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第210話 (拓真)
シャワ-を浴び終わり、下だけスエットを履いて髪をタオルで拭きながら部屋に戻ると、まだベットには芽衣が横になっていた。
「おい、いつまで居るんだ?終電あるうちに帰れよ!」
俺の言葉に ‘嘘でしょ?’って顔をし、猫撫で声で話す。
「え~冗談でしょう?今から帰れって言うの?」
「飲んだ時に話してただろう。俺は1人で寝たいの! 終電前に帰れ!」
服を投げ付け本気だと行動に移す。
投げ付けられた服をベットの上に置き、裸の体で近寄り耳元で囁く。
「そんな事言わないてよぉ~。朝までヤッテも良いじゃん。拓真も1回しか出して無いし~、まだイケるでしょ?これからじゃん」
俺の肩に手を置き、もう片方は俺の萎えた男根をねっとり弄る。
こいつ好き者だなぁ~。
はあ~、もうヤル気は無いがフェラぐらいならと頭を過ったが、余りにもヤル気のある相手に気持ちが萎えた
その手を払い除け、芽衣の体をドンッ!と押すと、ベットに尻餅をついた。
「はあ~冗談だろ?お前なんか1回で充分だっつ-の」
「何を~、拓真だって楽しんでたじゃん」
あ~面倒くせぇ~。
早く1人になりたい。
「じゃあ言ってやるけど。お前の声がデカ過ぎて近所迷惑! そんな女1回で充分! 萎えて2回は出来ねぇ~し」
俺の酷い言葉に、媚び売ってた顔が怒りに変わり目が釣り上がり鬼の形相だ。
怖ぇ~。
「本当~最低な男! 顔が良くっても性格最悪! セックスだって全然上手く無いし」
顔とか性格とか最低っつ-のは散々言われ慣れてるが、セックスまで言われたら俺も黙っていられない。
「何で、お前相手に本気でセックスしてると思ってんの?穴に挿れて気持ち良くなったら出して終わりじゃん。オナホの代わり?色々言ってっけどお前すっげぇ~デカイ声で喘いでたから。次の男の前では気を付けろよ」
ハッハッ…。
馬鹿にした笑いが出た。
「最低! 最低! 死ね! バカ~」
暴言を吐きながら、次々と服を着ていた。
器用だなぁ~と、暴言は無視して思っていた。
鞄を持ち玄関でサンダルを履き「最低男~!」と叫び、ドアをバンッ!と叩き付けて出て行った。
「あ~やっと帰った~」
ったく、誘ったのは向こうじゃん。
それに終電前には帰るって約束したんだから守れっつーの。
寝乱れたベットのシ-ツを引っ張り洗濯機に入れ、新しいシ-ツの上で寝転ぶ。
体はスッキリしたし、女に酷い言葉を浴びせストレスも解消したし。
本当なら、和樹とゆっくり過ごそうと思ってたのに、ピンチヒッタ-で頼まれたバイトに行ってしまった為に、それも叶わなかった。
今頃、バイトも終わる頃か?
混んでると、もう少し掛かるかもな。
和樹の事を考えてたが、酔いと少しの運動で眠気が襲ってきた。
和樹が俺の部屋に来ていた事も浮気現場を見られていた事も知らなかった。
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