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第213話 過ちR18(拓真)

ギジギジ…ギジギジ… 腰を持ち打ち付け貫いていた。 ゆさゆさ揺れる小さな体と軋むベットの音。 「あぁ…いい…はげし…そこ…いい」 明かりも点けず暗闇の中で喘ぐ声に俺も腰の振りを激しくし、終わりが近い事を感じていた。 「ああ…和樹…和樹…いい」 「んん…いくぅ…いっちゃうぅ…あっうう…うっ」 「くっ…俺も…うっ…うぐっ…はぁはぁ和樹」 ヌブッっと抜いて、そのままドサッと横になり、いつの間にか酔いと疲れで寝てしまった。 「痛ッ、イテテッ…昨日は飲み過ぎたぁ~」 朝起きて、頭がガンガンした。 隣に人の気配がした。 まさか、女か? 和樹は有り得ない。 昨日は、和樹は大野達と飲み会に行っているからだ。 大野達と飲む時間があるんだったら、俺と一緒に過ごせば良いのにと不満に思いながら ‘前から誘われてたから、ごめんね’ と言われ、渋々行く事に了承した。 ここ最近、和樹と妙に時間が合わず会えない日々が続いていた。 大学で少し会えば話したりLineしたりするが、俺は会おうと言っても和樹の方がバイトだ何だかんだで会う時間が無かった。 大野達との飲み会って事で、俺も久し振りに佐々木達と合コンに行ったが、イライラも積もり相手もそこそこの女達で俺は飲んでばかり居た。 2時間かそこらの合コンも終わり、それぞれ送って行く事になり俺も駅に歩き始めたが、女の方は次に行きたがっていたのが見え見えだった。 その日の俺はそんな気も起きずイライラもあり、女に「あんたじゃあ勃たない。無理!」酷い言葉を浴びせ、泣き出した女は走って去って行った。 疲れを感じて道路の所で座ってると、暫くして声を掛けて来た奴が居た。 「大丈夫?」 顔を上げると1人の男が心配そうにしていた。 「和樹?」 酔っていた俺は背格好や髪型が何となく和樹だと思った。 「誰かと勘違いしてる?ちょっとさっきから見てたけど、女の子泣かしてたね。タイプじゃ無かった?」 声まで似てる気がした。 「はん! あのレベルじゃあ~ね」 「結構、飲んでるけど、まだ飲めるなら俺と付き合ってよ~。いい店知ってるから」 和樹を思わせる男に何となく心を許し酔っていた所為もあるんだろうが、俺は暫く考えてこのまま帰っても…寂しさと相手が男だと言う油断もあった。 「良いぜ」 男が俺の腕を引いて並んで歩き、男が知ってる店に行った。 そこまでは思い出したが、その後の記憶が無い。 俺がジッとその背中と後頭部を見てると、寝返りを打ち起きたようだ。 「あっ、起きたの?おはよ。昨日の事覚えてる?」 男の顔は朝の光で良く見ると、和樹には似てなかった 髪の色も和樹は黒なのに対して茶髪で、目は大きいが勝気そうな印象で和樹がリスなら、こっちは我儘そうな猫って感じだ。 似てるのは背格好と声だけだった。 お互い全裸の朝を迎え、昨日何があったかは一目瞭然だ。 「悪りぃ。覚えて無いが、今の姿を見れば解る」 「女の子にモテそうだし、男には興味無いのかと思ったけど、男もイケるんだね?男を抱いた事があるんでしょう?上手かったし気持ち良かった」 「……そうか」 「ねえ?和樹って誰?恋人?俺を抱きながら何回も ‘和樹.和樹’ って呼んでたよ~。恋人いるのに浮気?酷い人だね~」 クスクス…笑いながら話す。 「……さあ、どうだろうな」 知り合って間もない奴にプライバシーは明かさない。 「ふ~ん」 鞄からスマホを取り電源を入れて急に起き上がり「シャワー貸して~」と言い教えてると、10分もしないうちにタオルを巻いて出て来て、さっさと自分の服を着ていく。 「ヤバい。彼氏から何回も連絡あったから帰るね。実は、昨日喧嘩しちゃって~、ムシャクシャしてたんだ~」 「そう」 支度が出来たらしく俺に向かい 「ねえ、良かったらセフレになんない?拓真となら上手くやっていけそうだし、セックスも良かったし」 「いや、いい。セフレとかの関係を作ると、後々面倒な事になるかも知れないからな」 確かに、セフレなら…彼氏も居るらしいから割り切った関係を保つ事が出来そうだが…長くそう言う関係性は持ちたく無い。 「あっそう。じゃあ、暇な時は、ここで遊んでるから来てみて。もし、お互い相手居なかったらまた遊ぼ。じゃあ、時間無いから帰るね」 テ-ブルにブルーの名刺を置いて、言いたい事言って帰って行った。 玄関の方をボ-然と見て、テ-ブルにに置かれたブルーの名刺を手に取り見る。 BOYS-BAR honeybee 蜜蜂? 「あ~、甘い香りに誘われる蜜蜂って事か。ふ~ん」 暫く見つめ財布にしまった。 それにしても、男だとこうもアッサリしてるのか? 女より割り切れるし楽だ、妊娠する心配も無いし。 名前も聞かずに出て行った奴の余りのアッサリとした行動に呆気を取られた。 その時は、そのくらい程度にしか思って無かった。 酔って何も覚えて無い事も有り罪悪感も感じ無かった 相手が和樹だと思ったから出来たんだろうとその程度だ。 そうじゃなきゃ俺が和樹以外の男に欲情する筈が無いと思っていた。 浮気するなら女より男の方が良いかも…くらいで本気で男と今後も浮気しようとは思って無かった。 和樹が女との浮気は許せても男との浮気は許せ無いと考えていた事は、俺には解る筈も無かった。

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