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第226話 派手な女①(拓真)
俺の腕の中でスヤスヤ…と安心したような寝顔の和樹
やはり和樹と一緒に居ると癒される。
卒論で、寝てないのか?
その上バイトまでシフトを多く入れ、時には人が居ないとなると断り切れずに出ているようだ。
お人好しなんだよなぁ~、いや和樹の優しい所なんだと解ってるけど、体調崩すまでする必要があるのか?俺は内心イラっとした。
せっかく2人で居るんだと思い言うのは止めた。
和樹が弱ってる所為なのか?甘えてくるのが可愛いらしかった。
体調も悪いと言う事もあったのか?自分の事は置いといて、俺に気持ち良くなって欲しいと思ったのか?セックスはしなかったがフェラをしてくれたが、俺は一瞬戸惑った。
一昨日の夜から朝に掛けて、あの店で会った名も知らぬ相手とセックスした事もあり、性欲はそんなに無かった。
実際、ここん所性欲の方は満たされていた。
店で相手が見つから無い時は、女を抱いて……。
だから、和樹の体も考え無理にはセックスもせず、和樹の気持ちが嬉しくフェラだけはして貰った。
やはり好きな相手だと、気持ちも体の反応も全然違うと思った。
性欲が満たされてる事もあり、和樹とシナくても俺は一緒に居るだけで満足だった。
こう言うのって、精神的に満たされるって言うんだな
誰と一緒に居ても満たされない気持ちが、和樹となら側に居るだけで充分だ。
幼い寝顔を見せる和樹に愛しさが溢れてくる。
次の日は和樹が夕方からバイトって言う事で、時間までずっと部屋の中で過ごした。
「拓真の側に居たい」と甘える和樹はどこかしら俺と接触していた。
隣に座りゲ-ムをして盛り上がってる時にも太腿だけ触れていたり、テレビを見てる時には俺に寄り掛かったり手をつないだりと、俺にずっと触れていた。
俺も和樹の甘える姿が可愛いく好きなようにさせ、心の中では嬉しくって仕方無かった。
「1時間だけ、寝かして」
そう言って、俺の膝に頭を乗せ膝枕を強請った。
俺も黙って小さな頭を撫でていた。
「拓真、気持ち良い~♪…好きだよ」
「俺も好きだ」
何度も言葉にする和樹は体調の悪さもあって弱ってると、俺は勘違いしていた。
和樹の体調の悪さが忙しいのもあるが、1番の原因は俺だとは気づきもしなかった。
ただ、久し振りに2人でゆっくり過ごせて幸せだと思っていた。
和樹が夕方からバイトに行き、俺は精神的に満たされ遊びに行く気も起きず、部屋でゆっくり過ごした。
それも週末に近づくと、またあの店に遊びに出掛けてしまう。
楽しい遊びを覚えたばかりの子供みたいだった。
たぶん、日常とは違う世界の刺激を求めてたのかも知れない。
その日も誘って来た相手と、店を出てラブホに向かった。
あの弱ってた日に会って以来、和樹は時間を見つけて俺に会う時間を増やしていた。
Lineをくれて週に2回位時間を作り、バイト行く前の2~3時間だったりするが、週1回の泊まりと前より俺との時間を増やしてくれた。
凄く嬉しかったが、和樹の目を盗んでラストまでバイトと解る日は、あの店に行く事は止めて無かった。
そんな日々が続いた週末に、またあの店に行ってた。
だが、その日は声を掛けて来る相手は俺のタイプでは無かった為、終電を逃さないうちに店を出る事に決めその前にトイレに入った。
「拓真、久し振り~♪」
声を掛けて来たのは莉久だった。
「ああ、久し振りだな。全然見なかったが、彼氏と上手くいってんのか?」
「まあね」
莉久が店に俺よりずっと後から入って来たのは解っていた。
莉久も俺に気が付いたようだが、声を掛ける前に知合いに声を掛けられ、そっちに行ってしまった。
チラチラ…と俺を見てたのも知ってるが、俺は気付かない振りをしていた。
マスターに聞かされた話しで、俺は面倒事に関わるのは避けていた。
面倒事が嫌で、この店に来てるんだ。
「ねえ~、良い子見つからなかったの?だったら僕とどお?今から拓真の部屋に行かない?」
妖しい目で俺を誘うが……。
「悪いが、莉久とはもう寝る事無いな。莉久には楽しませて貰ったが、彼氏との面倒事に巻き込まれたくないからな。俺の部屋にも来ないでくれ。店で飲む友達としてなら飲んでも良いが、それ以外はダメだ」
こう言うタイプは、はっきり言った方が良いと思った
「ふ~ん。僕とのセックス忘れられるの?僕は拓真とは相性が良いと思ってるけど?」
「セックスする相手なら他にも居る。余計なお世話だ」
「ふん! 拓真のバカ~」
バタンッ!
トイレの扉を乱暴に締め出て行った。
「何だ~、あいつ!」
そんな事もありカウンターに戻り、残りの酒を一気に飲んで店を出た。
駅までの帰り道で、酔っ払って道に座り込んでる派手な服を着た女が居た。
いつもなら無視する所だが、その時は気が向いて声を掛けた。
「ねえ~、あんた大丈夫?」
「………ん、誰~♪」
上げた顔は派手な化粧をし、いかにも水商売と解る女だった。
フラフラ…と立ち上がり、酔ってる所為でふらつく体を抱き止めた。
「危ねぇ!」
相当酔ってるようで、虚ろな目で俺を見て話す。
「あらぁ~、凄~い良い男ねぇ~♪ ん~お姉さんと良い事しない?」
「しない!」
俺の首に手を回し抱き着き耳元で囁く。
「今日ねぇ~、お客さんを後輩のホステスに取られちゃってぇ~、ムシャクシャしてんのよぉ~。じゃあ、奢るから飲みに行こう!」
少しだけ考え、このまま放っておく訳にもいかないしと飲む事を了承した。
駅まで体を支え、俺のアパートの最寄り駅で降り、適当な居酒屋で適当につまみを頼み、女の愚痴を散々聞いて俺も酔ってるからと「そんなのお姉さんに飽きたんじゃねぇ~」「若い子の方が良くなったんだって」とか、言いたい事を言ったが、酔ってるから全然俺の話を聞いて無い。
どんなに酷い事を言っても聞かずに、ひたすら愚痴を溢す女に面白え~と思った。
女がしこたま飲むのに合わせ、俺も面白いからいつの間にか結構な量を飲んでいた。
女の鞄から財布を取り支払いを済ませ、2人で肩を組んでヨタヨタ…フラフラ…歩き、そのまま俺の部屋に雪崩込んだ。
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