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第214話 やっぱ好き(和樹)

「久し振りだな。和樹とこうやって2人で会うの」 「ごめんね。夏休み明けて、なんやかんやって忙しかった。拓真、寂しかった~?」 「ああ、和樹と会え無かったから寂しかった」 冗談で聞いて見たら、意外な反応をして驚いた。 「どうしたの?素直過ぎて怖いんですけど」 「たまには、俺だって素直になる」 「拓真~、可愛い~」 素直な自分に照れてるみたいだった。 本当は、夏休み明けてあの事があってから少しだけ2人で会うのを避けていた。 まだ、気持ちが落ち着いて無かった。 こうやって拓真の部屋に今居ると、あの日の事が思い浮かぶのは、まだ気持ちの整理が出来て無いって事なんだろうな。 「拓真~、寂しいからって浮気しないでよ~」 意地悪く冗談で、それとなく聞いて反応を見る自分が情けない。 でも、面と向かってはっきりと聞けない。 「はっ! そんな事する訳無いじゃん。そりゃ付き合いで合コンやら飲み会にも行くけど。何?疑ってんの?俺の事信じられない?」 「やだぁ~、冗談じゃん。拓真の事信じない訳無いよ。そんなに真剣に言われて、ちょっとびっくり~」 また、冗談ぽく返した……けど、俺は拓真の肩がピクッと動いたのは見逃さなかった。 やっぱり……だよね。 俺、見ちゃったし……でも、拓真が信じろって言い張るなら……。 2人で居るのに雰囲気悪くなるのも嫌だ。 「なら、良いけど。そんな事より夕飯どうする?」 そんな事? 拓真にとっては、そんな事なんだ。 浮気は所詮浮気……か。 「う~ん、最近、食欲無いんだよね~。夏バテかな?拓真、何食べたいの?」 「夏バテ?和樹、体力無さ過ぎ~。それでも少しでも、食べなきゃ。俺は…ん~、和樹が作ってくれるなら何でも良い」 俺の体を心配する拓真のこういう所は優しい。 「じゃあ、チャ-飯とかでも良い?」 拓真の部屋の冷蔵庫に何が入ってるのか解らないからチャ-飯位なら作れるだろうと思った。 「うん。良い~よ♪ 和樹の料理も久し振りだ♪」 嬉しそうに話す拓真だったけど……それじゃあ、何で浮気するのって言いたくなるのをグッと堪えた。 「適当に、冷蔵庫の中漁って作るね~」 「何でも使って良い~。今日、泊まるだろ?」 「……拓真が良ければ」 返事が躊躇したのは仕方ない。 「良いに決まってんじゃん。俺は泊まらせるつもりだったし~」 「じゃあ、泊まる!」 そう言って、小さなキッチンに立った。 冷蔵庫の中を見てチャ-飯に使えそうな材料を取り出し野菜を刻み始めた。 拓真はテレビを見ている様だ。 いつもと変わらない態度の拓真に俺も知らない振りで普段通りに居ようと心掛けてた。 「はい、チャ-飯とス-プと冷奴」 「おっ、美味しそう。ん、和樹、それだけ?」 俺の前にはス-プと冷奴だけあった。 「うん。余り食べたく無いから。俺の事は気にしないで食べて.食べて」 「まあ、何も食べないよりマシか。幾ら夏バテだって少しずつ食べろよ。じゃあ、いただきま~す」 「どう?美味しい?」 お腹空いてたのか?バクバク食べていく拓真を見てると、こっちまでお腹一杯になりそうだ。 「ん、美味い.美味い。チャ-飯も美味いけど、この卵とワカメのス-プ絶品だな。めっちゃ美味い!」 「うん、美味しい~ね♪」 良かった、喜んでくれて。 こんな雰囲気で過ごすのも久し振りだ。 やっぱり、好きだな。 拓真に裏切られても……好きなんだもん。 それから拓真と久し振りにゲ-ムをして遊び、お互い負けると「もう、1回」って言って、なかなか終わらなかった。 夜も遅くなり、お互いシャワーで済ませベットに入り拓真から求められ俺も受け入れた。 拓真とのセックスは久し振りって言う事もあったけど…嫉妬もあったのかもしれない……俺も積極的に動いた。 気持ちも良かったけど、何よりまだ俺を求めてくれたのが嬉しかった。 拓真の唇.声.手.腰遣い…何もかもが俺を狂わす。 激しいセックスは朝方まで続いた。 拓真がシャワー浴びてる隙に、女の影が無いか?浮気の痕跡が無いか?ベット回りを調べてしまったのは俺の嫉妬からだ。 拓真には、そんな浅はかな行動をした事は秘密だ。

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