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第198話 花火大会③(和樹)

花火大会が終わり、俺達はまだ会場に居た。 今なら聞いても良いかな? 俺が今、一番気になってる事を……。 うん、今なら聞ける。 「拓真。ねぇ、俺……卒業しても、拓真の側に居てもいいんだよね?就職先も拓真の就職先と近い所を選んでるけど……」 俺は噂話や浮気の事より、肝心な卒業後も拓真の側に.付き合っていくかどうか?そっちの方が不安だった。 こんな事を聞くのも噂話や浮気が原因なのは解ってる だったら、浮気を問い質して止めて貰えば良いのかも知れないけど……その事で、喧嘩や煩く言って嫌がれるのも嫌で言えない、嫌われたく無い。 このまま付き合っても浮気され捨てられるなら、早い方が良いと言う考えもあるし……けど、やっぱり好きだから離れたく無いと言う気持ちもある。 拓真は卒業後どう思ってるか?聞いてみたかった。 「当たり前だろ?俺から言ったんだぞ。俺の近くの就職先にしろって。卒業しても付き合っていく為に。離れてるとなかなか会えないだろ?」 「…そうだね」 「その為に就活頑張ってんじゃねぇ~の?」 「うん」 「今頃、何言ってんだ?和樹は俺の側に居れば良いんだよ。誰に何と言われても俺も離れるつもり無いし」 その言葉だけで充分だ。 俺は嬉し過ぎて涙が出そうになるのを堪えて笑った。 「ごめん。就活でナ-バスになってんのかなぁ~」 「この3日間は就活の事も何もかも忘れて、俺の事だけ考えろ」 「うん」 俺はこの時に拓真が浮気しようが何しようが、俺からは何も言わない事に決めた。 俺さえ何も言わなければ……拓真とずっと付き合っていけると思った。 大学卒業したら……仕事が始まったら、忙しくって女の子と浮気なんてしてられなくなるだろうし、今だけだ.今だけと思うようにした。 この花火大会の出来事が拓真に何も言えなくなるキッカケになった。 「和樹、まだ残ってるから食べようぜ」 「あっ、うん。拓真、はい、あ~ん」 「あ~ん」 俺が食べさせた唐揚げを美味しそうに食べてる拓真、やっぱり好きだな。 暫く、花火大会の余韻に浸り気持ちも軽くなって、拓真との触れ合いをしたかった。 何だか今まですれ違い?を埋めるように、俺は拓真と今見た花火の話やテレビでの面白い話をしたりとたくさん話した。 だいぶ人も減り俺達も帰る事にした。 帰る時に、この景色を忘れない.来年も一緒に来ると決意を込めて振り返って見た。 「和樹?ボ-としてんなよ。帰るぞ」 「うん。拓真、花火綺麗だったね」 拓真の隣に寄り添い帰り道を歩いていた。 拓真の部屋に着いて、直ぐに拓真から求められた。 拓真の寝室に連れて来られた時に思い出した。 ベットから目を逸らし、脳裏に女の人の喘ぎ声が浮かんだ。 でも、それも直ぐに拓真とのキスで消し去った。 あれから半月以上は経ってる。 拓真も2週間は、この部屋に居なかった。 忘れよう。 この3日間は、拓真を独占できるんだから。

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