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第242話 3人での食事会①(海都)
和樹君達との待合せのロ-タリ-で待って居たら、和樹君の背後から背が高く彫りの深い整った顔立ちの男が一緒に歩いて来たのが運転席から見えた。
彼が武史君か?
なかなかのイケメンだなと思った。
車に乗せ、個室の焼肉屋に連れてきた。
車の中でも、武史君は人見知りと聞いていた通り無口だった。
それがなぜか?信用の置ける人だと感じさせた。
和樹君の親友って事もあるのかも知れないが。
個室に入り、俺の前に和樹君が座りその隣に武史君が座った。
「挨拶する前に注文しよう。何でも好きなものを注文しなさい」
「武史、何食べたい?」
メニュー表を武史君に見せて2人で仲良く見ているが、武史君は表情が余り変わらないが、いつもの事なのか?和樹君は気にもせずに「これは?これも美味しそう♪」と表情豊かに話す和樹君と見ていて対照的で面白かった。
「何でも食べれるから、和樹が好きなので良い」
「そう?迷っちゃうよ~。俺、コムタンクッパは食べたい。ん~、あとは朝倉さんにお任せしても良い?」
「解った。適当にス-プと肉とサラダを取るから、足りなかったらまた追加しよう。私は車だから、2人は飲む?」
「俺、ジュ-スで良い。武史は?」
「俺もコ-ラで」
「解った。じゃあ、今日は食べる事にしよう」
店員を呼んで適当に注文し、店員が出て行き改めて自己紹介をした。
「初めてまして朝倉海都です。一応、小さいが会社経営してます。今日は私の我儘で、和樹君に親友の武史君を紹介して欲しいって頼んだんだ。来てくれて、ありがと」
「保田武史です。和樹とは高校から一緒です。和樹がお世話になってるって聞いてます。色々とありがとうございます」
「何だか、和樹君の親友って言うより保護者みたいだなぁ~」
「朝倉さん! 俺は子供じゃありません!」
プクっと膨れっ面が子供みたいなんだが…。
くっくっくっ……
「ごめん.ごめん。怒らない.怒らない」
余りの可愛らしさに笑ってしまった。
怒った和樹君を優しい目で武史君は見ていた。
たぶん、武史君も和樹君の事をずっと見守って居たんだろう。
そんな目だった。
それから注文してた肉やらサラダ.ス-プ.飲み物と、和樹君が注文したコムタンクッパが届いた。
武史君にはカルビクッパを渡し、肉をどんどん焼いた
「さあ、どんどん食べないと焦げちゃうからね」
「朝倉さんも焼いて無いで食べてよ」
「解った.解った。ところで和樹君と武史君は高校からって言ってたけど、クラスが一緒だったの?それとも部活とか?」
「えっと~、同じクラスでたまたま隣同士の席だったんだ~」
「へえ~、それで直ぐに仲良くなったの?」
「始めは余り話さなかったけど、武史からは声を掛けてこないから、俺から少しずつ話し掛けていったんだ~。武史、無愛想で無口だし~皆んな話し掛け辛いって言ってたけど。こっちから話し掛けると、きちんと返事が返ってくるし、俺、毎日武史と少しずつ話せるのが嬉しくって、たくさん話し掛けた~。懐かしい~」
「和樹君らしいね。武史君は和樹君の印象は?」
「ん~、俺、人見知りって自分でも解ってたし愛想も無いから、和樹が居てくれて助かった。和樹はいつも友達がたくさん居ても、必ず俺に声を掛けてくれて、そのうちに少しずつクラスメ-トも話すようになった」
「最初の取っ掛かりは俺だけど、武史の良さはいずれ解ってたと思うよ。まあ、それでも俺のおかげ?」
笑って話す和樹は本当に楽しそうだった。
話しながら俺と武史君は肉を食べるが、和樹君は少しだけ食べ、後はコムタンス-プを少しずつ食べていた
「和樹君、話に夢中になって無いで。ほら、肉も食べなさい」
焼けた肉を皿に取り分けると、1枚だけ食べて後は皿に乗ったままだ。
それでも少しでも食べてくれるならと、焼いては皿に乗せた。
「和樹君はITの会社に就職先が決まったらしいけど、武史君は?」
「武史はね。凄いんだよ~。本屋でバイトしてて、その働きっぷりを認めてられて出版社の人から声掛けられたんだよ~」
自分の事の様に武史君を自慢する和樹君は本当に良い子だと思った。
「おいおい。武史君に聞いてるのに、和樹君が話したら武史君が話せないだろう?それに私は武史君とも仲良くなりたいんだからね」
「すみませ~ん。ほら、武史。あとは話して」
「……殆ど、和樹が話したからな」
「ごめ~ん」
いつもこんな感じの2人なんだろうな。
賑やかな和樹君に物静かな武史君が黙って聞いてるんだろう。
「……まあ、本を読むのが元々好きだったから、本関係の仕事したかったので声掛けられて決めました」
「どんなジャンルの本が好きなの?」
「武史はどんな本でも読んじゃうんだよ~。活字中毒って感じ?」
「和樹君。武史君に聞いてるんだよ」
可笑しくって笑って話すと ‘しまった~’ って顔をした
「あっ、ごめん」
よっぽど、今日が楽しいのか?いつもより良く笑い良く話す和樹君だ。
それくらい武史君の事が親友として好きなんだろう。
和樹君の武史君への信頼度が伝わった。
それを確信して和樹君には内緒だが、俺は今日武史君と会おうと思った目的を、いつ武史君に話そうか?タイミングを見計らって居た。
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