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第244話 正直な想い①(海都)
約束してた武史君と予定通り待合せし、車に乗せ中華料理の店に入った。
予約してた個室に入り、面倒だからとコ-ス料理を頼んでいた。
コ-ラとウ-ロン茶で喉を潤し話を始めた。
「今日は来てくれてありがとう」
「和樹の事なら……気になって仕方ないし」
口数は少ないが、和樹君を思う心が伝わってくる。
「和樹君の前では、話せない事だからね」
「何ですか?前回の食事の前に電車の中で、大体の事は和樹から聞いてますけど……」
「そうか、それなら話は早い」
本題に入ろうとした時に、コ-ス料理がどんどん運ばれテ-ブルに置かれた。
店員が頭を下げ部屋から出て行った。
「料理が運ばれてきたから、冷めないうちに食べながら話そう。たくさん食べなさい」
「いただきます」
料理に箸を付けたのを確認して話し始めた。
「色々、話したい事があるんだが……。武史君は和樹君の親友だから話すんだが……。前回の食事の時に、トイレに立った和樹君が遅かっただろ?」
「はい、混んでたって…」
「そうかも知れないが……どうも食欲が無いようで無理して食べると……吐いてるようなんだ。この間2人で食事した時に解った事だが……その時もトイレに行って余り長いから心配になって様子を見に行ったら、洗面台の前でうがいしてスッキリした顔で戻って来た。私は和樹君に気付かれない様に先に戻っていたが…たぶん、精神的なものが原因で体に現れてると思う」
武史君は箸を持ったまま固まり、顔面蒼白な顔をしていた。
「久し振りに会って痩せてる和樹を見て驚いたけど、そこまでとは……元々が細いのに尚更……。精神的って、原因は拓真なんでしょ?あいつ~!」
箸を握り締め怒りを見せた。
「武史君、感情的にならない様にね。私が和樹君に会った時には、もう食欲が無く寝不足もあって車の前に倒れてきたんだ。知り合いの医者に見せたら栄養失調だと言われた。今の時代に栄養失調ってと驚いたよ」
「倒れた所を助けてられたって聞いてました。食欲の事や栄養失調とかは聞いてませんでした」
「武史君に心配させたく無かったんだろうね。私はそれから和樹君が気になってね、いや庇護欲かな。連絡する様になった」
「話しを聞いてくれて頼りにして、お世話になってるって……」
「そうだね。武史君には話すけど、彼氏の浮気が問題だね。どうも1度や2度では無さそうだ。初めは疑心暗鬼だったようだが、証拠になるような物を見つけたりして……私と会う前には、誰にも言えずに1人で堪えてたようだ。和樹君から初めて話しを聞いて、何て健気なんだと和樹君の一途な心に胸を打たれた。大人になると、そんな純粋な心が無くなるからね」
「和樹はそう言う奴です。どんな酷い相手だろうと自分の方を責める。優し過ぎるんだ! あんな奴の為に!」
「武史君の気持ちは凄く解るよ。私もここ数ヶ月だけど、和樹君を見守ってきたからね。それで武史君に頼みがあるから、今日、会って貰った」
「何ですか?和樹の為なら何でもします」
「ありがと。和樹君の体もそうだが……私も仕事やらで直ぐには連絡取れない時がある。もし和樹君に何かあったり武史君を頼ってきた時には、必ず私にも連絡が欲しい。さっきも言ったが、仕事でマナ-モ-ドにしてたりするが、着信やLineがあれば直ぐには無理でも必ず折り返し連絡するから。私と連絡取れない時には武史君を頼ると思うから」
「解りました。和樹に何か有れば必ず連絡入れます、約束します」
武史君の約束を取り付けて、やっと胸を撫で下ろした
「ありがとう。今日はそれを頼もうと思ってね。さあ食べよう。冷めても中華は旨いから」
折角の料理だと、私が食べ始めると武史君も食べ始めた。
「あの……1つ聞いても良いですか?」
「何でも」
「どうして和樹にそこまで?確かに和樹は小さいし庇護欲唆るのは解ります。でも……朝倉さんは和樹をどう思ってるんですか?……和樹から聞きました。1度だけ忘れてたくって抱いて貰ったって……和樹の話しだと、他にも何人かセックスフレンドが居るから、和樹の事は本当に可哀想で慰めただけって言ってたけど……朝倉さんの本当の気持ちを教え下さい」
俺の顔をジッと見て話す武史君にこれからも和樹君の事で頼む事があると思い、正直な気持ちを話す事にした。
「武史君には正直に話そう。ただし、和樹君には内緒にしてくれ、良いね?」
「……解りました。和樹には言いませんから」
ウ-ロン茶を飲み気持ちを落ち着かせる。
「本当に、初めは今時珍しいと気になり、話しを聞いて庇護欲が湧いた。若いし、私の周りには居ないのもあったんだろう。何度か連絡取ったり会う様になって彼氏の為に1人で頑張ってる和樹君を応援したい気持ちになってきた。何もできないが、話しだけなら聞く事ができると思い私から申し出た。色々話しを聞くうちに、和樹君の健気さと一途に思う心に惹かれていったこんなに一途に想われる彼氏が羨ましく思い始めた」
「和樹を好きなんですか?」
「そうだよ。初めは子供だし守備範囲じゃないと思ってたが守ってあげたいと思い、和樹君の綺麗な心に知らず知らずに惹かれていった……1度だけそうなった時には意識はして無かったが、いや和樹君に惹かれる想いを避けていた。でも、心の奥底には気持ちがあったんだ、じゃないと幾ら慰めようとしてもセックスまでは出来無い。はっきり自分の気持ちが解ったのはセックスした後だ。私とそうなって後悔して、もう私から離れていくんじゃないか?どんな形でも良いから側に居たいと思った。だから和樹君に今後は今まで通りで…と言う提案を受け入れて見守らせて欲しいと頼んだ。和樹君が好きだよ。愛おしいと思う」
私の話しを聞いて、武史君はどう思っただろうか?
まだセックスする機会を狙ってると思うだろうか?
嘘偽りなく話したが解ってくれただろうか?
武史君の真剣な顔が不安にさせる。
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