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第252話 クリスマス間近②(和樹)
「和樹、これどう?」
拓真が手にしたのはチェスタ-コ-トだった。
「良いと思う。お洒落だし、シャツやパ-カ-にも合いそう」
「そうだよな。使い回し出来そうだし。色で迷ってんだよなぁ。どっちが似合う?」
黒とグレ-ジュで迷ってるようだ。
拓真ってスタイルも良いから、どっちも似合うんだけどなぁ~。
「ん~黒は何でも合うから無難だし、グレ-ジュって難しそうだけど…着こなし出来たら大人っぽくってカッコいいと思うけど」
「だよな~。ダウンとかフ-デットコ-トは黒持ってるしPコ-トは紺あるし……グレ-ジュにする」
「うん。黒も似合うけど、どうせなら持って無い色が良いよ。グレ-ジュも絶対拓真に似合うから」
「まあな。俺って何着ても似合うからな」
拓真らしい言い方に笑いが漏れる。
買うと決めたチェスタ-コ-トを戻し黒.グレ-.赤の3色の大きめニット帽を1つ持ってレジに向かう。
「?」
コ-ト止めて帽子にしたのかな?
会計を済ませる拓真を待ってる間、俺は店の商品を見ていた。
「和樹、行こう」
呼ばれて店の外に出ると、拓真が買ったばかりの大きめのニット帽を袋から出して、俺の頭に被せた。
「えっ何?俺に?」
「そう! これ被っておけよ。その白のダッフルコ-トと水色のマフラーでも大丈夫だと思うけど…念の為な。これで大っぴらに手繋げんじゃん」
そう言って俺の手を取り繋いだ。
暖か~い。
拓真も手を繋ぎたかったのか~♪
嬉しい~♪
意図的じゃ無かったけど…これ着て来て良かった。
去年から着てる白のダッフルコ-トは俺のお気に入りだ。
クリスマスシ-ズンでもあり、街にはカップルが手を繋ぎ腕を組みイチャイチャしてるのを、俺も羨ましい~と見て居たから、拓真の意表を突く行為は凄~く嬉しかった。
拓真って、こう言う優しい所があるんだよなぁ~。
拓真の優しさが身に染み握った手を離さずギュっとした。
「コ-ト、買わないの?」
「ん、荷物になるから帰り買う」
「そうなの?もし、売れちゃったらどうするの?」
「何着かあったし、売れたら売れたで黒を買うかな。縁が無かったって事で諦めもつくし」
「そう」
手を繋ぎ歩き聞いていた俺は拓真の話しが、代わりは他にもたくさんあるって聞こえた。
たかがコ-トの事なのに、そう勘繰る程可笑しな思考に陥っていた。
「他も、フラフラ見ようぜ」
俺の顔を覗き見て笑顔で話す拓真に、俺も気を取り直して「うん」笑って応えた。
変な考えはよそう。
さっき拓真の優しさが解ったばかりだ。
楽しく過ごそう。
そう気持ちを切り替え、クリスマス間近で賑やかな雰囲気の街を2人で歩いた。
それから拓真と当ても無くあっちこっちと、良さそうな店を見て回った。
服.アクセサリー.電化製品.CDとゲ-ム系と買う事は無かったけど、商品を見てあ~でもないこ~でもないとたわいも無い話しを顔を寄せ合い話すのが楽しかった。
「和樹、疲れない?お茶する?」
「うん」
「じゃあ、そこに入る?」
「うん」
近くのドトールに入り、拓真はブランドコ-ヒ-.俺はココアにした。
2階席に行き窓際に座り、ココアを飲むと温かくって何だかホッとする。
「寒かっただろ?」
「ん~でもフラフラ歩いてたし、お店の中は暖かかったよ」
「和樹、相変わらずココア?甘くねえ?」
「甘いのが良いんだよ」
俺のココアを手に持ち一口飲み、しかめっ面をして「ゲッ! あまっ!」
話す拓真に俺は恋人同士みたいで、心では嬉しかった
「そう?甘くて美味しい~♪」
「いつまで経ってもお子ちゃまだな」
くっくっくっくっ…
「………お子ちゃまじゃないもん」
揶揄ってるのは解るけど、子供扱いに頬を膨らませ拗ねる。
俺の頬を突っつき楽しむ拓真。
「和樹は拗ねても可愛い~な」
余りそんな事を言わない拓真が話すから、ちょっと驚いたけど照れて赤くなりそうだ。
「何?照れてんの?赤くなっちゃって可愛い~♪」
今日の拓真どうしたの?って感じだ。
「照れて無いもん。ココア飲んで温まったからだよ」
「ふ~ん、ま、そう言う事にしておく?」
「そうだもん」
「解った.解った」
そう言って俺の頭を撫でた。
今日、凄~く優しいんだけど……嬉しいな♪
こんな気持ちに慣れたの久し振り~♪
心の底から嬉しかった。
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