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第251話 クリスマス間近①(和樹)
朝倉さんの所に泣きつきに行った日から、2週間が経っていた。
朝倉さんに話しを聞いて貰って、少し気が晴れた。
今は辛い時もあるけど先の事を考え、俺は少しでも拓真と過ごそうとしていた。
バイトの無い日は1日拓真と過ごし、バイトが夕方からの日は昼から拓真の部屋に行き、バイトに行く時間ギリギリまで一緒に居た。
拓真もあれ以来部屋には女の子を入れる事はしてないようだった。
浅ましい俺は時々ゴミ箱をチェックしたけど何も無い事にホッとし、そんな事をしてる自分に自己嫌悪したりと情緒不安定でもあった。
それでもバイトがラストまである日は拓真と連絡が取れない日もあり、そう言う時は不安になり朝倉さんに泣きつき話しを聞いて貰ったり、朝倉さんも食事に連れて行ってくれたり、俺のバイト先に食べに来て「気分転換に、1時間位ドライブに行こう」と言って、夜のドライブに連れて行って綺麗な夜景を見せてくれたりした。
俺は相変わらず、朝倉さんに頼り励まされ、心の奥に拓真への不信感に蓋をして、好きだと言う気持ちだけで拓真と向き合うようにして居た。
ここまで頑張れてるのは、朝倉さんのお陰だと本当に思ってる。
朝倉さんの優しさには感謝してもしたりない。
あと1週間もすればクリスマスだ。
このクリスマスイベントで、俺は拓真と前みたいに何も考えずお互いの事だけ考えてた2人に戻りたいと思ってる。
あの時の気持ちを拓真にも思い出して欲しい。
そして俺だけを見て欲しい。
もちろん別れるつもりは無いけど、このクリスマスに賭けてる気持ちがあった。
一昨年も去年もクリスマスには2人でドイツ村のイルミネ-ションを見に行って「また、来年も来ような」って言った事を覚えてるかな?
俺から ‘行きたい’って言った方が良いかな?
クリスマスの事を考えてるうちに拓真との待ち合わせの駅に着いた。
冬服を買いたいと言う拓真に付き合って外で待ち合わせして、夕飯も外で食べてそのまま今日はバイトも無いから拓真の所に泊まる約束をしてた。
拓真の部屋で過ごす事が多いから、外でのデ-トは久し振りだ。
何だかウキウキするな。
「拓真~」
駅前で立ちスマホを見てる拓真を見つけ声を掛けた。
「おっ、和樹。ちゃんと1人で来れたな?」
くっくっくっ……
そう言って揶揄う拓真もこのデ-トを楽しみにしてる感じだ。
「んもう、幼稚園じゃないから」
膨れる俺の頬を突っつくのは拓真の癖だ。
俺はその癖が大好きだった。
「おっ、いつも小学生じゃないとか子供じゃないって言うのに?」
「だって~、今の小学生はしっかりしてるから電車なんか1人でも余裕だよ?幼稚園児は流石に無理かな?って」
「成る程な。和樹にしては良く考えたな~」
くっくっくっ……
「んもう、またバカにして~」
俺を揶揄って楽しそうに笑う拓真を見ると、俺も楽しくなるから不思議だ。
やっぱり拓真の事が好きだ。
「歩こうぜ」
「うん」
待合せた駅から拓真が好きなブランドを扱ってる店に並んで歩き始めた。
店のディスプレイも街並もクリスマスの色合いとイルミネ-ションの装いになっていた。
「もう少しでクリスマスだからか?すげぇ~な」
「あと1週間だよ。お店の飾りとかもクリスマス一色だね。何か、見てるだけで楽しくなるね」
「そうだな。もう今年も終わりだな」
クリスマスを飛び越え年末の話しをする拓真。
クリスマスどうするのかなぁ?
もう直ぐクリスマスなのに、拓真からは一緒に過ごそうとか俺の予定を聞かれて無いのが不安要素になってた。
俺は一緒に過ごすつもりで、バイト休み貰ってるんだけど……拓真は?話しを晒されたようで聞き難くなった。
そんな事を考えてたら、拓真の目的の店の近くに来ていた。
「おっ、クリスマスと年末近いからセ-ルしてる!ラッキー!」
「良かったね」
嬉しそうな顔をして店に入って行く拓真の後を着いて行った。
タイミングを見て聞こうと思うけど……。
店内の服を物色してる拓真の横顔を盗み見て、楽しそうだから今は止めておこうと考えた。
今日中に聞こう……切り出すタイミングが……聞けるかなぁ~。
拓真の事が好きだけど……何度も隠れて浮気をする拓真が俺の事を好きなのかどうか不安になってた。
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