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第255話 クリスマス間近④(拓真)

「確か、この辺の店だったよな?」 先週、和樹とデートした街に1人で来ていた。 この間は楽しかった。 街もクリスマスの雰囲気でカップルもあっちこっち居た所為もあり、和樹とイチャイチャしたかった。 周りを気兼ねなくイチャイチャする為に、わざわざ帽子を買って和樹に被せた。 見た目はボ-イッシュな女の子にしか見えない和樹と手を繋ぎ歩いた。 和樹も嬉しそうだったし、俺も楽しかった。 冬服を買うと言って他もフラフラ見て歩きアクセサリーの店も見た時に、和樹のクリスマスプレゼントを買って無かった事を思い出した。 あまりじっくり物色すると和樹に気付かれたらヤバイと一応一通り見て、今日は時間無いから、また1人で来て和樹に似合いそうな物をゆっくり決めようと、その時に思って今日1人で来て店を探していた。 去年はネックレスを渡したんだったな。 俺も常に身に着けてるし、和樹を抱いた時に確認してるが、ちゃんと和樹も身に着けていてくれてる。 抱く度に、和樹の首元にぶら下がってるネックレスを見ると安心した。 もちろん俺の左の手首には和樹から貰ったブレスレットがある。 今年はどうするかな。 指輪? いや、まだ早いな。 就職して、きちんと給料を貰ってそれからだな。 社会人になって、初めてのクリスマスに指輪をあげよう。 今年は実用的に社会人になっても使える物だな。 そうだ、時計にするかな。 余りゴツく無く、細い和樹の手首に合う物が良い。 去年はネックレス、今年は時計、来年は指輪。 和樹の身に着ける物が、俺が贈った物で溢れてるのも良い~な。 よし、今年は時計にしよう。 目的の店に向かう中で、そんな事を考えて歩いてると前から声を掛けられた。 「あれ?拓真?」 数m先に莉久が居た。 何で? もう、会うつもりも無かった莉久との偶然の再会に戸惑った。 「莉久?」 「ちょっと、待ってて」 隣の男に話し俺の方に歩いて来た。 彼氏?じゃないよな。 店で彼氏を見た事があったが、たぶん違う男だ。 良くやるよな~。 「拓真、奇遇だね。何してんの?」 俺の側でニコニコと笑顔を振り撒き話す。 「別に、フラフラしてた。莉久、あれって彼氏じゃないよな?」 「うん。今日は洋服買ってくれるって言うから♪」 「ふ~ん、そんな事ばっかしてると彼氏に怒られるからな。程々にしろよ」 「別に、お互い様だけどね。それより拓真ぁ~、全然、最近店に来ないじゃん」 「ああ、忙しい~し。何か飽きた」 俺の腕を掴んで上目遣いで意味有り気に話す。 「寂し~よ。じゃあ、今度こそ連絡先教えてよ。Lineでも良い~し。そしたら店じゃ無くても遊べるじゃん」 俺の腕を掴んでる手を離させ、ここははっきり言った方が良いと判断した。 「前にも言ったけど、莉久とはもう会わないしそう言う関係にもならない。だから、連絡先も教えないって前にも言っただろ~が」 店で会う度にLine教えて欲しいって言われるが、始めは濁していたが余りにも執拗になってきたから、この間もはっきり言ったはずだ。 「別に遊ぶ位は良いじゃん」 「俺以外にも遊ぶ相手は居るだろう?はっきり言って、面倒な事に巻き込まれるのも嫌だし」 数m先で俺達を見てる男の方をチラッと見ると莉久も男を見た。 「ん、まあね。でも、拓真がカッコいいし」 「俺は莉久の遊び相手にはなりたく無いから、無理!」 莉久が口を開こうとした時に痺れを切らした男の声が聞こえた。 「莉久! 行くぞ~」 「ほら、呼んでる。行けよ」 「もう! じゃあ、またね」 「じゃあな」 手を振って男の元に足早に行く莉久を見送った。 莉久は男に媚びを売るように腕を組んで体を寄せてた 良くやるわ! 莉久が振り向いて俺を見て手を振り、男に何やら言われてたが耳元で話し体を寄せイチャイチャしながら歩いて去って行った。 「マジで、男を手玉に取ってんなぁ~。面倒癖ぇ~事になる前に、早いとこ切れて正解だった」 会った当初はさっぱりして遊び慣れてる莉久との駆け引きが面白かったが、莉久の相手をコロコロ変えて遊ぶ姿を見て、それも冷めていった。 利用されるのは御免だ。 莉久達が去ったのを確認して、目的の店に入った。 大体の目星はつけてあるが、もう1度店内を回って物色した。 ブランド品から安値な物やシンプルなデザインからお洒落なデザインと多数ある。 「やっぱ、これが良いな。値段も手頃だし」 俺が良いと思ったのは、男女兼用の大きさでエッグシェルホワイトのシックな文字盤に、金の針とシンプルだが優雅でエレガントな印象のレザーベルトの時計だ ベルトの色で迷うなぁ~。 使い勝手が良いのはブラウンだが……やっぱ、和樹にはこっちのホワイトにしよう。 この間着てた白のダッフルコ-トが良く似合ってたし和樹のイメージが白なんだよなぁ~。 そう決め店員に話し掛けた。 「このホワイトレザーの時計下さい。プレゼント用に包んで貰えますか?」 「はい。カ-ドもお付けしますよ」 「お願いします」 プレゼント用に包んで貰って支払いを済ませ、店を出た時には気分も高揚して莉久の事など忘れていた。 それから少しフラフラし、夕飯を食べ片手に和樹へのプレゼントを持ちアパートに帰った。 部屋に入って部屋着に着替えて、プレゼントの袋からカ-ドを取り出し、ペンを持ち何て書こうか悩む。 キザっぽいのもなぁ~。 結局、素直な気持ちをカ-ドに託した。    💝……………………………🎄 | | | ずっと一緒に居ような! |    |   Merry X'mas 🌟  |    |         拓真 | 🎄………………………………💝 「これで、俺の気持ちも伝わるだろう」 自分で書いて恥ずかしくなる。 クリスマスまでもう少しだ、和樹にバレないように、そぉっと机の棚の奥に閉まった。 和樹が喜ぶ顔が目に浮かぶ。 和樹と過ごすクリスマスが今から楽しみで待ち遠しい

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