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第208話 何度めかの浮気 (拓真)

女の名は芽衣って言うらしい。 連れて行かれた洋風居酒屋で飲んだ時に聞かされ。 俺は覚えて無いが、どうも芽衣の方は俺の事知ってるらしい。 どこかの合コンか飲み会で会っていたと、聞かされた 寝たかどうかまでは言わなかったが……あの媚びる様な誘い方からして寝たんだろうなと、予想がつく。 1人で良く喋り良く飲む芽衣の話を黙って聞いて、適当に相槌を打つ事はした。 友達の話.最近の流行.俺の事を聞きたがったりと、特別面白い話でも無いし全然興味が無かった。 それでも暇潰しの相手にはなる。 時間が経ちにつれ、俺に対してボディ-タッチが増え酔ってる事をアピールし、誘いを掛けてきた。 何となく雰囲気で解ったが、俺は気付かない振りをし飲んでいた。 幾ら、アピールしても俺から誘わないと解ると、業を煮やし芽衣の方から誘ってきた。 「拓真って鈍感なの~?それとも私じゃ嫌?」 「何が?」 「解ってる癖に~」 腕を絡め、俺の太腿を意味あり気に摩る手をそのままにした。 「だから、何?」 「本当に酷い人よねぇ~。女から言わせるなんてぇ~。でも、拓真なら許しちゃう~。芽衣~、酔ってるみたい~♪ 拓真ぁ~の部屋に行っても良い~?」 太腿から股間の際どい所まで手が伸びた。 「どうしようかなぁ~」 「お願い~。拓真って、なかなか遊んでくれないから~。こんなチャンス無いじゃん」 「遊びねぇ~。遊びって弁えてくれるんなら。しつこい女って居るんだよねぇ~」 一応、牽制しておく。 芽衣の返事によっては、今日は和樹はバイトって言ってたし帰っても1人だし、別に良いかっと考え始めていた。 「解ってますよ~。芽衣はそんな女じゃないし~。だから、良いでしょ?」 腕を絡め、しな垂れかかる体をそのままにし、焦らす様に考える振りをした。 「ん~、どうすっかなぁ~。俺の部屋に来ても終電までには帰ってくれよな?俺、誰かと一緒に朝まで寝るのって無理なんだわ。そういう所、妙に神経質なんだ」 「そうなの?見かけによらないのね?拓真の口から神経質って言葉出るとは思わなかったぁ~。終電までは居て良いのね?」 「まあな」 ヤル事やったら、帰って欲しいのが本音だ。 本当は和樹を呼ぶつもりで、一緒に過ごすつもりで居たが、急なバイトでダメになっちまったからな。 代わりにも何ねぇ~けど、暇だしこいつで良いか。 それにこいつヤル気満々だし~。 適当にセックスして、鬱憤発散させて貰うか。 「拓真~のお部屋に行こう~♪」 肩にしな垂れ掛かり甘えた声を出すが、魂胆が見え見えで逆に冷める。 「……ん、そんなにシタい?」 ビ-ルを飲みながら冷めた口調で話すが、酔ってるのか?鈍感な女なのか?気づきもしない。 「拓真とHした~い♪ こんなチャンス無いも~ん」 俺の耳元で、わざと囁くのがウザい。 「そんなにシタいなら…じゃあ、行くか?」 俺がやっとその気になったと思ったらしく、酔っていたと思った目をキラキラと輝かせた。 あざとい。 「もう~、拓真って焦らすのが上手いんだから」 「別に焦らしてねぇ~けど」 酔ってた振りだったのか?ま、別にどうでも良いけど…。 「じゃあ、行こう.行こう♪」 「解った。そう焦るなって」 ここまであからさまだと笑える。 くっくっくっ…… 「何、笑ってるの~?拓真の気分が変わらないうちに行こう♪」 「解った。これだけ飲んだらな」 「じゃあ、芽衣も飲んじゃう~♪」 芽衣と会った時はそんなつもりも無かった。 ただの暇潰しにと思ってたが、思わぬ展開だったが女の方がヤル気なんだから、こっちも遠慮なく発散させて貰う。 居酒屋を出て、芽衣が俺の腕に腕を絡め体を寄せて、そのまま2人で俺のアパートに向かう為に駅に歩いて行った。 俺は何度目かの浮気をまたしてしまった。 俺が遊んでると噂が立ち始めてるのも知ってる。 他の奴らに何言われようが関係無い。 浮気も回数を重ねると、和樹にさえバレなきゃ良いと思い始めていた。 和樹が薄々感付いているとも知らずに…。

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