っつく。
「子供の方がしっかりしてる」
「もう~」
和樹を揶揄うのも楽しい。
俺は久し振りに笑っていた。
花火大会の会場まで、去年も歩いた道をぶらぶら歩き去年無かった店を覗いたり、去年はあった店が別の店になってたりと若干変わっていた。
月日の経つのが何となく感じた、それは和樹も一緒だったようだ。
「去年とは、お店も変わったりしてるね。でも、去年もあった店を見ると、またここに来たんだって実感するね」
「俺もそう思ってた所だ」
「あっ、あの店まだあった~」
「行ってみるか?」
「うん」
そんな感じで、店を何ヶ所か見て周り会場まで歩いた
既に、花火大会の会場は人でいっぱいだった。
「凄い人だね」
「そうだな。駅から歩いて来る人も多かったしな。屋台で何か買って、去年見た場所に行こうぜ」
「そうだね。何買おうかなぁ~」
楽しみで仕方無いって顔をしてる。
やはり子供だな。
屋台を見て回る時に人の多さに逸れてしまわないようにと思い、この人混みの中で、どさくさに紛れて和樹の手を取り手を繋いだ。
「た、拓真」
驚いた顔で誰かに見られたら…って、気にしてるのも解った。
「この人混みだし誰も見てないよ。それに逸れても困るしな。迷子のアナウンス頼まなきゃなんねぇ~し」
「迷子って~、だ.か.ら子供じゃないってば~」
「僕、名前と年は言えますか?」
くっくっくっくっ…
「言えます。明石和樹.22才!」
「はい、よく言えましたねぇ~偉いぞ、僕」
子供にするように和樹の頭を撫で話すと呆れた目をして話す。
「拓真~、いつまでそれやるの~」
「楽しいじゃん」
「楽しくな~い」
くっくっくっくっ…
本気で怒ってないけど怒ってる和樹も可愛い。
「も、早く屋台で何か買おう」
「解ったよ、僕ちゃん」
「………拓真のバカ」
くっくっくっくっ……
可愛い憎まれ口だ。
楽しい~♪
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