233 / 379

第234話 弱さ(和樹)

部屋に着いてベットに直行した。 枕に顔を埋め、それから仰向けになって天井を眺めていた。  「何か、色々あって……疲れたなぁ~」  俺…とうとう浮気したんだ。 もう、拓真の事責められない。 朝倉さんを知る前なら、何とか1人で耐えていたけど……朝倉さんに話しを聞いて貰ってるうちに……知らず知らずに弱くなっていってたんだ。 話しを聞いて貰って気持ちが楽になってたけど…甘えても居たと思う。 朝倉さんの大人の包容力と頼りになり安心して甘えて居た。 親友の武史にも言えずに、ずっと1人で抱えて込んで……誰かに聞いて慰めて欲しかったんだ。 だからって、誰でも良いって訳じゃない。 俺が無意識に朝倉さんならって、どこかで感じてたのかも……倒れた時に助けられた事も信用できる人だと思った事も一因かも知れない。 そんな朝倉さんに ‘慰めてあげようか?’ ‘1人で頑張らなくって良い。今日だけは忘れさせてあげるよ’ と言われ、俺は朝倉さんの優しさに逃げた。 朝倉さんに何人かセックスフレンドが居る事を知ってこの人はそう言う大人の余裕で慣れてると思って ‘今日だけ……’ と、この辛さを忘れさせてくれるならって朝倉さんの優しさを利用したんだ。 朝倉さんには悪いけど……後悔はしてない。 自分で決めた事だ。 あの時は…今までの色々な事が走馬灯のように思い浮かべて、もう精神的に限界だった。 もう誰かに頼らないと……無理だった。 逆に、拓真に浮気されても俺に何も言う権利が無くなったと、自分に言い聞かせられる。 自分がやられて嫌な事は人にしないと言ってたのに…自分から破った。 そうする事で…罪の意識で多少の事は……。 朝倉さんの方が後悔して無かったか?と、起きた時に俺の方が不安になった。 俺の事を可哀想だと慰めてくれる為に抱いてくれたけど……。 朝倉さんの何人か居るセックスフレンドに比べられたら物足りなかったかもしれない。 俺はあの時は拓真の事も一時(いっとき)も考え無かった、そのくらい朝倉さんが上手かった。 朝倉さんの優しい愛撫に溺れ、朝倉さんの激しい腰使いと奥を突かれ何もかも忘れ、朝倉さんのセックスに夢中だった。 朝倉さん……やっぱりセックスフレンドが居るだけあって上手かった。 俺は気持ち良くさせて貰ったし……でも、朝倉さんはどうだったんだろう。 少しでも気持ち良くなってくれたら嬉しいけど… 朝倉さんの……凄く大きくって壊れちゃうかと思った 拓真も大きいけど、一回り朝倉さんの方が大き……あっ、拓真から連絡あったかも…。 朝倉さんの所に泊まってしまったから、何て言い訳しよう……。 ベットから起き上がり、鞄の中からスマホを取り出し恐る恐るLineを開いた。 「……無い」 拓真からのLineは無かった事に言い訳しなくってよくなりホッとしたけど……やっぱり寂しく感じた。 「でも……バイトに行くって言って拓真の部屋を出たんだもん。Line無くても不思議じゃないよね?」 自分に自問自答していた。 鞄にスマホを戻してベットに横になった。 拓真に顔向け出来ない事をした。 ううん、違うか? 拓真が浮気しても自分もシタんだからって、何も言えないように.言いたくなる自分を抑える為に…。 朝倉さんの優しさに甘えて、拓真に何もかもぶち撒けてしまいたい気持ちに蓋をしたんだ。 ごめんなさい、朝倉さん。 卑怯者の俺を……それでも…これからも連絡くれるって.会ってくれるって……ありがと、朝倉さん。 朝倉さんの存在が今の俺には……必要な人だ。 でも、これからはどんなに辛い事があっても、もう絶対にシナイ。 あの1度っきり! 後悔はしてないけど忘れる! これからの俺と朝倉さんのより良い関係の為にも。 そして拓真……ごめんね。 弱い俺で……。 「……疲れた」 色んな事があって、色々考えていっぱい一杯だった。 今日は夕方からバイトだ。 少しだけ何も考えずに…寝よう。 朝倉さんからの連絡はその日から暫く無かった。 連絡を待ってた俺の心は寂しさと心細くなっていた。 今まで朝倉さんを頼りにして、無意識に心の支えになっていたんだと思い知らされた。 連絡するから会おうって言ってたのに……朝倉さんが時間が経つに連れ後悔してるんだと思い始めた。

ともだちにシェアしよう!