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第261話 真相①(和樹)

誰からも鳴らないスマホの真っ暗な画面を見つめ、涙が後から後から溢れてくる。 雨もどんどん酷く本降りになり俺に降り注ぐ。 雨なのか?涙なのか?解らない程に俺はずぶ濡れになって居た。 もう、何も考えたく無い。 でも、1人で居たくない。 そう思ってた時にハッと気が付き、ベンチに置いてあった袋を思い出した。 あ~良かった。 店員さんの図らいで、袋にはビニール袋が被さっていた。 プレゼント濡れて無かった、良かった。 そのプレゼントの袋を見て、また涙が溢れてきた。 拓真へのクリスマスプレゼントを買う時.明日からの2人で過ごす時間……。 ワクワク…してた気持ちが……。 本当か?女の子だけじゃ無かったんだ。 あの人とも…他の人とも…。 暫くジッと見つめてたプレゼントの袋とワインとケ-キの入った袋を持ち、俺はずぶ濡れのまま公園をトボトボ…と歩き出した。 公園にずっと居ても仕方無いけど、自分の部屋に居るのも……もし、拓真が来た時にまだショックが大き過ぎて気持ちの整理が出来て無い。 拓真にどう接して良いか? どんな顔で会えば良いか? 拓真に酷い言葉を言ってしまいそうな気もする。 会いたいけど……会いたくない。 駅近くの大通りに出てタクシーに乗ろうとしたけど、ずぶ濡れの俺を見て乗車拒否された。 そうだよね、こんなに濡れてたら……また、涙が出た 雨はどんどん酷くなっていった。 電車にも乗れない……か。 俺はトボトボ…また歩き出した。 どこに行こうか? 店にも入れないし……スマホを見るけど、誰からも連絡無かった。 朝倉さん……武史……誰か……助けて…。 そのまま歩いて、武史のアパートに向かった。 ダッフルコ-トのフ-ドを今更だけど被り、リュックを背負い片手に荷物.もう片手にスマホの状態でトボトボ…と土砂降りの雨の中を歩く。 ここからなら1時間位歩けば武史のアパートに着くかな? 武史、バイトからまだ帰って無い? 朝倉さんの所はここからでは遠いと思って、武史のアパートを目指しひたすら歩いた。 あと少し…もう少し…ずぶ濡れの体は芯から冷えて寒くなってきた。 それでも、あと少し…もう直ぐ…とフラフラしながら歩き、何かに躓(つまず)いたのか?ふらついたのか?よろけた拍子に、手に持ってたスマホを落とした。 ガッ! ポチャンッ! 落ちた場所が悪かった。 水溜りに落としたスマホをジッと見ていた。 屈んでしまったら…もう…立ち上がれ無いかも… ボ-然としてたのか?朦朧としてたのか? ハッとし、スマホがなきゃ……誰とも……拓真とも連絡取れない。 寒さで手が震え、体の節々が油が切れたようにギィギィ…音がしそうな位に上手く動かない。 それでも震える手で水溜りに落としたスマホを拾った ダッフルコ-トで画面を拭き震える手で操作してみた 画面は真っ暗で何も映さなかった。 電源を何度も消したり入れたりした……けど、ダメだった。 もう、これで誰とも連絡取れない……。 涙が後から後から溢れ雨と共に流れる。 ……寒い…ガタガタ震える体。 もう少しだけ……武史の所に……。 壊れたスマホをコ-トのポケットに入れ、振り続ける雨の中をまた歩き始めた。 寒い…寒い…助けて…誰か……寒い。 この時は拓真の事も何もかも思考が止まっていた。 ただ、寒さだけを感じてた。 また暫く雨の中を歩き……やっと武史のアパートが見えた。 武史…居るかな? 寒い.寒い.寒い……誰か……。 武史の部屋のチャイムを震える手で押す。 ♪♪ピンポン~.♪♪ピンポン~………♪♪ピンポン~ 何度も鳴らした……出て来ない。 もう立ってられ…ない。 もう…無理…かも…。 ドアに背中をつけズルズル……下がって座った。 プレゼントの袋とケ-キとワインの入った袋を横に置き、膝に顔を埋めて体育座りした。 も…無理…寒い…寒い… ガタガタ震える手足、カチカチ鳴る歯と震える唇…。 もう…立てない……。 …このままで良い。  朦朧とする意識の中で、このまま消えて無くなれば……と頭の片隅で考えた。

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